本当は預かっているだけなのです

「私には家族がいる。私には財産がある」
と思い込んで、人はそれに関して色々なことに悩みます。
しかし、本当は自分の肉体でさえも自分の所有物ではありません。
更には家族も自分の所有物ではありません。
ましてや消えて行く財産などが自分のものであるはずは無いのです。
（原始仏典　ダンマパダ第５章－６２番）

（感想）
「人は“所有感”を持ち始めますと苦しみが始まる」と釈尊が仰っています。
しかしここで、この言葉を読んだ人が陥りやすいワナも有ります。
それは“責任感”ということです。

上記の言葉の表面だけを捉えますと、
「家族も貯金も、自分の肉体も自分のものではない。
だから、どうなろうと知らない、執着はしない」
とも誤解をされかねません。しかし、釈尊の真意はそんなことには有りません。

「自分のものでは無い。だから勝手にしなさい」
では無いのです。これでは生きたところで、何の成長も起こりませんし、堕落して行くだけです。そうでは無くて、
「そのすべてに最善を尽くして、責任を持ちます。
しかし、それに対して執着はしません」
という態度は、時間経過と共にすべての悩みを自分から解放させて行きます。
後から自分が後悔することも起こさせません。

自分がするべきことは「した」上で、それへの執着を持たなければ、
その人は真の意味でコノ世の勝利者なのです。貧富の差も関係ありません。
魔物からの誘惑に負けなかった数少ない人と成れます。
与える一方の人に成れるのです。
アノ世でも、与える一方の人々ばかりが居る世界へと引かれることに成ります。

だから、家族も肉体も財産も、「自分が預かっているだけ」という思考に自分が切り替えることが出来ますと、明るい日差しを浴び始めます。
霊的な視点から観ましても、「自分は今預かっているだけ」という思考は、すべての苦悩を切断して行き、今の自分に最善を尽くさせます。

「預かったものは、“大切にして”何時か天にお返しをしなければ生けない」
という態度は、清々しい風と共に「本当の自分」を生かして行きます。
このように爽やかに生きて行くことで、人は心の解脱（げだつ：解放されること）へと向かいます。
生きる上での考え方の参考にして頂ければ幸いです。

生かして頂いて　ありがとう御座位ます

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