地球温暖化を超えた新たな危機が到来。今夏から聞かれるようになった“地球沸騰化”とは?
BDS編集部 より 231005
9月半ばになっても厳しい残暑が続いている。
東京都心では8月、観測史上初となる、31日連続で最高気温30℃以上の「真夏日」を記録。さらに、今年6月~8月までの3ヵ月間、35℃以上の「猛暑日」は合計22日となり、過去最多を記録した。
これらの状況を受け、今夏よりニュース等で耳にするようになったのが“地球沸騰化”という言葉だ。いままで幾度となく使われていた“地球温暖化”とは、何が違うのだろうか。
地球沸騰化とは,今年7月の世界の平均気温が観測史上最高となる見通しから生まれた言葉。国連のグテレス事務総長は7月27日の会見で、「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と言及した。
地球沸騰化とは,今年7月の世界の平均気温が観測史上最高となる見通しから生まれた言葉。国連のグテレス事務総長は7月27日の会見で、「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と言及した。
ちなみに、EUの気象情報機関によると、7月の世界平均気温は、記録が残っている1940年以降で最高であった。
地球沸騰化の原因は、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスが増え続けていることにある。これらが大量に排出されることで大気中の濃度が高まり、熱の吸収が増えた結果、気温が上昇しているのだ。
地球沸騰化の原因は、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスが増え続けていることにある。これらが大量に排出されることで大気中の濃度が高まり、熱の吸収が増えた結果、気温が上昇しているのだ。
1880年〜2012年の約130年間で、世界の平均気温は0.85℃上昇。
今年7月には、1880年と比べて1.5℃も上昇している。
このような状況から、地球温暖化以上のレベルを意味する、地球沸騰化という言葉で表現されるようになったのだ。
なお、平均気温1.5℃の上昇だが、2015年に開催された「パリ協定」で定められた努力目標の1.5℃に追い付いてしまっている。つまり、予想を上回る早さで気温が上昇しているのだ。
地球沸騰化の現象は、世界各国で見られている。日本では、冒頭で触れたように「真夏日」と「猛暑日」が過去最多を記録。
地球沸騰化の現象は、世界各国で見られている。日本では、冒頭で触れたように「真夏日」と「猛暑日」が過去最多を記録。
総務省消防庁の「令和5年熱中症による救急搬送状況(数別推移)」によると、7月に入ってから搬送人数が急激に増加している。
また,7月17日~23日までの1週間の人数は9190人と,前年同(4078人)より約2.3倍も増えていることが分かる。
世界を見てみると、香港では9月に記録的な豪雨に見舞われ、1時間雨量が158.1mmと、140年前に観測を始めて以来、最大雨量を記録。
世界を見てみると、香港では9月に記録的な豪雨に見舞われ、1時間雨量が158.1mmと、140年前に観測を始めて以来、最大雨量を記録。
また、原因は不明だが、ハワイ州マウイ島で発生した山火事を起こしたハリケーンは、異常気象が発端と考えられている。
このような、相次ぐ熱波や山火事についてグテレス事務総長は、「人類の責任」と発言。また、温室効果ガスの約80%を、日本も参加している「G20」が排出していることにも触れ、地球沸騰化がニューノーマルになると警鐘を鳴らしている。
日本では、地球沸騰化が今後も進むと夏が長くなり「四季」が失われ「二季」に変化しつつある、との指摘もある。また、気候変動に関する国際組織「IPCC」が昨年4月に発表した「第6次報告書」によると、2100年には3.2℃上昇すると予想されている。
今後、各国で気候変動対策の動きが加速していくことは間違いない。
日本では、地球沸騰化が今後も進むと夏が長くなり「四季」が失われ「二季」に変化しつつある、との指摘もある。また、気候変動に関する国際組織「IPCC」が昨年4月に発表した「第6次報告書」によると、2100年には3.2℃上昇すると予想されている。
今後、各国で気候変動対策の動きが加速していくことは間違いない。
ただ、それ以上に、地球沸騰化の危機感を持ち、エアコンの温度を1℃高く設定したり、3R(リデュース・リユース・リサイクル)を実践するなど、個人レベルの取り組みを行うことが求められている。