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メディアが報じない「トランプ就任」ウラで、データが物語る「大統領選圧勝」報道の不都合な真実 202501

2025-01-31 01:26:00 | ¿ はて?さて?びっくり!

メディアが報じない「トランプ就任」ウラで、データが物語る「大統領選圧勝」報道の不都合な真実
 現代ビジネス より250131 福井 義高(青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授)


⚫︎トランプ「圧勝」報道をそのまま受け取っていいのか
 トランプ大統領就任からすでに10日以上経過、改めて、米国の選挙結果とその報道を振り返ってみたい。

 昨年11月に行われた米大統領選をめぐっては、テレビなどをはじめとするオールドメディアによる接戦、しかも民主党候補のカマラ・ハリス前副大統領がやや優勢という事前の報道に対し、結果は共和党候補のドナルド・トランプ大統領の勝利が投票終了後すぐに確定した。

 トランプ「圧勝」を受けて、オールドメディアの偏向が甚だしいという主張が勢いを増し、オールドメディアも自らの「敗北」を認めるかのように、トランプ圧勝を前提に今後の米国がどこに向かうのかという問題意識に基づいた報道を行っている。

 しかし、本当にトランプは圧勝したのだろうか。なにを持って圧勝と呼ぶかは人によって様々であるけれど、ここでは米連邦選挙委員会の公式発表データ(※1)に直接あたることで、トランプが勝利したといはいえ、やはり接戦というしかない結果だったことを明らかにしたい。


図表1は、米国全体と勝敗の帰趨を決めるとされた七つの接戦州の結果を示したものである。

 米大統領選はフランスなどとは違い、全国得票数の多寡ではなく、州ごとに勝った候補が連邦議員数(ほぼ人口に比例)に応じて与えられる大統領選挙人(総数538人)の獲得数で決まる。

 結果的にトランプは接戦州とされた7州で全勝したため、大統領選挙人獲得数でみれば、トランプ312人に対し、ハリス226人で大きな差をつけての勝利となった。
選挙後の圧勝報道はこの事実に基づいている。
 しかし、全国得票率でみると、トランプの49.8%に対し、ハリスは48.3%で、その差はわずか1.5%しかなかった。
まさに接戦である。
 得票率の合計が100%にならないのは、二人以外のほとんど報道されない候補者たちが1.9%得票したことによる。

⚫︎騒がれた接戦7州の結果はどうだったのか?
 それでは勝敗の帰趨を決めた、大統領選挙人が93人割り当てられた接戦7州の結果はどうだったのか。
 図表1では、トランプとハリスの得票率差が少ない州から多い州、具体的には、ウィスコンシン、ミシガン、ペンシルバニア、ジョージア、ネバダ、ノースカロライナ、アリゾナの順で結果を示した。

 なお、前回2020年の大統領選では、現職だったトランプを破って当選したジョー・バイデン前大統領が、ノースカロライナ以外の6州で勝っている。

 トランプは7州すべてで勝ったとはいえ、得票差は小さく、得票率でみればハリスをウィスコンシンでは0.9%、ミシガンでは1.5%、ペンシルバニアでは1.7%上回っただけで、まさに薄氷の勝利であった。
 もしハリスが、この3州で合わせて23万票(全国投票数のわずか0.15%)多く得票し競り勝っていれば、大統領選挙人獲得数は270人となり、ハリス大統領が誕生するところだったのである。

 圧勝というのは、1984年の大統領選で現職のロナルド・レーガン元大統領(共和党)が、ウォルター・モンデール元副大統領(民主党、のちに駐日大使)に得票率で18%の差をつけ、大統選挙人538人中525人獲得して勝ったような場合をいうのではなかろうか。

 同時に行われた上下両院選(小選挙区制)の結果も、トランプか否かが焦点となった今回の選挙が接戦だったことを示している。米国では任期6年の上院議員(州ごとに2人、計100人)が2年ごとに三分の一ずつ改選され今回は7接戦州のうち、5州で選挙があった。

 図表1に示したように、大統領選では共和党のトランプがすべて勝ったのに対し、上院選では共和党候補はペンシルバニアで勝っただけで、民主党の候補が4州で勝利した(上院全体で共和党53人、民主党47人)。
 また、任期2年の下院議員(人口に応じて区割りされ、計435人)は全員が改選され、共和党は220人で民主党の215人をわずかに上回ったものの、前回2022年中間選挙より2人減らした。

全国得票率は50.6%で前回の50.0%とほぼ同じであった(今回結果は独立系の米選挙分析ニュースレター「Cook Political Report」(※2)。さらに、政権入りのため、すでに二人辞任したので、現時点での共和党下院議員は218人、近々もうひとり辞任することになっている。

 今回の大統領選におけるトランプ大統領の勝利は圧勝とは言い難く、トランプ色が濃くなったとはいえ、共和党は両院(とくに下院)とも過半数をわずかに上回るだけである。
 大統領任期中の上下院選のみが行われる中間選挙は一般に与党に不利とされるので、2026年の中間選挙で両院のいずれかあるいは両方で共和党が少数派となり、議会運営の主導権を民主党に奪還される可能性は低くない。

トランプ大統領就任後の米国政治をめぐっては、今回の勝利が圧勝ではなく接戦だったという事実を前提に議論する必要があろう。

…つづく<知ってはいけない、世界の《残酷な常識》日本メディアは報じない、“正義のアメリカ”国家解体「やりたい放題」の実態>では福岡義高氏、川口マーン惠美氏による、日本人が知らない世界の本音を明かします。

(※1)https://www.fec.gov/resources/cms-content/documents/2024presgeresults.pdf

(※2)https://www.cookpolitical.com/vote-tracker/2024/house

前回結果は公式発表データ:https://clerk.house.gov/member_info/electionInfo/2022/statistics2022.pdf
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