(167)良子の境遇
四百字詰原稿用紙換算10枚
ページ数や内容に縛りのないweb漫画掲載を想定しておりネームがなくても順番にコマが起ち上がるように書いてあります。季節は常に真夏である。
登場人物
須藤良子(12。小6)165㎝。髪をポニーテールに結んだ目を瞠るような美人。
須藤志保(35) 170㎝。良子の母。今はやつれてるが、憂いがとれたら目を瞠るような清楚な美人だと伺える顔立ち。
志保の夫(40)高校教員。メガネをかけ、見るからに偏執的で、細い目に狂気を滲ませている。
玲子(35)志保の友人。ちょっとくずれた感じの気のよさそうな美人。職業はホステス。

N=ナレーション
良子、泣きそうな顔で修一を見つめる。声を絞り出すように、
良子「お兄ちゃん・・・」
哀願するように、
良子「助けて!・・・」
修一、無言で良子を凝視。
修一(会ったばかりの俺に助けを乞うって、よっぽど追いつめられてんのか?)
修一「何があったんか話してみんさい」
良子、暗い表情で俯く。
逡巡しながら顔を上げ、
良子「話したら助けてくれる?」
優しい表情で頷き、
修一「ぜったい助けちゃる」
修一「良子ちゃんから見てどんなに恐ろしい相手でも俺から見たら鼻くそじゃけん」
良子、涙をつーと流し、すがるような眼差しで修一を見る。
良子「・・・私とママは・・・」と言いかけて手の甲で無造作に涙を拭う。
良子「ずっとお父さんに暴力を振るわれてるの・・・」
良子「何度も何度も警察に助けを求めたけど親身に取り合ってもらえなかった・・・」
床に頭を抱えて丸まった良子が蹴られぬように娘に覆い被さって守る母を、たけり狂った夫が蹴りまくってる絵に良子の声、
「昨日の夜、あいつがママを蹴りまくったあと風呂に入った隙に二人で逃げだしてきたの・・・」
修一「良子ちゃんがここにいるって事は、ママの友達がこのマンションに住んでるって事じゃね?」
良子、こくんと頷く。
修一「良子ちゃんのアザを見てピンときたが、子供にも手を挙げるとは許しがたい野郎じゃのう」
良子「ほんとに助けてくれる?」
修一「まかせとけ」
修一に手を繋ぎ、
良子「一緒にきて」
○玲子の部屋
良子に手を繋がれ修一が部屋に入ってゆく。
注、修一はTシャツ、短パン姿。志保は超美人だが今はやつれて美しさがそこなわれてる。
布団で首までタオルケットをかけて寝てる志保の側で横座りした玲子が修一を見あげて訝しげに、
玲子「良子ちゃん、どなた?」
注、玲子はノースリーブに短めのスカート姿。
良子「この上の階の一番端っこの部屋に住んでる人」
玲子「ああ、せまい駐輪場に我が物顔で大きなバイクを停めてる人ね」
申し訳なさそうに、
修一「すんません」(なんか波乱万丈そうなお姉さんじゃのう・・・)
玲子「みんな自転車を放置したまま引っ越してくからぎゅーぎゅー詰めになっちゃうのよね」
申し訳なさそうに、
修一「あとで持ち主のない自転車を片づけときます」
玲子「それは管理会社の仕事。私が連絡しとくから気にしないで」
修一を好奇心に満ちた顔で見上げ、
玲子「あなた、二枚目じゃないけど女を引きつける不思議な魅力があるわね」
玲子「私、彼女の友人で玲子っての。ホステスだけど成人したらお客できてね」
修一「はあ」「成人するまで待てんから新聞配達して金が貯まったらソッコーでいきます」
くすっと笑い、
玲子「ユーモアのセンスもあるのね」
玲子「ねえ、見上げて話すの首が痛くなるから座って」
胡坐をかいて座る修一に、
玲子「で、なんのご用?良子ちゃんを嫁にくれって談判にきたの?」と言う言葉を聞き、良子が頬を染めて俯く。
頬を染めたまま、
良子「このお兄ちゃんがママと私を助けてくれるの」
「え」っと驚く志保と玲子。
志保のやつれてはいるが無傷の顔を凝視し、
修一(別に殴られた跡もないし、ひょっとしてこの子に担がれたか・・・?)
