科学史家である吉岡斉氏は20年に渡って、日本の原子力政策に関わってきた。今回、同氏が残した
数万点に及ぶ膨大な未公開資料「吉岡文書」が見つかったという。吉岡氏は国の審議会において「
熟議」や「利害を超えて議論を尽くすこと」を求め続けた。しかし「日本の原子力政策は合理的議
論を尽くした末のコンセンサスにもとづいて進められてきたのであろうか」という疑問を抱いてい
たことがメモから分かる。
国や電力会社は密かに議論を重ね政策の見直しを回避しようとしていた実態が伺える。番組には何
人もの国の元審議委員が登場するが、彼らは一様に審議会に対する不信を吐露する。中には「茶番
劇に付き合わされた」と吐き出すように話す元委員もいた。
時間はかなり経っているので今更感は否めないが、それでもNHKはよく放送したと思う。日本の
過去の数々の政策は今まで、全く検証されずにきたおかげで、未だに国民が納得いかないものが繰
り返され、その費用対効果、そして実効性が疑われている。これが政府や官僚に対する不信感に繋
がっているのだ。国に忖度することなく、キチンとした取材に基づく番組を制作し、私たちに真実
を見せてほしい。(2024年3月2日 ETV特集)
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