私が物心ついたとき、私の周りにはすでに犬がいました。
最初の犬との拘わりは、ポチという名前の茶色の雑種犬でした。
当時田舎では、大概の家では犬を放し飼いにしていました。
ですから、交通量が少ないわりに
犬はよく交通事故に遭いました。
その犬は、たぶん隣家で飼っていた犬だったと思いますが、
どっちの犬か分らないほど私にもよく懐いていました。
その犬が交通事故にあい、隣家の縁の下に
飛び込んで出てこなくなったのです。
当時小学生にもなってなかった私に白羽の矢が当たり、
縁の下に潜り、犬がいるかどうか見てくるように言われました。
イヤな役割、でも仕方ない。
入れるのは、小柄な私しかいないもの。
手拭いで頬かぶりをしてもらい、ゴソゴソ這いながら
潜っていきました。
奥のほうに犬らしきものがうずくまっている。
「イタツ。」
私は床板で頭を打ちながら必死で飛び出てきました。
そのあと大人達がどうして引っ張り出したか覚えていませんが、
二度とその犬を見ることはありませんでしたから
亡くなっていたんだと思います。