修一が突然志保のタオルケットをめくったので、玲子が咎めるように「ちょっと」と声を荒げる。
ブラとパンツだけで寝てるスタイル抜群の志保の全身に殴られたアザがあるのを見て、憤怒の形相で、
修一「くそったれがーっ」
志保に、
修一「いつから旦那に虐待されとるんな?」
目に好奇心を滲ませ、
玲子「初対面で年上に、くだけた話し方するんだ」
不敵な顔で、
修一「これが俺の地なんですよ」
玲子「傷跡がみえない首から下だけを狙って殴るの。悪知恵だけは回るクソ男よ」
良子を見て、
志保「この子をつれて何度も逃げたけど・・・」
志保「嗅覚が異様に鋭い夫にすぐに見つかって、連れ戻されては暴力を振るわれるの繰り返しなんです」
パンツの股部から陰毛が2本はみ出てる志保の股間をチラっと見やり、
修一「あんたの親には頼れんのか?」
玲子、志保の股間をチラ見する修一を興味深げに凝視する。
志保「最初、実家に逃げたとき両親が半殺しにされたから、もう頼れないんです」
良子「今度は爺ちゃんと婆ちゃん、本当に殺されちゃうよ」
修一「DV被害者をかくまってくれるシェルターみたいなんがあろうが?」
志保「もちろんシェルターにも駆け込んだけど・・・」
修一「すぐに見つかったか?」
志保、力なく頷く。
腕組みして沈思し、
修一(この手のサイコ野郎は痛めつけてもまた繰り返すに決まっちょる)
修一(殺すしかなかろうのう・・・)と沈思する修一を、玲子が興味深げに見てる。
玲子、ほんのり頬を染め、すました顔でスカートのスソを少し上げて太腿を露出させる。
玲子の太腿の奥にチラっとパンツが見える絵のアップ。
さりげなくソコに目をやった修一を玲子が頬を染めて見つめる。
微かに動揺しながら志保に、
修一「もし旦那が死んだら悲しいか?」
志保、良子、玲子が、えっという顔で修一を見る。
首を振り、
志保「悲しいなんてとんでもない。ずっと夫が死んでくれたらと願ってきた位だから」
訴えるように、
良子「あいつが死ねばママと二人だけでびくびくせずに暮らせる」
良子「お兄ちゃん、お願い、あいつを殺して」
志保と玲子が、ぎょっとして良子を見る。
修一「良子ちゃんの願いは必ず適うけん安心しんさい」
三人の女がえっという顔で修一を見る。
修一「サイコ野郎の年と仕事は?」
志保「40才で公立高校の教師です」
修一「正規雇用か?」
志保「はい」
修一「なら厚生年金に加入してるから死んだら退職金と、良子ちゃんが高校を卒業するまで遺族年金をもらえるな」
意外そうに、
志保「え、年金をもらえるんですか?」
修一「(頷き)正規雇用なら当然生命保険に入ってるよな?」
志保「(頷き)はい。二千万と三千万のに二口入ってます」
修一(保険金が五千万と、退職金と遺族年金がありゃ当分生活には困らんか・・・)
修一(さて、どう始末をつけるか・・・)
修一(ぶち殺して山に捨てるのが一番手っ取り早いんじゃが・・・)
修一(警察が死亡を確認せにゃ保険金が下りんし、遺族年金の申請もできんのよのう)
修一(うーん、思案のしどころよのう・・・)
志保を見て、
修一「あんたの家を教えてくれるか」
不安げに、
志保「夫と会うんですか?」
修一「会わにゃ事が進むまい」
天井のシーリングライトの絵。
不安そうに、
志保「外面がすごく良くて、会ったらきっと丸め込まれますよ」
不敵に笑み、
修一「サイコ野郎に話すいとまなど与えやせんよ」
立ち上がりながら、
修一「俺の顔を見た瞬間がこの世の見納めよ」
三人の女は玄関に向かう修一の後ろ姿を慄然と見ている。
つづく
四百字詰原稿用紙換算10枚
ページ数や内容に縛りのないweb漫画掲載を想定しておりネームがなくても順番にコマが起ち上がるように書いてあります。季節は常に真夏である。
登場人物
須藤良子(12。小6)165㎝。髪をポニーテールに結んだ目を瞠るような美人。
須藤志保(35) 170㎝。良子の母。今はやつれてるが、憂いがとれたら目を瞠るような清楚な美人だと伺える顔立ち。
志保の夫(40)高校教員。メガネをかけ、見るからに偏執的で、細い目に狂気を滲ませている。
玲子(35)志保の友人。ちょっとくずれた感じの気のよさそうな美人。職業はホステス。

N=ナレーション
良子、泣きそうな顔で修一を見つめる。声を絞り出すように、
良子「お兄ちゃん・・・」
哀願するように、
良子「助けて!・・・」
修一、無言で良子を凝視。
修一(会ったばかりの俺に助けを乞うって、よっぽど追いつめられてんのか?)
