Dr. Jason's blog

IT, Engineering, Energy, Environment and Management

あるビジネスマンの「読書のススメ」

2005-06-15 | Education
 さて問題です.以下の言葉は,誰の発言でしょう.

 ヒント:元IT業界で,比較的有名な,日本人ビジネスマンです.

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 最初と比べると,年収は10倍以上増えましたが,今でも年間1000万円強が本代.うちは図書館じゃないのでこれが限界です.

 転職して,年収が上がった人に使いみちをアドバイスするとしたら,「引きこもって,ひたすら本を読め」.これにつきます.たかが,200万~300万,本以外に有効な使い道はちょっと思いあたりませんね.

 なぜ本なのか.私は「能力のある人を峻別する目安が読書をするか,しないか」だと思っています.

 教養を身につけるにはすごく時間がかかるので,不断の努力が必要です.転職して年収が上がっても,それに安住してはいけない.頭の中身もグレードアップするべきです.
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 回答は,月刊 PRESIDENT 2005.7.4 pp 48-49.
 # 上記は,この PRESIDENT の記事からの引用です.


 正直なところ,私は,これまで,このビジネスマンをあまり評価していませんでしたが,今回,少し評価を改めることにしました.
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7 コメント

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業界によって違うかも (けいすけ)
2005-06-17 18:10:01
理系の最先端だと、仕事では本はあまり読まないです。本になる頃には、もうその知識は陳腐になっていることが多い。大部分の時間は体を使って実験や観測します。自分が見つけた現象が一番の宝物、読むとしたら国際誌の論文を追っかけるぐらいでしょうか。僕の場合は余暇でもほとんど本は読まないです。庭仕事をしたり、体を動かしたり、その経験の中で対話しています。本の知識は自分には役立たないことが多いような気がしています。まあ、程度問題だと思いますが。僕は文系の時でも年間200冊未満でした。理転してからは年に40冊読めば上出来、ここ数年は体調の悪さもあって10数冊だったかな。。。このビジネスマン氏からみると、全然評価されないタイプですね。ビジネスマンにならなくて良かった!
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業界によっては (Dr. Jason)
2005-06-17 23:53:32
 けいすけさん,コメントありがとうございます.

 ITのビジネスの世界だと,「理系のアカデミックな業界」での「実験」や「英文の論文」に相当するもの==「情報のオリジナルさ」,「情報の新鮮さ」が勝負になるものは,もちろん「本の情報」ではなく,例えば「自分の関わっているシステムで起きていること」と「業界の知り合いとの生の情報交換」,「仲間うちのWebやE-mailでの情報」ですね.

 ただ,「オリジナルさ」「新鮮さ」が勝負になるという意味は,同時にそれが「フロー」であって「ストック」の知識ではない度合いが高いという意味だと思います.

 引用した記事でいう「読書の価値」のうちでより重要な部分は,「ストック」となる知識を,体系的,あるいは,俯瞰的に吸収するメディアである点であると考えています.
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Unknown (けいすけ)
2005-06-18 02:09:18
そこに持ってきましたか、ストックとフロー。今の人類のあり方にも関わるキーワードですね。僕のブログで、いつだったか、松田&安田先生の著書を紹介しました。ストックを使う文明の先は無いのではないかと。それを知に置き換えたらどうなるか。。。
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ストックの知識 (Dr. Jason)
2005-06-18 02:57:11
 けいすけさん,すばやいコメントありがとうございます.

 いままでも,知識はストックされてきました.なかには,国や文明の滅亡とともに,膨大な知のストックが失われて,考古学の対象となっている例も沢山あります.

 知識のストックの典型的な用途は「教育」ですね.逆に云えば,「歴史から学ぶ」ということでもあります.

 これは,先端技術でも同じで,技術の歴史や背景を知っていて,現状先端技術に接する場合と,歴史や背景を知らない場合とでは,大きな違いがあると思います.

 私は「最後まであきらめない」方なので,文明の継続を信じて,微力ながら努力したいと思います.



 別の視点では,「ビジネス」とか「社会的なシステム」で安心して使う技術は,実は,プロの目からみると,「枯れた技術」==「ストックの知識」である場合のことが多いということもあります.

 よほど度胸がないと,「英文の論文」レベルの最新の知見は,逆に「実績が少ない」ということでもありますので,その利用には「新しいメリッット」だけでなく「リスク」が伴うことになります.

 ビジネスの場合には,「まだだれも本格的に利用していない技術」を使うということは,「ギャンブル」的な判断であると見なされる場合があります.
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今の学校教育 (ほり)
2005-06-18 23:41:17
こんにちは。高校教員です。

ストックとフローという観点で言うと、今の学校教育は、中途半端なフローを重視しているように感じます。

教科書を含めて、既に、教える側がストックの価値を重視していないようです。「今は時代が違う。」って。でも、何か違和感を感じてやまない日々が続いています。
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原理原則 (Dr. Jason)
2005-06-19 15:53:49
 ほりさま,コメントありがとうございます.

 「ストック」となる知識は,人類が数千年のあいだに蓄積してきたものです.

 多くは,例えば「原理,原則」などのように,時代がたっても,変わらないものです.

 もちろん,科学技術が進歩した結果,法則と思われていたものが変更されることはありますが,大抵は「適応範囲が狭くなる」ということになります.



 私見では,高校までは,「ストック」や「原理,原則」を重視した教育が重要だと考えています.そして,知識そのものよりも重要なものは,「学び方」「調べ方」「学習の方法」など

の方ではないでしょうか?

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プリント学習の弊害 (ほり)
2005-06-20 19:46:08
私のブログへのコメント、トラックバック、ありがとうございました。



受験産業が発達し、容易に使える(?)教材が増え、高校生でも書き込み式プリントでないと勉強ができない生徒層が、勉強とはプリント学習であると考える生徒が、どんどん増えています。特定事項を確実に習得する方法としては優れていますが、学び方や調べ方、学習の方法は学べません。



教科によっては調べ学習のようなものもしているようですが、新聞を切って張っておしまいだったり、なんだか幼稚。原理原則、ストックに当たるもともとも知識も乏しいせいだと思います。

容易に騙される人間がどんどん育っている気がします。

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