DMでは健常者に比較し、インクレチン作用が低下あるいは遅延している
とされているが、その原因はどこにあるのか?最近の研究では軽症DM
あるいはIGTではその分泌反応は健常者と変わらないか高インスリン血症
を伴う例ではむしろ亢進している可能性が高いとの報告がある。すなわち、
DMではインクレチン作用(インスリン分泌)が低下しているがインクレチン
自体の分泌は低下していない。この結果から、インクレチン作用の減弱は
インクレチン受容体の量(数)低下が原因とされている。この病態の主たる
要因は糖毒性にあると考えられるため、早期のインスリン治療による糖毒
性解除、あるいはTZDによるインスリン抵抗性の改善により、その受容体
(量)発現が改善し、DPP-4阻害薬の効果が増強することが期待される。
逆に糖毒性が軽度の軽症DMやIGTではDPP-4阻害薬単独でもかなり
有効性が高いと考えられる。当院の検討でもTZD先行例にDPP-4阻害薬
追加の方が有効性(血糖改善作用)が高いとの結果であった。