本ブログでたびたび紹介しているEUの最新動向について、最近、情報の一元的提供を意識してEUに新ポータル「Europa」が登場した。
EUの欧州議会(European Parliament)、欧州理事会(European Council) 、欧州委員会(European Commission) 、欧州連合理事会(Council of the European Union:閣僚理事会(Council of Ministers)とも呼ばれる)などの政治機能の最新動向でさえフォローするのは大変なのであるが、そのほかに欧州司法裁判所(Court of Justice of the European Communities:CJEU)や欧州会計検査院(European Court of Auditors)など多くの公的機関をそれぞれフォローすること自体至難の業といえよう(公的機関について日本語で体系的な理解するには、現状は外務省、国立国会図書館、駐日欧州委員会代表部のサイト等で勉強するしかないが、いかにも企業や研究者向けではない)。
特に、EUの最近の取組み課題をテーマ別にフォローするには、たとえば①電子政府の各国の取組み状況やEU全体としての戦略的課題に関しては「IDABC(Interoperable Delivery of European eGovernment Services to public Administrations)」 (注)、②科学技術・農業、移民問題、セキュリティ問題等約1200項目についての最新の調査研究内容ならびにEU全体の行動計画と個別テーマに関する資料の検索には”Research” 、③ネットワークや情報セキュリティ研究機関である”ENISA(European Network and Information Security Agency)”の動向、④EU内の企業の協力のものでの全体的な長期的調査研究開発計画(フレームワーク・プログラム(FP):現在は2002年―2006年計画のFP6である。2007年―2013年のFP7の草案が欧州議会に図られる予定である。)をフローする「IST(情報社会に求められる継続的な技術革新プロジェクト」、⑤IST(Information Society Technologies)活動をEU全体の問題として取り組むべく、研究開発プログラム、革新性の内容、EU全体への最新情報提供、加盟国の政府・地方機関と連携するためのゲートウェイ機能、加盟国の国民・企業という個々への無料の情報提供サービスである”CORDIS”サービス、⑥また、個人・起業・行政機関において電子情報社会における機会均等の実現、すなわち「デジタルデバイドのない社会作り」を目指すことを意図する「eTEN(Trans-European Networks)」などのフォローが基本となる(これらのサイトの最新ニュース情報などについては、わが国においてもほとんどが個別メーリングリストに登録後、閲覧は可能である)。
上記の述べたように、デジタルデバイド問題等も含めたEUの「電子政府」の取組みの中で「Europa」が一般市民や企業等に向けた一元的なポータルとして登場したこと自体当然といえるし、一方わが国としては、その内容、読みやすさなどの研究は本格的な「電子政府」構築の課題をさらに進める上で、貴重な研究テーマといえよう。
なお、「IST」や「CORDIS」の概要については、改めて紹介する予定である。
(注) IDABC(Interoperable Delivery of eGovernment Services to Administrations, Businesses and Citizens:行政、企業、市民への欧州のe政府サービスの相互運用可能な提供プログラム)は、情報通信技術によって提供される機会を利用して、ヨーロッパの市民や企業への国境を越えた公共部門サービスの提供を奨励し支援し、欧州の行政間の効率性と協力を向上させ、ヨーロッパを魅力的な住まい、働き、投資する場所にすることに貢献してきた。このIDABC プログラムは、欧州行政全体のための相互運用性ソリューション(ISA) プログラムに取って代わられた。(Wikia. orgから抜粋、仮訳)
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