先々週から、「日本再生戦略」に関する民主党内の議論が進められています。
この日本再生戦略は、2年前に民主党政権が策定し、取り組みを進めてきた「新成長戦略」を、これまでの成果や課題を踏まえ、さらには東日本大震災や欧州金融危機と行った外的環境の変化にも対応し、日本経済や社会の再生をめざす新たな戦略として決定されるもの。政府が今月末までの閣議決定をめざす中で、与党としてその中身について具体的な提言を行うために党内議論を進めているわけです。
ただ、残念ながら党内論議の時間が非常に限られていて、今日がどうやら最後の発言の機会。ということで、下記の2点を中心に発言。
一点目は、情報通信(ICT)戦略の位置づけをもっと全面に押し出すべきである、ということ。今回の再生戦略は、グリーンイノベーション、ライフイノベーション、農業の6次産業化(アグリイノベーション?)を中心に、11の戦略を打ち立てて日本経済の再生を図りつつ、分厚い中間層の復活をめざす、という基本方針なのですが、この11の戦略全ての実現に必要条件である情報通信(ICT)戦略が全く不十分です。全ての戦略の基盤として情報通信戦略を骨格戦略として打ち出すべきと、再度、提起させていただきました。
二点目は、その分厚い中間層の復活について、経済の再生(成長)が確実に労働者の生活向上に結びつくような、またそれが国民にはっきりと分かるような、生活再生戦略を明確に打ち出すべきである、という点です。
原案では、雇用の質の向上について謳っているのですが、それをどう実現するかという戦略、目に見える道筋がないのですね。ともすれば、「人材の育成が第一」という脈絡、つまり「能力を磨けば(スキルを身につければ)結果はついてくる」的なサプライサイドの理想論に陥ってしまっていて、成長の担い手である労働者が、働けば正当かつ公平にその果実を享受できるようにするという現実的な分配をどう確保するのか、という話が完全に抜け落ちているのです。
人材育成戦略は大事です。ただ、全ての人間が社長になるわけでも、全ての人間が発明家になるわけでも、全ての人間が投資家になるわけでもありません。大多数の人間は、普通の労働者になるのです。普通の労働者が、安心して働いて、安心して生活ができる社会を創っていくことこそが、日本再生戦略の柱であるべきだと思うのですね。
ということで、今日の会合で出た発言を受けて、あさっての水曜日、再度、事務局から修正案の提案があるとのこと。さて、どこまで意見が反映されるか・・・。