藤田小四郎の父・藤田東湖について 勝海舟の評価
勝海舟は『氷川清談』の中で
水戸天狗党の首領である藤田小四郎の父・藤田東湖について、『氷川清談』の中で
下記のように評価している。
これは、茨城県の県民性の一側面かも?
「ご高説を説くが、赤心がない」
藤田東湖は、
おれは大嫌ひだ。
あれは学問もあるし、議論も強く、また剣術も達者で、
一廉(ひときわ)役に立ちさうな男だつた。
本当に国を思ふ赤心がない。
若し東湖に赤心があつたら、あの頃水戸は、天下の御三家だ、
直接に幕府へ意見を申出づればよい筈ではないか。
それに何ぞや、
彼れ東湖は、書生を大勢集めて騒ぎまはるとは、実に怪しからぬ男だ。
おれはあんな流儀は大嫌ひだ。
兎角実行で以て国家に尽くすのだ。
毎度いふ事だが、彼の大政奉還の計を立てたのも、つまり此の精神からだ。
併しながら実際におれの精神を了解して、この間の消息に通じて居るのは、西郷一人だつたよ。
榎本でも大島でも、昔おれを殺さうとした連中だが、
今になつては却って、頭を下げておれの処へ来るのが可笑しい。
併しおれも 『皆さんゑらくなつた』 と云つて置くのさ。
此間は二十年ぶりで慶喜公にお目にかかつたが、
その時おれは
『よい事は皆御自分でなさつた様にわるい事は皆勝が為た様に、世間にはお仰い。』 と
申しておいたよ。
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