福岡の看板屋 独り言(看板.・カワムラ)TEL092-935-7058

皆様に生かして頂いてる看板屋としての呟きです。内容は独り言なので、万が一気分を害された方が居られましたら何卒ご容赦。

一晩だけの仮の宿2

2018年12月31日 | Weblog

2012年記事


ブログを読んで下さる方達から 「猫はあの後どうしました?」と

声をかけられる事が多いので 事後報告・・・

 

あの後、工場の中に しょんべんイタチの臭いが充満していた。

自然の中で生きているリアルな獣の臭いに不快を感じる。

表現はできぬが 腐った線香の様に頭が痛くなるくらいの異臭。

(実際 線香が腐る事はないと思うが 日常生活では遭えぬ臭い)

それにしても 辺りを見回すが親子猫達の姿が見あたらない。

産後に抜けた親猫の毛?それとも子猫の毛なのか 

座布団に沢山散らばっていた。

私:「食われちまったんだろうな 赤ちゃん猫達・・・」

妻:「可哀想に・・・」と うな垂れる私たち・・・

姿こそ見せないが 野生動物たちは 直接、私達の目に触れない所で

熾烈な生き残り闘争をやっている様だ。


月並みだが日常、中々出会えぬ光景を目の当たりにすると

この世は人間だけの物では無いことが実感される。

テレビでアフリカの番組でも見ない限り中々お目にかかれない光景だ。


数日が経ち 仕事が終わり シャッターを閉めたら いつの間にか

あの親猫が 私の足元に居て「にゃーあ」と鳴くではないか。

私:「お前 生きていたのか!?子供達は?」

猫:「・・・・」

シャッターをジッと見つめる親猫・・・ どうやら中に入りたいみたいだ。

私:「中に入りたいのか?」

猫:「・・・・」

ガラガラと少しシャッターを開けてやると サッと中に飛び込んだ。


あれから この様なやり取りが続き 朝、決まった時間に工場を

開けるので 夜は工場で寝て 朝は食料探しに出て行っている様子だ。


一体、何処で寝ているのだろうと 猫が外へ ご出勤の時、寝床の形跡

探すが 全く見当たらないのだ。


昼間 猫が一時帰宅・・・

私:「おいおい、子猫たちは どうした?」 猫に問いかけると

工場の中で ゆっくりと腰を下ろし 暫く目を瞑ってじっとしていたが 

意を決した様に 目をカッと見開き 階段を昇って 壁と部屋の間仕切り

の隙間に入って行った。

私:「成るほど・・・よく見つけたもんだな ここなら安心だ」

親猫にしてみれば 絶対に知られたくない 秘密の寝床なのだろうが

心配する家主の気持ちが伝わったのか 子猫の無事を教えてくれた

様に思った。 

確認すると又刺激してしまいそうなので 知らぬフリをして

干渉しない様にしている。 多分、子猫たちは無事なのだろう・・・


食料は何処で調達しているのだろう ご近所に迷惑がかかると 厄介

だとは思ったが、夜は出て行けないので 生ゴミを荒らす事は無いだろ

と思っている まあ どの道、私が寝床を提供しないでも 何処かに

住み着くのは必定だ。子猫を守らなければ成らぬ親の本能だろうか

夜の狩りを止めて 安全を選んだみたいだ。


昨日、親猫 ご出勤の際 看板をふんずけて行ったので、

私:「おい おい 看板、踏むのは止めてよ!俺はこれで生かしてもらっ

   てんだからさ!」と言ったら すまなそうな顔をして「ニャー」と

  答えながら 外に出て行った。


お隣さんは 幸せの気で溢れる結婚式場・・・

「お前達も この気に包まれる事で 幸せに成れるかも知れない・・・

そう 思えば 悪くない 良い寝床を見つけたな。提供すっから

なるべく 悪さだけはするなよ 来世は人間に生まれて 不自由の

無い生活を送れよ・・・」と そう思った。

これって やっぱ 神目線なのかな・・・ちょっとおこがましかったかな。


PS 人間に生まれて 裕福な目に逢いながらも 悪さをする人間達は

   大勢居る。自分の欲の為に 人々の生活を脅かす 畜生以下の

   輩達と言えば 察しがつくだろう。人間ってなァ 偉くなれば

   見た目ニャ羨ましがられるが 大勢の人間の生活に与える

   影響も大きい・・・ある意味「四面楚歌」の人生なのだ。

   こやつ等の政に対する 意見、利益誘導、匙加減如何では 

   大勢が貧困になり国が滅ぶ事もある。

   (自覚してないんだろうけど・・・)