修一「何があったんか話してみんさい」
良子、暗い表情で俯く。
逡巡しながら顔を上げ、
良子「話したら助けてくれる?」
優しい表情で頷き、
修一「ぜったい助けちゃる」
修一「良子ちゃんから見てどんなに恐ろしい相手でも俺から見たら鼻くそじゃけん」
良子、涙をつーと流し、すがるような眼差しで修一を見る。
良子「・・・私とママは・・・」と言いかけて手の甲で無造作に涙を拭う。
良子「ずっとお父さんに暴力を振るわれてるの・・・」
良子「何度も何度も警察に助けを求めたけど親身に取り合ってもらえなかった・・・」
床に頭を抱えて丸まった良子が蹴られぬように娘に覆い被さって守る母を、たけり狂った夫が蹴りまくってる絵に良子の声、
「昨日の夜、あいつがママを蹴りまくったあと風呂に入った隙に二人で逃げだしてきたの・・・」
修一「良子ちゃんがここにいるって事は、ママの友達がこのマンションに住んでるって事じゃね?」
良子、こくんと頷く。
修一「良子ちゃんのアザを見てピンときたが、子供にも手を挙げるとは許しがたい野郎じゃのう」
良子「ほんとに助けてくれる?」
修一「まかせとけ」
修一に手を繋ぎ、
良子「一緒にきて」
○玲子の部屋
良子に手を繋がれ修一が部屋に入ってゆく。
注、修一はTシャツ、短パン姿。志保は超美人だが今はやつれて美しさがそこなわれてる。
布団で首までタオルケットをかけて寝てる志保の側で横座りした玲子が修一を見あげて訝しげに、
玲子「良子ちゃん、どなた?」
注、玲子はノースリーブに短めのスカート姿。
良子「この上の階の一番端っこの部屋に住んでる人」
玲子「ああ、せまい駐輪場に我が物顔で大きなバイクを停めてる人ね」
申し訳なさそうに、
修一「すんません」(なんか波乱万丈そうなお姉さんじゃのう・・・)
玲子「みんな自転車を放置したまま引っ越してくからぎゅーぎゅー詰めになっちゃうのよね」
申し訳なさそうに、
修一「あとで持ち主のない自転車を片づけときます」
玲子「それは管理会社の仕事。私が連絡しとくから気にしないで」
修一を好奇心に満ちた顔で見上げ、
玲子「あなた、二枚目じゃないけど女を引きつける不思議な魅力があるわね」
玲子「私、彼女の友人で玲子っての。ホステスだけど成人したらお客できてね」
修一「はあ」「成人するまで待てんから新聞配達して金が貯まったらソッコーでいきます」
くすっと笑い、
玲子「ユーモアのセンスもあるのね」
玲子「ねえ、見上げて話すの首が痛くなるから座って」
胡坐をかいて座る修一に、
玲子「で、なんのご用?良子ちゃんを嫁にくれって談判にきたの?」と言う言葉を聞き、良子が頬を染めて俯く。
頬を染めたまま、
良子「このお兄ちゃんがママと私を助けてくれるの」
「え」っと驚く志保と玲子。
志保のやつれてはいるが無傷の顔を凝視し、
修一(別に殴られた跡もないし、ひょっとしてこの子に担がれたか・・・?)
