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https://news.goo.ne.jp/article/withnews/trend/withnews-9020040600002
一部引用
手話は「手の動き」だけではない
会見など速報性の高い情報が発信される場面において、聴覚に障害がある方にとって重要な情報源となるのが手話であり、それを伝えるのが手話通訳者です。
記者会見や個人の病院受診など、さまざまな場面で手話通訳者を派遣する「東京手話通訳等派遣センター」の担当者は、「手話は『手で話す』と書きますが、
実際は顔の表情や体の向きなどが文法的な意味を持っている」と話します。
その中でも重要な役割を果たしているのが、「口の形(口形)」です。手話としての動きは同じでも、意味が異なる単語もあり、その場合は口形で情報を補っています。
「特に固有名詞などを伝える場合は口の動きが重要になるため、マスクをつけた状態だと伝達の度合いが落ちてしまいます」
医療機関などで通訳する場合は、手話通訳者がマスクを着用する場合もあるといいますが、それはわからない時に聞き返せる双方向性が担保されているからこそ。
担当者は「一方向で伝える会見のような場では、特にマスクの着用がしづらい」といいます。
「会見場で」手話通訳する理由
もちろん、手話通訳者やその周囲の感染リスクを下げることは重要であるととらえており、会見直前までは通訳者もマスクをつけるなどの対応をしています。
技術的に可能であれば、テレビ中継の場合は会見場で通訳せず、別のスタジオで収録するなどの対応がとれるとしていますが、「別スタジオにもスタッフなどはいると思うので、リスクの評価は難しい」と話します。
また、通訳者にとっても音声が聞き取りにくい、場の雰囲気がつかみにくいなど「同じ場にいないことでデメリットはあるかもしれない」と指摘します。
口元が見えるような透明のマスクについても、2009年の新型インフルエンザが流行した際に、支給された時期があったといいますが、見た目の違和感などから浸透しなかった背景がありました。
現在は、入手方法や費用面の課題がクリアできるか検討しているとのこと。
また、「口形」に変わる伝達方法としては、文字による表示が考えられるといいます。キーワードになっている名詞を画面に表示することで、通訳者がマスクをした状態でも情報を補える可能性があると話します。
ただし、緊急に開かれた会見などで、テレビ局などの配信側がどこまで情報を準備できるかという課題が残ります。
「サークルで仲良くしてくれた仲間や聴覚に障害がある人たちが、肩身の狭い思いをしているのは嫌だなと思いました」