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⚠️ 半導体の再国産化が無理なのは「ウッドショック」を見れば明らか  202107

2021-07-15 13:18:00 | 気になる モノ・コト

半導体の再国産化が無理なのは「ウッドショック」を見れば明らか
   M&A Online  より  210715

 ワクチンの普及で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の脅威を脱しつつある世界経済で、皮肉にも景気回復に伴う半導体の奪い合いが起こっている。自動車やコンピューター、通信機器、さらには太陽電池まで、半導体不足で生産が滞る事態になった。

⚫︎半導体強化を「国家事業」に
 こうした事態を受けて政府は2021年6月に半導体産業の強化を「国家事業」と位置づけ、国内生産の強化を進める計画を打ち出した。目標は先端半導体の国産化だ。

 米市場調査会社のIC Insightsによると、1988年には50%を超えていた日本の半導体世界市場シェアは2020年には6%にまで低下した。30年余りで8分の1以下に激減したことになる。コロナ禍のような「非常事態」や米中対立に伴う「安全保障上のリスク」を考えれば、政府が「国産化は必須」と旗を振るのも無理はない。だが、「品不足で困っているから国産化」は短絡的ではないのか?

 ワクチン接種が進んだ米国で、停滞していた住宅需要が一気に動き出し、木材需要が急増。世界中で木材の「取り合い」になり、日本は輸入材価格が高騰する「ウッドショック」が起こっている。半導体と同じ構造だ。

 しかし、林野庁は住宅用木材の適切な発注と過剰在庫の抑制を呼びかける通知を出し、全国で需給情報を共有するための会合を開くに留まった。国産材が手つかずのまま有り余っているのに、国は「国産材を増産し、木材の自給率を上げよう」と呼びかけないし、業界からもそのような声は出てこない。なぜか。

 1960年代には100%近かった木材自給率は、2000年頃には18.2%にまで落ち込んだ。しかし、地道な人工林づくりや計画植林・伐採による安定的な木材供給を実現することで、現在の木材自給率は30%を超えている。ならばウッドショックを「千載一遇のチャンス」とばかりに国産化率の向上に走りそうなものだが、そうはいかない事情があるという。


⚫︎輸入材不足は国産材にとってビジネスチャンスではあるが…
「価格」ではなく「需要に追いつかなった」
 一般に国産材のシェア低下は「輸入材に比べて価格が高すぎたから」と考えられがちだ。確かにその側面もあるが、国産材にはブランド力があり価格競争力も高い。むしろ決定的だったのは国内需要の急増だった。

 戦後の焦土からの住宅復興で国内需要は急増したが、それでも年間4500万立方メートル程度。ところが1980年代に入ると、景気拡大に伴う新築建築ラッシュで同1億立方メートルと2倍以上に膨れ上がった。ここまでの量となると、いくらカネを積み上げられても供給を増やすことはできなくなる。供給増の「足かせ」となったのが高齢化と若者の「林業離れ」による「労働力不足」だった。その結果、輸入材が幅を利かせることになったのである。

 仮に無理をして国産材の出荷量を増やしたところで、「人生で最も高額な買い物」と言われる住宅需要がいつまでも成長するわけはない。いずれ一息つき、木材需要は冷え込んで輸入材の価格は下落する。そうなれば国産材は輸入材との価格競争に直面することになるのだ。だから国産材メーカーは現在の生産能力の範囲内での増産に留めているのだ。

 実は半導体も事情は同じだ。「韓国・中国メーカーの巨額の設備投資による大量生産で価格競争力を失った」ことが国産半導体の敗因と見られているが、それは「原因」と「結果」が逆なのである。「価格を引き下げるために大量生産をした」のではなく、「急激な需要増に応えるために大量生産した結果、価格が下がった」のである。

 国産メーカーが高シェアを維持していた頃の半導体チップといえば、コンピューターやゲーム機などのデジタル端末に使われるケースがほとんどだったが、1990年代に入ると、テレビや白物家電、通信機器、自動車、産業機械はじめあらゆる工業製品に組み込まれるようになった。

 その結果、半導体市場は1990年の約500億ドルから2000年には2000億ドルを突破、2010年代には3000億ドル台と急成長する。この需要増に対応するには巨額の設備投資による生産ラインの増設しかないが、日の丸半導体の黄金時代を築き上げたのは半導体専業ではなく最終製品を持つ大手エレクトロニクスメーカーであり、一部品事業にすぎない半導体で大型投資に踏み切れなかった。

⚫︎政府資金で設備投資ができても人材が…
 そこで大手エレクトロニクスメーカーが半導体事業を切り出して専業メーカーとして再編したが、時すでに遅く韓国や中国の半導体メーカーとは太刀打ちできなかったのだ。

 今になって政府が国産化の旗を振ったところで、どこが半導体の生産を担うのか?現在の国産半導体のトップ3は、フラッシュメモリーのキオクシア(旧東芝メモリ)と画像センサーのソニーセミコンダクタソリューションズ、自動車用半導体のルネサス エレクトロニクスの3社。

 キオクシアとソニーセミコンが生産しているのは不足している半導体とは別の製品だし、ルネサスは大規模な設備投資をして大増産するだけの体力がない。

 仮に政府の予算で増産投資が可能になったとしても、半導体不足が解消すれば激しい価格競争が起こるのは目に見えている。「高くても国産半導体を使い続ける」という国産完成品メーカーが何社存在するのか?

 国産材同様に人材の問題もある。半導体生産には高い技術を持つ人材が必要だが、国産半導体産業は大規模なリストラを断行したため半導体技術者の多くは外資系メーカーや自動車などの他業種へ流出してしまった。

 国産化を推進するとなると、技術者や開発者を一から育てなくてはならない。すでにIT系の人材はソフトウエア系が中心になっており、半導体製造にかかわるハードウエア系の人材を新たに確保するのは至難の技だ。

 こうした事情を考えれば「半導体が足りないなら国産化しよう」となどと簡単に主張できないはずだ。ウッドショックも半導体不足も事情は同じ。国もウッドショックには冷静だが、半導体不足には過度に反応しすぎている。

 とりわけ半導体産業では2000年代初めの政府主導による先端半導体の共同開発や電機大手のメモリー事業を再編したDRAM専業のエルピーダメモリ(現マイクロンメモリジャパン)など、失敗に終わったプロジェクトが目立つ。コロナ禍によるリスクよりも、国内生産強化の失敗による損失の方が大きい可能性もある。冷静な政策判断が必要だ。

文:M&A Online編集部


💋とは言え…

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