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府民がよく降りる? 大阪モノレール“ナゾの終着駅”「門真市」には何がある? 2024/04

2024-04-09 01:38:02 | 🌇 街案内
府民がよく降りる? 大阪モノレール“ナゾの終着駅”「門真市」には何がある?
  文春 Online より 240409鼠入 昌史
〈御堂筋線“ナゾの終着駅”「箕面萱野」には何がある?〉から続く


 千里ニュータウンを中心とする、北摂地域。そこに通る鉄道路線は、だいたい大阪の中心部とを結ぶ南北の路線ばかりだ。新大阪・梅田と直結する地下鉄御堂筋線・北大阪急行しかり、阪急千里線しかり。


 そうした中で,唯一の千里丘陵東西路線として存在感を示しているのが,大阪モノレールだ。
 千里中央駅で、北大阪急行から大阪モノレールに乗り換える。
西に向かえば空の玄関口・大阪空港(伊丹空港)。
東に向かえば、太陽の塔がそびえ立つ万博記念公園、そして吹田ジャンクションをやり過ごせば南茨木駅で阪急京都線と交差。

 そのまま近畿自動車道の脇を走り続け、新幹線の車両基地を横目に淀川を渡ってほどなく東の終点を迎える。その駅は、門真市駅という。

 箕面萱野駅に行ってきます、という話を編集氏としていたら、「ついでに門真市にも」という。なんでも、「免許センターがあるからみんな門真って知ってますから」と。

 千里中央駅からモノレールに乗れば30分ほどで門真市駅に着く。それほど遠いわけでもないから、じゃあ行ってきます、というわけで門真市駅にやってきたのである。

⚫︎大阪府民がよく降りる? モノレール“ナゾの終着駅”「門真市」には何がある?
 そんな言い訳をしたところであまり意味はないが、門真市という駅はその名の通り門真市にある。モノレールに加えて京阪電車も乗り入れており、門真市の玄関口としての役割を持っている。モノレールが南北に、京阪電車が東西に走って交差する。駅前広場があるのは、南東の一角だ。

 駅前広場に出ると、ロータリーの脇にはスーパーマーケットのイズミヤとそれに直結する集合住宅。マンションというよりはどちらかというと団地に近い風貌だ。通りを挟んだ南側にはパチンコ店や飲食店が建ち並ぶ。この一帯の街路は、基本的には東西南北碁盤の目によく整えられている。

 ただ、駅前には古いバラックのような建物がひしめくゾーンがあって、そこは東西南北の街路を無視して斜めの路地。裏手の小さな公園には区画整理の記念碑が置かれていたから、もともとはもっとごちゃごちゃと込み入った駅前だったのだろうか。

 さらにその周辺は……というと、まあこれが特に何も言うべきこともないような郊外の住宅地である。イズミヤの集合住宅の他にはマンションやアパート、また少し駅前から離れればちょっと古めの戸建て住宅がひしめくエリアもある。このあたりもまた細い路地が入り組んだりしているので、小さな住宅が集まる一帯だったであろうことがうかがえる。

 駅前から東に向かって歩いて行っても、小学校の広大な敷地が目立つほかには取り立てて変わりのない町並みが続く。15分も歩けば京阪電車のお隣の駅、古川橋駅が見えてくる。関西の私鉄の駅は、駅間が短い。これは、もともと一般的な鉄道ではなく、軌道、つまり路面電車がルーツであることが多いからだろうか。

⚫︎駅前から西へ向かう。高架の先には…
 門真市駅前に戻って、今度は西に向かおう。駅前広場のすぐ西側には、まずモノレールの門真市駅の高架があって、さらに並んで近畿自動車道の高架が通る。それを潜れば、また小さな住宅や商店を中心とした町並みが続く。

 京阪電車が高架を駆ける線路沿いを少し歩くと、北に向けては住友通商店街、南に向けては門真銀座と呼ばれる商店街も伸びる。こちらもお隣の駅がすぐ近くで、西三荘という。西三荘駅までは高架下も商業施設になっているようで、昔ながらの私鉄沿線の駅前風景といったところだろうか。

⚫︎駅前にやたらと“ホテル”がたっている理由
 そしてもうひとつ、門真市駅の周辺でやたらと目に留まるのは、ビジネスホテルだ。アパホテルにスーパーホテル、そして東横イン。他にもいくつものホテルが建ち並んでいる。

 町中を歩いている限りでは、ただの大阪郊外の住宅地。そこになぜ、これだけのホテルが集まっているのだろうか。

 その答えは、駅の北側に出ればすぐにわかる。門真市駅の北側には、パナソニックの巨大な工場が広がっているのだ。さらに、お隣の西三荘駅の北側にもパナソニック。こちらには本社機能も置かれている。

 かの松下幸之助が大阪市内で創業し、1933年に郊外の当時は門真村に移転して以来の本拠地だ。そういえば、都市対抗野球にパナソニックが出場するときも、「門真市」の看板を背負っている。こうしたパナソニックの本社近くということから、門真市駅周辺にはビジネスホテルが建ち並ぶ。

