Dr. Jason's blog

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安全科学 リスクアセスメントと失敗の心理学

2006-02-27 | Mech Eng
 この秋から,某大学で環境と安全関して講ずることになったので,色々と参考文献を集めている.
 先週入手したもののうちから2冊.

 まず一冊目は,明治大学理工学部長である 向殿政男 教授 による「よくわかるリスクアセスメント」.
 向殿先生は,情報科学やファジィ理論の専門家として知られているが,安全科学,安全性/信頼性理論(フェールセーフ理論,フォールトトレラントシステム ,
国際安全規格),機械安全,等も研究されており,この分野のISOの委員等も務められている.
 本書は,機械に対する安全を中心に,リスクと安全の概念から,リスクアセスメントの考え方,国際標準,方法,危険源,リスク低減方法,リスクの許容可能性,安全文化まで,コンパクトにまとめられている.また,文末に文献リストがあり,さらに詳しく学習することができる.
 
 はじめに
 第1章 リスクとは
 第2章 リスクと安全
 第3章 リスクアセスメントの考え方
 第4章 リスクアセスメントの方法
 第5章 危険源の同定
 第6章 リスクの評価方法
 第7章 リスク低減方策
 第8章 リスクレベルとリスク低減方策
 第9章 許容可能なリスクの判断
 第10章 リスクと安全文化
 あとがき
 参考文献



 二冊目は,立教大学 文学部心理学科の 芳賀 繁 教授による「失敗のメカニズム」.
 芳賀先生は,産業心理学,交通心理学,人間工学,特に「ヒューマンエラー」について研究されている
 本書は,「建築荷役車両」という専門誌に連載された安全講座「事故防止の人間科学」を中心に,加筆修正されたものであり,事故の元となる様々なヒューマンエラーについて分析し,防止策,人間の行動,安全の文化等について心理学の視点からまとめられている.こちらは,各章毎に詳しい文献リストがある.

 はじめに
 第1章 事故とヒューマンエラー
 第2章 見間違い、聞き違い、勘違い
 第3章 ドジ型とボケ型
 第4章 注意と記憶の失敗
 第5章 エラーを誘う設計と防止するデザイン
 第6章 違反と不安全行動
 第7章 人は考えずに行動する
 第8章 安全の文化
 あとかぎ


 それぞれ,工学的アプローチ,心理学的アプローチと異なる視点でまとめられているが,最後の章は,どちらも「安全文化」について論じている点は,非常に重要だと思う.

 安全設計,安全対策,事故未然防止などに興味のある方に,お勧めの2冊.


よくわかるリスクアセスメント―事故未然防止の技術
向殿政男
中央労働災害防止協会

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失敗のメカニズム―忘れ物から巨大事故まで
芳賀 繁
角川書店

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