Dr. Jason's blog

IT, Engineering, Energy, Environment and Management

「プロのコミュニティ」としての学会と花粉症

2005-03-21 | Weblog
 金曜日の午後から土曜日にかけて, 日本機械学会関東支部 の, 第11回 総会後援会 に参加した.久しぶりの学会参加である.

 開催場所は東京都立大であった.八王子のはずれの南大沢にひっこしてから,初めて,都立大にいった.広くてとても立派なキャンパスだが,ちょっと田舎に引っ込みすぎたのではないか?という気もする.自然の多いのどかな環境はいいが,どうしてこれほど奥まったところに移転しなければならなかったのだろうか?最近は,郊外にキャンパスをもつ大学でも,都心に出店的なキャンパスをお持つところが増えている.都市の大学には,自然よりも,都会独特の雰囲気や緊張感が重要であると思うのは私だけではないと思う.

 自分が研究発表しない場合でも,学会で色々な人の話し,特に自分の専門とは少し違う分野の先生の話しを聞くととても勉強になる.金曜日の最後の特別講演は,都立大人文学部で心理学の 市原茂 教授 で,「視覚の不思議」と題して,視覚と聴覚の相互作用についての興味深いお話だった.
 金曜日の夕方は,講演会の後に懇親会があった.普段は教科書や論文でお名前を拝見するだけの著名な先生と,みじかにお話する機会があることも,学会ならではの重要メリットであると思う.

 土曜日は,朝から,私が所属する埼玉ブロックの企画で,「企業にとって魅力ある日本機械学会とは」というパネルセッションがあり,私もパネラーとして参加した.このところ色々いそがしかったので,プレゼンテーション用のパワーポイントのシートができたのは,当日の午前4:00近くであった.三菱重工,東芝といった日本を代表する世界的な大メーカーの諸先輩と並んで発表することになってやや緊張したが,普段から自分が考えていることを発表した.
 日本機械学会にしても,情報処理学会にしても,工学系の大きな学会では,この数年,会員の減少が問題になっているところが少なくないようだ.「学会」は「Academic Society」の訳語だと思うが,特に工学系の場合には,大学の先生方だけでなく,広い意味でのその工学的産業分野に関わる「プロのエンジニア」の同業者同士の「交流の場」であると思う.実際,機械にしても,情報にしても,その産業従事者の技術者人口は100万人以上のオーダーであるが,そのうち各学会の正会員は2-3%程度のオーダーにすぎない.しかし,その2-3%の大半は,各業界,会社,部署,プロジェクト等における技術的な意思決定に関わる人すなわち,キーパーソン,あるいはその予備軍である.このことは,役員名簿や会員名簿をみればすぐにわかる.つまり,学会の会員にはその業界のプロとして「ロールモデル」となるような人が沢山いるといえる.その意味で,「本当のプロのエンジニア」をめざす若い世代の人にこそ,学会に入会して勉強してほしいと思う.
 土曜日の夕方,学会のあと,指導教授や博士論文の審査をしていただいた先生方と食事をご一緒して色々なお話をうかがい,また勉強になった.

 それにしても,南大沢は東京都でも花粉の密度がとても高い地域であるようだ.金曜日の懇親会での今年度の関東支部長であり,振動工学の権威である都立大の 鈴木浩平 教授 の挨拶でも,「晴天にめぐまれたが花粉が多くて...」と言及されていた.(鈴木先生には,土曜日のパネルセッションでもお話する機会を得た.) まわりの先生方にも,マスクをしていたり鼻をかんだりしている人が沢山いた.私は,目薬や鼻炎用の薬も用意して適宜使用していたが,懇親会が終わるころには,目が酷く充血していた.少なくとも 杉や檜の花粉については林業に対する政策的失敗 であることは歴史的に明白だと承知しているが,政府はなにか対策をしているのだろうか?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする