残薬問題について書かれていた章で、墨田区に住む82歳の女性の「昔は薬を少なくしてくれ
というのは言いにくかったが、いまはない。薬を減らして元気になった」という声を紹介し
ている。女性はひとつの病院で4つの診療科に通っており、1日15錠を朝昼晩に分けて飲ん
でいたという。通院にも苦労する為、病院に勤務するメディアソーシャルワーカーと相談し
減薬に成功した。「かかるお金も少なくなった」と喜んでいるという。
日本では財源ばかりが議論にのるが、社会保障には膨大な無駄があることには触れない。医
師や病院、医薬メーカー、政治家たちの既得権益を守ろうとする力に負けるからだ。しかし、
今のまま無駄を見過ごしていては駄目なことは承知しているはずだ。
薬の無駄を省くために、市販薬があるものは公的保険を使わずドラッグストアで購入する。
湿布薬やビタミン剤などを保険の適用外とする。効果が乏しい薬は公的医療保険の適用外と
する。ジェネリックの導入を推進する。「飲み残し薬」を減らす等々、キチンとしたデータ
と綿密な取材をもとにして、いくつもの提言がある。
今まで日本でも社会保障費を減らすための努力はなされてはいる。しかし、いずれも中途半
端であったり、抵抗勢力につっぱねられ頓挫している。それが、声を上げない大多数の国民
の負担の増加に繋がっているのだ。本書を沢山の人に読んで実態を知ってほしい。
無駄だらけの社会保障 日本経済新聞社編 日経プレミアシリーズ
この世は、金のある人間の意向でシステム化されていますね。いずれこのシステムは、大きく崩れると予想しています。
次の選挙に行って投票率を上げましょう。