虚像のロシア革命/渡辺惣樹/徳間書店/2023
第一次対戦時代に勃発したロシア革命に関して、各国関係者の動きを整理し、結果論からロシア革命を総括した歴史書。
過去出版されたこの種の歴史書を一新、読む必要が無くなったと思えるほどの出来栄えである。
特に注目すべきは、チャーチル、ウッドロー・ウイルソンである。ドイツ、ロシア間でまとまりかけていた和平への道を英米がぶち壊したと渡辺惣樹は分析している。
これまでの歴史書の多くは、ドイツ、ロシア政府間のやり取り中心だが、アメリカの参戦を含めた英米の思惑がどういう性格のものだったのかについて、アメリカ史を押さえている渡辺惣樹がポイントを整理するので、他の歴史家よりも説得力がある。
要するに、一国史しか把握できていない歴史研究者では、この種の歴史テーマには無力であることを示す格好の事例である。
別に渡辺惣樹を絶賛するつもりはない。世界史の重要テーマについて必要となる歴史観について述べたに過ぎない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます