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米国の国立衛生研究所(NIH)ニュースが冬場の低体温症の具体的危険性を指摘

2023-12-06 14:26:08 | 最先端の医療情報

ヤマホトトギス

 本格的な寒い冬がきた。筆者の手元に米国の国立衛生研究所(NIH)(注1)月刊「健康ニュース(NIH News in Health )12月号」が届いた。以下、その概要を仮訳する。

 また、そのニュースの筆者であるバジル・エルダダ博士(Basil ELDADAH)(注2)の経歴(Biography)等を読む中で、米国の医師免許や医学博士号の正確な内容やわが国との制度比較にチャレンジしたいと考え、門外漢ではあるが、関連サイトを読んでみた。併せて、仮訳する。

Basil ELDADAH 氏

1.低体温症の危険性とその回避策

冬には寒い気候でも楽しめる機会がたくさんある。しかし、危険な温度をもたらす可能性もある。この季節に屋外に出かける際は、低体温症(hypothermia)などの寒さによる危険から身を守るように注意してほしい。

 「低体温症とは、体の深部温度が華氏95度(摂氏35度)以下に低下することである」とNIHの高齢者問題の専門家であるバジル・エルダダ博士は語る。

 低体温症は、非常に低い温度に長時間さらされると発生することがある。体温が下がりすぎると、初期には明確に思考したり、歩いたり、話したりする能力に影響を与える可能性がある。したがって、低体温症の兆候を見つけたら、迅速に行動することが重要である。

 軽度の低体温症の兆候には、①足や手の冷たさ、②震え、③顔のむくみや腫れ、④皮膚の青白さなどがある。また、⑤眠くなったり、⑥不器用になったり、⑦怒ったり混乱したりすることもある。

  さらに、エルダダ氏は「低体温症が進行すると、①ろれつが回らなくなったり、②歩行困難になったり、③動作がぎこちなくなったり、動きが硬くなったりすることがある。「その後、心拍数が遅くなったり、脈拍が弱くなったり、呼吸が遅くなったり浅くなったりすることがあります。進行した段階では意識を失う可能性もある」と説明する。

 低温にさらされると誰でも低体温症になる可能性がある。他方、特定の要因がリスクを高める。これら要因には、高齢者、若年者、特定の薬剤、および一部の病気が含まれる。すべては体温を調節する体の能力に影響を与える可能性がある。

 さらに糖尿病(diabetes)、心臓病(heart disease)、甲状腺機能低下症(hypothyroidism)(注3)などの特定の病気は、血液循環を損なう可能性があります。この種の病気は年齢とともにより一般的になります。「循環系がうまく機能すると、体温が適切な位置に保たれます」とエルダダ氏は説明する。

 高齢者は他の理由で体温調節が難しい場合もある。加齢に伴い、私たちの体は震えたり、体温を保つための他の内部活動を行う能力が低下する。老化は、体を断熱する皮下の脂肪が減少することも意味する。

 年齢とともにより一般的になる特定の症状も、風邪の危険性を高める可能性があります。パーキンソン病(Parkinson’s disease)(注4)や関節炎(arthritis)により、寒さから抜け出すことが身体的に困難になることがある。認知症(dementia )など、思考や記憶に困難を引き起こす症状のある人は、天候の変化に応じて適切な服装をできない場合がある。

 エルダダ氏は「齢者の場合、寒い環境に軽度にさらされただけでも低体温症を引き起こす可能性があり、夏場はエアコンが非常に低い温度に設定されているため、低体温症になる可能性がある」と述べる。

 しかし、季節的に気温が下がると皆さんも注意が必要となる。すなわち涼しい天候では、単に汗や雨で濡れているだけで低体温症になる可能性がある。

 低体温症を防ぐ最善の方法は、屋内でも屋外でも寒さから身を守ることです。寒い天候で屋外に出なければならない場合は、着るものを束ねてください。そして、室内を暖かく保ち、家を安全な温度に保つことを忘れないでください。寒い季節に安全を保つためのヒントについては、本記事の「賢い選択Wise Choices:Protect Against the Cold」ボックスを参照されたい。

2.米国の医師資格精度の概要

 アメリカでは、4年制大学卒業後に、大学院の4年制医学課程(専門職大学院の課程)を修了するとM.D.( Medical Doctor:医学博士)の学位が得られる。その学位は、米国の医学校によって 4 年間授与され、通常は研修医(residency)*およびフェローシップ(fellowship) プログラム**での継続的な訓練を通じて、卒業生が医師として医学の世界に参入できるよう準備する。

