iPSから「さまざまな組織になる幹細胞」培養で新手法 京大など「より安全に」
京都新聞 より 220915
京都大学
iPS細胞(人工多能性幹細胞)から体のさまざまな組織になる「間葉系幹細胞」を作る過程で、動物に由来する成分を使わない新たな培養手法を、京都大などのグループが開発した。細胞の移植治療における感染症リスクが抑えられ、より安全な再生医療につながる可能性がある。15日に英科学誌に掲載された。
間葉系幹細胞は骨や筋肉、脂肪、神経などのもとになる細胞で、移植治療への応用が期待されている。これまでもiPS細胞から作製することに成功していたが、細胞培養の際に動物由来の成分を使っており、性質のばらつきや感染症リスクなどが課題だった。
京大iPS細胞研究所の上谷大介特命助教や池谷真准教授らは、従来用いていたウシの血清やマウスの細胞を人工化合物に置き換え、ヒトのiPS細胞を培養。約1カ月かけて間葉系幹細胞に変化させることに成功した。
さらにこの細胞をマウスに移植したところ,骨や筋肉を再生させる効果も確認できたという。
グループによると、人工物を使う今回の手法では、細胞の性質を一定に保てるほか、実用化に向けて安全性審査などの手続きがスムーズになるとみられる。
グループによると、人工物を使う今回の手法では、細胞の性質を一定に保てるほか、実用化に向けて安全性審査などの手続きがスムーズになるとみられる。
池谷准教授は「より医療応用しやすい手法といえる。難病治療などにも生かしたい」と話している。