   生きるために 仕方なく人間が食べきれず捨てた残飯を

   済まなそうに漁って生きてゆく 小動物と罪の差は明白だ。  

   まあ 未来世は悪い奴らが人間に生まれ変われない分

   この子(猫)達の人間に成れる確率が増えるのだろう。

   悪行の限りを 思いっきりやり尽くしておくがいいさ・・・  

  

   「早く人間になりたいっ!」




 



 


一晩だけの仮の宿

2018年12月31日 | Weblog

2012年記事


ひな祭りが終わり 早く雛人形を片付けないと 娘が晩婚になるとの

迷信を恐れ そそくさと工場の2階へ収納・・・ 

ドアを開けると 突然、タタタタタッと猫が脱走・・・

私「ったく!何処から入ったんじゃ」

ふと目をやると 座布団の上に生後3-4日位の子猫が2匹。

親猫は三毛猫だったのに 白黒の赤ちゃん子猫が転がっている。

座布団ごと そのまま抱え 妻の元へ

私「ねえママ、これ見てみい」

一匹は目が開いていて 声を出して泣いているつもりなのだろうが

非力故、声が聞こえない。もう一匹は座布団の上で目を瞑ったまま

コロコロと爪を生地に引っ掛けながら 転がっている。

妻「どうしたと!?この猫ちゃん」

私「仕事場の2階におったよ 困ったね・・・」

妻「あっ 親猫!ほら あそこ見て!」

私達のやり取りを さっき逃げた親猫が軽トラの下から心配そうに

見ている。 外は冷たい雨・・・ この過酷な自然環境で健気にも生きて

行こうとしている命を 追い出し命を奪う権利は誰にも無いのだ。


子猫を元の場所に戻し 様子を見る。

しばらくして 2階へ上がるが 子猫は居ない。

私:「何も出て行くこたあ 無いのにな・・・」

妻と二人 食事中も夫婦で猫親子の行く末を安じた。


再び 工場に行き ふと目をやると 切断機の下に子猫が

身を寄せ合っているのが見えた。

雨で工場を出て行くことが出来なかったのだろう 材料の切り屑の中

に 埋もれつつ 寒さでブルブル震えていたので さっきの座布団を

持ってきて ダンボールで寝床を作ってやった。

餌をやりたかったが それをやってしまうと 他にも野生化した犬猫が

沢山いて きりが無いのだ。


暫くして 親猫が戻ってきた・・・ 鋭い顔で私を警戒している。

私「生きてゆくのは 大変だな・・・ 何もしないから ここに居なさい」

と語りかけた。理解したのだろうか 寝床に入り 親子が身を寄せ

合い 親猫は じっと こちらを見ては 目をそらしたりしている。

妻も頻繁に 「猫 どうした?」と 様子を窺いに来る有さま。

作業の合間にチラチラ確認するが 逃げようとせず じっとココに居る

みたいだ 少しホッとして 気にならなくなった。


次の朝雨が上がり シャッターを開けると 猫親子はダンボールの中で

じっとして居たが 暫くして 何処かへ行ったみたいだ。


此度 私は 必死に生きている 猫親子を見て 何か力になりたいと

思った。戻ってきたら 又、寝床を貸すだろう。

親猫の子を守り 必死に生きようとする姿に 感動したからだ。


ひょっとして 神や仏、居なければ 何か他の崇高な生命が存在して

いて 不器用でも 真面目に生きている私達人間(動物に至るまで)を 

親のように木の上に立って 様子を見守ってくれているのかも

知れない たまに 「こっちへおいで!」と良い方向に導きながら・・・

私は神目線で 猫親子を見たつもりはないが ふと そうであって

欲しいと願ったのだ・・・


一晩だけの宿は寒かっただろうが あれは仮の宿であって

安心して 身を横たえる場所では無かったのだ・・・

猫を飼うことが出来ない私達は どうか良い飼い主に巡り逢います様

にと心から手を合わせたのだった。