 M.D. (医学博士) の学位を持つ人は医師であるが、M.D. を取得するまでのプロセスは長い。まず、将来の医師は化学、生物学、物理学などの科学に重点を置いて学士号を取得する必要がある。フルタイムの学生の場合、これには通常約 4 年かかる。次のステップは医学部への入学である。最初の 2 年間は前臨床段階と呼ばれ、生理学や病気のプロセスなどの科目に集中して、約 4 年間かかる。次の 2 年間は、免許試験の準備と受験をしながら、専門分野をローテーションする事務職に費やされる。医学部を卒業した後、医師は最長 7 年間の研修プログラムに参加して、選択した専門分野で追加の実務訓練を受けることができる。

*residency( 研修医)という用語は、医師が主治医の監督を受けながら、より経験豊富な医療専門家から実践的なトレーニングを受けるトレーニング段階を指す。この経験により、彼らは独自の実践方法を開発する準備が整う。

米国における研修医は、最初から希望の診療科を決定して研修をスタートさせる。日本の初期研修医が行う複数診療科のローテーションは、医学生のうちにインターンとして済ませるところが大きな違いである。診療科による違いはあるものの、3年~7年間研修医として勤務する。

**fellowship(フェローシップ研修)とは、学生が独立開業するため、または将来完全に資格のある医師になるための準備をするための研修期間を指す。この間、彼らは熟練した医師によって特別な訓練を受け、主治医の指示の下で働く。

 一方、 Ph.D.(Doctor of Philosophy)医学博士号は、M.D.が更に大学院課程を修了すると医学博士号(Ph.D)の称号が得られる。つまり、「M.D.」よりも、「M.D, Ph.D.」の称号を得る方が長期間かかる。(M.D.とPh.D.とは?医学博士の取り方、日本と海外の違いとメリット, What's the Difference Between MD and PhD Degrees?等を参照、仮訳。

 さらに、わが国でもM.D,-Ph.Dプログラムがあり、これは 7 ~ 9 年間続く学習提供プログラムであり、患者と密接に連携するだけでなく、治療プロトコル等知識を向上させるために医学に隣接する領域の研究にも多くの時間を費やす医師および研究者の両方として、臨床および学術のリーダーとなる卒業生を訓練する。すなわち、米国ではMD と PhD を組み合わせた学位プログラム(MD-PhD プログラム)では、医学に関連する分野で M.D .と Ph.D. の両方を取得する機会が学生に提供される。MD-PhD プログラムの卒業生は、多くの場合、医学部、大学、研究機関の教員になる。最終的にどこで働くかに関係なく、M.D.-Ph.D. 候補者は、患者のケアに加えて研究に多くの時間を費やすキャリアを準備している。M.D.とPh.D.のデュアルキャリアは忙しく、やりがいがあり、知識を進歩させ、病気の新しい治療法を開発し、未知の限界を押し広げることで、多くの人々に良いことをする機会を提供する。

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(注1) アメリカ国立衛生研究所( National Institutes of Health、: NIH)は、アメリカ合衆国の連邦保健福祉省(Department of Health and Human Services:HHS)・公衆衛生局( Public Health Service:PHS))の下にあり、1887年に設立された合衆国で最も古い医学研究の拠点機関である。

(注2)バシル・エルダダ( Basil ELDADAH) 氏は、NIHHのDivision of Geriatrics and Clinical Gerontology (DGCG)のSupervisory Medical Officerである。エルダダ博士はジョージタウン大学医学部で医学部医学博士M.D,)と医学博士号( Ph.D )を取得し、その後ジョージタウン大学病院で内科の研修を経て、NIH 臨床センターで自律生理学と神経心臓疾患に重点を置いた臨床薬理学のフェローシップを取得した。 彼は 2006 年から NIA に勤務している。

(注3) 甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの産生・分泌が低下し、耐寒性低下・発汗減少・便秘・浮腫・体重増加・傾眠傾向などの症状を来す疾患である。

本症の病態・予後・治療は、原発性か中枢性かによって大きく異なり、妊娠/出産との関係も重要である。最も多い原因は橋本病(慢性甲状腺炎)による原発性のものであり、その経過は多様である。また薬剤性機能障害が増加している。

診断には遊離サイロキシン(FT4)・甲状腺刺激ホルモン(TSH)測定が必須であるが、測定に至るまでに特徴的症状・徴候や一般検査異常から本症を疑うことが重要である。(12/6から抜粋)。

(注4)パーキンソン病とは、振戦(ふるえ)、動作緩慢、筋強剛(筋固縮)、姿勢保持障害(転びやすいこと)を主な運動症状とする病気で、50歳以上で起こることが多い病気である。まれに40歳以下で起こる方もあり、若年性パーキンソン病と呼んでいる。(NIHの解説)等を参照、仮訳。

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