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🌲ウッドショック禍 日本の林業が 国産材増強に 踏み切れない理由   2105

2021-05-28 11:34:00 | ¿ はて?さて?びっくり!

ウッドショック禍、日本の林業が「国産材増産」に踏み切れない理由
Forbes JAPAN 編集部   より  210528

「ウッドショック」は対岸の火事ではない。木材を輸入で賄う日本には、その影響が出始めている。価格の高騰は、いずれ住宅価格に反映される可能性があり、消費者にとっても無視できない存在だ。

 そうした状況であがる、国産材シフトへの声。しかし、日本の林業界の動きは鈍いという。チャンスにあっても国産材の増産になぜ踏み切れないのか、森林ジャーナリストの田中淳夫氏が解説する。

⚫︎買い負け状態にある日本
 今年3月の初め頃、知り合いの木材業者から電話が入った。「フローリング用の木材が高騰して手に入らない、どこか別のルートはないか」というのである。さらに同日、別の業者からは「ヒノキの製材価格が2倍になった」という悲鳴も届いた。

 各所に探りを入れると、どうやら騒ぎの発生源は外材にあるらしい。アメリカやカナダ、それにヨーロッパの建材価格が跳ね上がったのだ。そのため製材業者や集成材業者は国産材へ殺到し、日本でも価格が高騰。同時に品不足にもなった。この木材価格の高騰現象は、ほどなく「ウッドショック」と呼ばれるようになる。

 原因は、アメリカの住宅バブル。もともとカナダの森で虫害が発生していたうえ、コロナでの不況を予測し減産していた。ところが予想に反して木材市場は、活況に転じる。莫大な財政出動と歴史的な住宅ローンの低金利政策が取られた結果、市民がリモートワークのために、郊外に新しく住宅を購入したり、リフォームを盛んに始めたりしたのだという。

 同じことは、コロナ禍を早期に抑え込んだ中国でも起きた。コンテナ不足という物流事情も加わり高値となった木材を、世界中から買い集めている。

 日本は、その高値に手も足も出ず、買い負け状態だ。木材需要の6割を外材、とくに建築材の多くを米材や欧州材に依存しているため、一気に木材不足に陥ったわけだ。

⚫︎7割が森林、それでも国産材増産の余裕なし
 そこで、「今こそ国産材を」という声が高まっている。日本は7割が森林に覆われていて木材は豊富にあるはずだ。国産材の需要が増え高値が付けば、林業は活性化し、山村経済も立ち直るきっかけになるのではないか。そう期待する声も出ている。

 だが、日本の林業界の動きは鈍い。というのも簡単には増産できないからだ。

 まず知ってほしいのは、林業界では、森林所有者と木材生産業者はたいてい別であること。作業を行うのは森林組合や民間の林業事業体で、所有者と契約して伐採・搬出を行う。年単位で計画を立て、伐採地と面積に合わせて人員や機材を確保するのである。しかし長引く低迷で人手不足も続いており、途中から増産に転じる余裕はない。

 さらに補助金の問題もある。林業では植林から下草刈り、伐採搬出まで、作業のほとんどに国や自治体から補助金が支出される。その額は各作業経費の約7割に上る。しかし補助金の支出額は年間で決められるため、急な増額は無理だ。

 これまで木材価格が下がっても、補助金目当てに木を伐ると批判されてきたが、今回は価格が上がって補助金がないと増産しないわけである。日本の林業は、市場原理よりも補助金の額で動いている。

⚫︎業者の不安、「3カ月後も高騰が続く確証ない」
 現在作業中の山に関しては、業者は、ウッドショック前に森林所有者と従来の価格で契約した。そのため、木材価格の急騰で業者は大儲けしている。しかし、その儲けが所有者には還元されないため、業者が次の伐採地を確保しようとすれば、今度は所有者から値上げを要求されるだろう。

 とはいえ今から伐採しても、山から木材が出るまでに約3カ月はかかる。それまで木材の高騰が続いているという確証がない……と業者は戦々恐々で値上げを渋りがちだ。

 実際、各地の林業地を聞き取りした木材商社によると、現場の増産意欲は弱いという。そもそもウッドショックを知らないケースもあるらしい。森林所有者、伐採業者、製材業者、合板業者、そして建築業者などの間に情報が流れていないのである。

 自分の山の木材がどこで何に使われているかを知らず、建築業者は、建てている住宅に使う木材の産地もわからない。だから増産の提案を受けても、誰が儲けるのか、誰がリスクを負うのかと疑心暗鬼にかられて、なかなか連携して動かない。

⚫︎木材自給率は年々増加も、建築用は低迷
 さらに厄介なのは、木材の質である。ここ20年ほど日本の木材自給率は伸び続けていて、2割を切った状態から37.8%(2019年)まで上がった。木材生産量が増えたのだから建築現場でも国産材が多く使われるように思うが、増えたのは価格の安い合板とバイオマス発電燃料用の木材。輸出するのも土木や梱包材向きの低品質材だ。