修一が突然志保のタオルケットをめくったので、玲子が咎めるように「ちょっと」と声を荒げる。
ブラとパンツだけで寝てるスタイル抜群の志保の全身に殴られたアザがあるのを見て、憤怒の形相で、
修一「くそったれがーっ」
志保に、
修一「いつから旦那に虐待されとるんな?」
目に好奇心を滲ませ、
玲子「初対面で年上に、くだけた話し方するんだ」
不敵な顔で、
修一「これが俺の地なんですよ」
玲子「傷跡がみえない首から下だけを狙って殴るの。悪知恵だけは回るクソ男よ」
良子を見て、
志保「この子をつれて何度も逃げたけど・・・」
志保「嗅覚が異様に鋭い夫にすぐに見つかって、連れ戻されては暴力を振るわれるの繰り返しなんです」
パンツの股部から陰毛が2本はみ出てる志保の股間をチラっと見やり、
修一「あんたの親には頼れんのか?」
玲子、志保の股間をチラ見する修一を興味深げに凝視する。
志保「最初、実家に逃げたとき両親が半殺しにされたから、もう頼れないんです」
良子「今度は爺ちゃんと婆ちゃん、本当に殺されちゃうよ」
修一「DV被害者をかくまってくれるシェルターみたいなんがあろうが?」
志保「もちろんシェルターにも駆け込んだけど・・・」
修一「すぐに見つかったか?」
志保、力なく頷く。
腕組みして沈思し、
修一(この手のサイコ野郎は痛めつけてもまた繰り返すに決まっちょる)
修一(殺すしかなかろうのう・・・)と沈思する修一を、玲子が興味深げに見てる。
玲子、ほんのり頬を染め、すました顔でスカートのスソを少し上げて太腿を露出させる。
玲子の太腿の奥にチラっとパンツが見える絵のアップ。
さりげなくソコに目をやった修一を玲子が頬を染めて見つめる。
微かに動揺しながら志保に、
修一「もし旦那が死んだら悲しいか?」
志保、良子、玲子が、えっという顔で修一を見る。
首を振り、
志保「悲しいなんてとんでもない。ずっと夫が死んでくれたらと願ってきた位だから」
訴えるように、
良子「あいつが死ねばママと二人だけでびくびくせずに暮らせる」
良子「お兄ちゃん、お願い、あいつを殺して」
志保と玲子が、ぎょっとして良子を見る。
修一「良子ちゃんの願いは必ず適うけん安心しんさい」
三人の女がえっという顔で修一を見る。
修一「サイコ野郎の年と仕事は?」
志保「40才で公立高校の教師です」
修一「正規雇用か?」
志保「はい」
修一「なら厚生年金に加入してるから死んだら退職金と、良子ちゃんが高校を卒業するまで遺族年金をもらえるな」
意外そうに、
志保「え、年金をもらえるんですか?」
修一「(頷き)正規雇用なら当然生命保険に入ってるよな?」
志保「(頷き)はい。二千万と三千万のに二口入ってます」
修一(保険金が五千万と、退職金と遺族年金がありゃ当分生活には困らんか・・・)
修一(さて、どう始末をつけるか・・・)
修一(ぶち殺して山に捨てるのが一番手っ取り早いんじゃが・・・)
修一(警察が死亡を確認せにゃ保険金が下りんし、遺族年金の申請もできんのよのう)
修一(うーん、思案のしどころよのう・・・)
志保を見て、
修一「あんたの家を教えてくれるか」
不安げに、
志保「夫と会うんですか?」
修一「会わにゃ事が進むまい」
天井のシーリングライトの絵。
不安そうに、
志保「外面がすごく良くて、会ったらきっと丸め込まれますよ」
不敵に笑み、
修一「サイコ野郎に話すいとまなど与えやせんよ」
立ち上がりながら、
修一「俺の顔を見た瞬間がこの世の見納めよ」
三人の女は玄関に向かう修一の後ろ姿を慄然と見ている。
つづく