2005年秋以来EUにおいて論議を呼んでいた「通信事業者に通信記録の保存を義務づけるData Retention Directive(案)」(pdf 全20頁)が2月21日の「欧州連合理事会(閣僚理事会)」司法内務委員会で採択された(アイルランド、スロバキアは反対票)。
本指令を立案した理由は、戦争テロおよび組織犯罪の撲滅にあるのであるが、保存義務を負う通信事業者は、①ISP、②固定電話通信事業者、③モバイル電話会社である。本指令の施行後通信内容の2年間の保存が義務付けられるのである。すなわち、加盟国は国内法に基づき定める重大犯罪につながる特定の事例において管轄国家機関のみが、捜査、探知、訴追を目的とした利用が認められ、また、保存データへの意図的なアクセスの排除にかかる法整備(行政罰や刑事罰の制定)が義務付けられるのである。
1.この保存にかかる費用はプロバイダーなどの負担とする。
2.保存データの対象は法人・自然人の通信・位置データであり、ネットワーク参加者や登録者に関するデータも対象となる。ただし、通信データの内容の保存は求められていない。
3.保存項目は、①発信者、②通信年月日・時刻、③通信手段、④接続時間であり、法執行機関は6カ月から24カ月の間、前記国内法に基づきその利用が可能となる。
4.本指令の施行(EUのOfficial Journal発刊の日から20日目)後、18カ月以内(2007年8月まで)に加盟国は指令の実施内容を監視・セキュリティ対策の責任部門を任命しなければならない。
〔参照URL〕
1.今までのEUでの指令論議を含めたローファームPinsent Masons LLPの概要解説「Data RetentionDirective endorsed by Ministers」(2006.2.23)のURL。
http://www.out-law.com/page-6666
2.欧州連合理事会(閣僚理事会)司法・内務委員会のプレス・リリース(2006年2月21日付)
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/PRES_06_38
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(今回のブログは2006年2月26日登録分の改訂版である)
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