⚫︎水害に悩まされ続けた門真にその日、松下電器がやってきた
 現在の門真市一帯は、淀川の南岸の氾濫原に位置している。そのため、大部分が低湿地で水害にも悩まされてきた歴史を持つ。明治時代には、低湿地という特徴を活かしてレンコン栽培が盛んになり、日本有数の産地になっていたという。

 都市化のきっかけは、1933年の松下電器(パナソニック)の移転だ。戦前・戦中期の航空写真で門真市周辺を見ると、田園地帯の中に黒く塗りつぶされた地点がいくつかある。それがまさに、現在にも通じるパナソニックの工場だ。軍事的な役割も担っていたから、航空写真では黒塗りされたのだろう。

 ただし、この当時は現在の門真市駅は開業していない。その代わり、現在の門真市駅と西三荘駅の中間くらいに「門真駅」を設けていた。戦後も長らくその状態が続いたが、近畿自動車道の地上部分、すなわち中央環状線が整備されると、その交差部に新門真駅として開業する。1971年のことだ。

⚫︎高度経済成長期、人口増加率が日本一だった門真の「ものすごい勢い」
 この頃の門真一帯は、めざましい発展を遂げていた。1960年代後半の人口増加率は日本一だったというから、ものすごい勢いでの都市化であった。その中核には松下電器の工場があったに違いない。他はほとんどが田園地帯で、宅地化の余地が存分に残されていたことも大いに関係しているだろう。

 大阪郊外で、ややもすれば純粋なベッドタウンにでもなりそうな地理的条件。にもかかわらず、松下電器、パナソニックの存在によって、門真は全国屈指の規模を誇る企業城下町になったのである。

 門真市駅周辺の町の中を歩いていると、碁盤の目に整備された街路とは別に細く入り組んだ路地に小さな住宅がひしめくエリアも目立つ。これは、昭和の昔に松下電器の工場で働く人たちが暮らす住宅ゾーンだった時代の名残なのだろう。

 それでいて、京阪電車に乗ったら30分ばかりで大阪の中心部まで出ることができるのだから、パナソニックとは別のベッドタウンとしても機能する。そういう意味で、なかなかよくできた町なのである。

 ちょうど門真の町が大発展中だった1971年に、新門真駅は開業した。わずか4年後の1975年には門真市駅に改称し、モノレールが乗り入れたのはずっと遅れて1997年になってからである。

 ちなみに、モノレールは現在延伸事業の真っ只中。さらに環状線・近畿自動車道に沿って南へ、2029年には近鉄奈良線との交差地点まで延伸する予定だという。そうなれば、門真市駅は終着駅から途中駅へ。そして、大阪東部における弱点だった南北の交通がますます充実することになる。

⚫︎駅で降りる人たちがなんだか南に向かっていく…?
 ともあれ、そんなパナソニックの城下町の門真市の玄関口・門真市駅。モノレールと京阪電車の改札口は互いに簡易的なペデストリアンデッキで結ばれている。この駅で降りるお客たちを見ていると、どうやらパナソニックの社員やこの周辺に住んでいる人ばかりでもないようだ。

 そんなお客はみな駅前広場は無視してモノレール・近畿自動車道に沿って南に向かう。

 その流れに乗って南に進んでゆくと、いくつかのホテルなどを通り過ぎたのちに地下道を潜り、10分ばかりで真新しい大型商業施設が見えてくる。ららぽーと門真・三井アウトレットパーク大阪門真である。

 ひっくるめてららぽーとと呼ばせていただくと、この門真のららぽーとがオープンしたのは2023年の4月だ。三井不動産にとっては、はじめてららぽーとと三井アウトレットパークというふたつの業態を一体化させた施設なのだという。

 なぜ門真という町にこの広大な商業施設が生まれたのか。それはもちろん、ここにはもともとパナソニックの工場があったからだ。その工場は2017年に移転して姿を消し、跡地の再開発で生まれたのがこのららぽーと。

 さらに敷地の南側にはコストコもできたし、隣接してマンションもできる予定だ。かつては莫大な雇用を生んだ工場が、移転したらしたでたくさんの人が集まる商業施設へ。平日の夕方、ららぽーとの中は溢れんばかりの人で活気に満ちていた。

⚫︎レンコン畑、パナソニックの城下町…モノレール延伸後の「門真市」には何がある?
 門真市駅に戻る。この駅は、門真市やパナソニック、またららぽーとの玄関口であるだけでなく、モノレールと京阪電車の乗り継ぎも担う。京阪電車沿線、たとえば枚方やら寝屋川やらに暮らしている人たちも、伊丹空港を使うときにはこの駅でモノレールに乗り換えるのだろう。

 京阪電車のホームに降りる。日中には各駅電車しか停まらないのが玉にキズだが、それでも守口市駅では準急に乗り継げるし、そうすれば10分ほどで京橋駅へ。そのまま終点の淀屋橋駅に向かえば、地下鉄御堂筋線に乗り換えることもできる。

 モノレールの延伸が実現すれば、ますます交通の便に恵まれることになるだろう。レンコン畑に始まった大阪郊外の低湿地は、パナソニックの城下町となって都市化した。そうした歴史の詰まった門真市駅。やはり、どの町にもドラマがあるものなのだ。

写真=鼠入昌史
(鼠入 昌史)

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