2017年12月記事
4年くらい前だったか・・・
息子のサッカークラブの公式戦でトアル街に出かけた時の事だ。
私らの住居から1時間程離れた街で試合会場に
迷わないように 時間に余裕を持ちすぎ出発して
中途半端な時間になり 暇を潰さねばならぬように
なったのだ。
妻:「今 何時?丁度お昼やね~ 何か食べんと」
という事で、全国店展開のトある中華飯店に飛び込んだ・・・
休日のせいなのか 昼時なのに 店内にゃ
ポツポツとしか人は居らず
私:「ママ、こりゃ~ババ引いたんじゃねえのか?
見てみい 閑古鳥が鳴いとるぞっ!」
妻:「休日やけんたい 私は五目そば食べよっ~と!パパは?」
私:「チャーハンに決まっとる シェフの器量が判るからな
絶対にチャーハンだ これだけは譲らねえ!」
と、レシピは統一されとるのに、閑散とした店内の理由を探し
入店の後悔を繁盛とは何か?の知識の糧に
しようと思ったのだ。
結構な時間がかかった・・・
妻:「お先に・・・」と言いつつ 五目蕎麦をつるつるすする妻。
私:「遅い!遅すぎるっ 佐々木小次郎が武蔵に待たされる
時の心境だ おい・・・ 後何十年待てば飯に
ありつけるのかっ 聞いてみてくれないかっ?」
と貧乏ゆすりをしていたら
妻:「じ、地震っ!?パパ 今、地震があったよ!?」
私:「ああ、ココのシェフは、自信がナイと見たっ
じれて 大地が地震を起こしたんだろうよ
次ぁ 火山の大爆発が起こらんどきゃぁ~いいがなっ
フン!」と原因はワシの貧乏ゆすりだという事を
種明かしする余裕もなかったのだ。
お預け喰らった メタボジジイの空腹感は一層に増し
「もし、ここで不味い物でも食わせりゃ そりゃあ~」
割り箸を両手に持ち 爪楊枝を鼻に突っ込み豚にして
テーブルにトントンやりながら
「おそい・おそい・おそい・腹減った!」と
小学生でもやらんブーイングコールをやるのだ・・・
どうせ 誰も居らんのだから 旅の恥はかき捨てだぁ~
妻:「辞めんねっ!みっともない」
(もしも ここに娘が居たならば 一生口を聞いて
くれないだろう)
大学生のバイトだろうか・・・
細身のウェイターが済まなそうな顔でチャーハンを持ってきた。
ウェーター:「遅くなりました・・・済みません」
私:「じらして 効果があるのは プライドの高い、
我がまま女だけだ。よく覚えとき給え青年・・・」
ウェーター:「えっ?!」
妻:「辞めんねっ!」と怒り出す。
テーブルに目をやると、みそ汁のお椀を裏返した位の量の
チャーハン。
私:「ちょっ!ちょっと!おい おい おい おい!
この国は小人の国かっ?これって 一人前? おい君!
お子様ランチは他のテーブルじゃないのか?
で、旗も立っとらんぞっ!
君はその~「ガリバー旅行記」って知っとるかっ?」
ウェーター:「えっ!?いえ これで一人前です」
私:「なっ!何を言う 早見優っ!君の目に俺は餓死寸前の
骨皮筋衛門に映っているのではないかっ!?
シェフを呼べ シェフをっ!適切な分量を教えてやるっ」
妻の私を見る目が爆発寸前になったので、追求を辞めた・・・
私:「冗談だよ 嘘、嘘~ ご苦労様・・・ありがとう」と
紳士面する私って・・・もう遅いっ!
ふくれっ面で、ブツブツ言いながら チャーハンを食べてみたら あ~たっ!
私:「う、旨いっ!なんだこりゃっ?」
まあ、当然の事ながら ご飯はふっくらして 一粒一粒、
味が上手くコーティングされていて
シッカリした触感。スプーンで山を割った時に漂う
香ばしい香り、しつこくない油の量、
塩加減は、非の打ちどころがなかった!
あの、懸案事項だった少ない量は ゆっくり噛みしめて
食べれば 文句の付けようのない一人前であり、
「喰ってから 文句を言えっ!」と言わんばかりの
計算づくの成果だったのである。
兎に角、同じ系列店では 食べたことのない味だった。
正直、作った職人に会ってみたかったが
レジーで銭を払うとき さっきのウェーターに
「物凄く 旨かった!さっきは無礼な事言って
すみません・・・職人さんにくれぐれも宜しくお伝え下さい」と
頭を下げて店を後にしたのだった。
あのチャーハンを食べて 研究心に火が付いた私は
後で何度もチャーハンに挑戦し、家族を困らせたのである・・・
メタボに拍車をかけた理由にもなったがね。げぷっ!