11月30日(火曜)
今週からコートを着ています。
朝晩の冷えは秋から冬へと変わってきている東京です。
落ち葉が枯れ葉に変わる時に季節は変わるのでしょうか。
以前、ブログでも書きましたが、生き物を飼う事というのは、「生を全うする」事を、客観的に考えさせてくれる経験です。例えば犬。生まれたての仔犬が我が家に来た頃から始まって、亡くなるまで、一本の映画のように僕たちの眼前で生を駆け抜けて行く様をありのままに見せてくれる時、僕らは何か大切なものに気づかされる。
翻って、自然。
落葉樹は、「葉を茂らせ実をつけ色を変えて落ちるまでの」一生を、淡々と僕らに見せてくれます。そして、葉が落ちて木々が裸になる事が、”終わりでないこと”も教えてくれているのです。落ち葉が枯れ葉に変わる時、それは何かが色褪せて消えていくのではなく、樹だけではないさまざまの新しい生に命を吹き込む為に欠かせないエネルギーに変わるのだという事を。
横浜のみなとみらいの駅を降りて、エレベーターをみなとみらいのホールに上って行く時、右側の壁一面にシラーの詩がドイツ語と日本語で大きく書かれています。
樹木は成長することのない
無数の芽を生み
根をはり枝や葉を拡げて
個体と種の保存にはありあまるほどの
養分を吸収する
樹木は、この溢れんばかりの過剰を
使うことも享受することもなく自然に還すが
動物はこの溢れる養分を自由で
嬉々とした自らの運動に使用する
このように自然はその初源から生命の
無限の展開にむけて序曲を奏でている
物質としての束縛を少しづつ断ちきり
やがて自らの姿を自由に変えていくのである。
私はこの詩を、みなとみらいの壁から知ったのですが、この意味をこの季節になると理解できるような気になるのです。