Dr. Jason's blog

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経営学の実践的臨床的研究方法

2006-08-07 | Business
 最近は、経営学系の本に目がいくことが多い。
 本書は、先週、Amazon.co.jp で他の本をさがしていて発見して、注文しておいたもの。水曜日に届いていたが、木、金と地方に出張していたので、読み進んだのは、週末になってしまった。

 本書は、東大で、経営学を講じている、藤本隆宏 教授 高橋伸夫 教授 らを中心にした研究グループの、Field-Based Research Method(FBRM)による、経営学研究法の指南書である。
 筆者らは、FBRMを習慣的に「実証研究」とよんでいるが、私のような他分野の者からすると、「臨床的」あるいは「実践的」というというイメージがある。

 全体に、筆者達自身が、実際にどのように研究を進めてきたが、どのように博士論文をまとめたり、どのように論文を発表したりしてきたかを、裏話もふくめて、非常に具体的に述べている。
 経営学以外の分野の学習者、研究者にもとても参考になるエピソード満載。
 第III部、第IV部は、普段私が考えていることが多数ふくまれていて、ちょっと驚いた。
 

目次

第1部 リサーチ・サイクルを回す:経営学研究法の基礎
 第1章 実証研究の方法論:Field-Based Research Method(FBRM)
 研究の技法
  1 アプローチの方法:ケース研究
   1 ケース研究の妥当性
   2 ケース研究のプロセス
  2 データを集める
   3 一次データの収集
   4 二次データの収集と活用
   5  インターネットを通じたデータ収集
   6 インタビューメモの作り方
   7 アンケート調査の設計・実施
   8 工場調査法
   9 資料の収集と分析
  3 データを分析する
   10 分析手法の見つけ方
   11 因子分析と共分散構造分析
   12 重回帰分析におけるモデル選択
   13 文献情報と内容分析

第2部 リサーチ・マインドを育む:研究プロセスに学ぶ
 第2章 ぬるま湯体質の研究ができるまで
      継続的調査からとらえた現象
 第3章 Product Development Performanceができるまで
      創発的研究の事例
 第4章 「日本企業の競争戦略」ができるまで
      理論と現象の往来による多様な研究の展開
 第5章 消費者行動のメカニズムを探る
      大量のミクロデータ分析の研究
 第6章 社史,伝記,回想録から一次史料にいたるまで
      中上川彦次郎と益田孝の「対立」をめぐる解釈の軌跡

第3部 リサーチを深める:リレー式講義
 第7章 研究テーマの見極め
 第8章 世界観の作り方
 第9章 研究と教育の両立

第4部 リサーチを発信する:海外ジャーナル投稿の基礎
 第10章 英文論文のすすめ


 経営学だけでなく社会科学系の研究や学習にかかわっている方、これから大学院で博士号をめざそうという方にオススメの一冊。

 私のような、学際的、複合的な活動、研究をしている者にも、とても役に立つ内容である。


リサーチ・マインド 経営学研究法
藤本 隆宏, 高橋 伸夫, 新宅 純二郎, 粕谷 誠, 阿部 誠 共著
有斐閣

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