 建築用製材向きの木材はたいして増えていない。長引く不況で森林の手入れを怠り、その量を減らした。また日本の住宅着工件数は年々減少していたこともあり、必要性が落ちていた。

 それに国産材、とくにスギ材は米材や欧州材に比べて強度が弱く、横架材(梁や土台)には向かない。使おうとすれば太くする必要があるので設計を変更しなければならない。

⚫︎日本の林業界、チャンスをモノにできるか
 政府はこのところ「国産材を使おう」とキャンペーンを行っていた。林業を活性化するとともに、木材利用はCO2排出の削減に役立つと強調してきた。そのため補助金を大盤振る舞いし、政策でも後押ししている。公共事業で木材を優先的に使うよう促す、公共建築物等木材利用促進法もあるほどだ。

 ところが今回のように木材不足に陥ったとき、国産材の供給が十分でなければ、日本の林業界は信用を落とすだろう。ウッドショックが終わってから再び「国産材をもっと使おう」と旗を振っても建築業界は白けてしまう。

 日本の林業界にとっては、何十年ぶりかの木材価格の高騰というチャンスにもかかわらず、対応次第では、逆にピンチに陥るかもしれない。

 ウッドショックはこの低金利政策が続く限り収まらないという見方もある。一方で、各国、そして日本も少しずつ増産した木材が市場に出てくれば、一気に鎮静化する可能性もある。

 安定供給は、どんな業界でもビジネスの基本だ。林業界は、目先の価格の上下に引きずられて右往左往するのではなく、構造的な改革を行わねば未来はないだろう。


[田中淳夫◎森林ジャーナリスト。森から見た日本、そして世界をテーマに、自然科学分野だけでなく、林業や歴史、田舎暮らしなど社会問題まで幅広く扱う。著作は『森と日本人の1500年』『割り箸はもったいない?』『ゴ ルフ場は自然がいっぱい』『樹木葬という選択』『森は怪しいワンダーランド』 『絶望の林業』『獣害列島』など多数。]


追補}※※※※※※※※※※※    ※※※※※※※※※※※

🌲「後は野となれ山となれ」は本当か 森林総研が40年間調査
  毎日新聞  210529   より

「ブナをすべて伐採する前にササを刈り取った場所の2014年の様子。白いヘルメットをかぶった身長180センチの人を上回る2メートル前後のササが密生する=森林総合研究所提供」

 ことわざの「後は野となれ山となれ」のように、森林は伐採しても、自然に山(森)へと戻るのか――。そんな研究を森林総合研究所(茨城県つくば市)が約40年間にわたって続け、このほど調査結果を公表した。

 森林は日本の国土面積の3分の2を占める。長野、山梨両県は県土の8割近く、岩手や秋田、山形などの各県も7割超が森林だ。森林全体の半分に当たる約1300万ヘクタールが、自然の力で育った天然林とされる。

 日本では戦後、木材不足に対応するため、ブナなど広葉樹の天然林を伐採し、代わりに成長が早く木材として使いやすいスギなど針葉樹の人工林を全国的に増やす「拡大造林政策」を進めた。しかしその後、安い海外産の輸入自由化で、国内産の需要は低迷する。生物多様性の観点などから広葉樹の天然林が再評価され、林野庁は1972年に方針を転換。スギなどの植林を続ける一方、天然林の再生も促した。
 ただ、一般的に天然林は伐採しても自然に再生すると考えられてきたが、どの程度の時間をかけてどのように再生するかは科学的に検証されていなかったという。そこで森林総研は新潟県湯沢町の国有林内にある「苗場山ブナ天然更新試験地」で、67年から2008年までの41年間、再生のメカニズムを調査した。

 ブナの林にササが密生していた50メートル四方が対象。77年まではササを減らすための刈り取りや除草剤散布を行い、78年にブナをすべて伐採して、その後芽生えたブナがどう成長するかを分析した。
 その結果、ササの高さはいったん低下したが、ブナ伐採後は以前より高い約2メートルに。一方、ブナはササを超えられず、1メートル以下にとどまるか途中で消えてしまった。30年たった08年でも再生の兆しはみられず、最近の変化も確認できないという。

 調査した森林総研の正木隆・研究ディレクターは「一度ササの茂る『野』になってしまうと、自然にブナの『山』へと戻るのは難しいことが分かった。近年はスギの伐採後、自然に広葉樹が芽生えて育つことが期待されているが、今回のようにブナの種子が豊富に落ちてくる環境でもうまく成長できなかったので、かなり厳しい」と分析する。「ブナには動物に食料を供給したり、鳥に営巣環境を提供したりする役割がある。ササ原になると森林の生態系機能が低下する」と懸念した。

 ただ、ササがない場所ではブナ林に戻りつつある例も確認されているという。正木さんは「森林の変化を見極めるには40年は短すぎたかもしれない。今後ブナが育ち始めたり、ササが枯れたりする可能性もゼロとは言えない。プロセス解明にはさらに調査を続ける必要がある」と話す。
 【野呂賢治】

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