世界はキラキラおもちゃ箱・第3館

スピカが主な管理人です。時々留守にしているときは、ほかのものが管理します。コメントは月の裏側をご利用ください。

ノギク

2022-04-24 04:59:45 | 花詩集

愛することに 臆病なのではないの
時には 本当に誰かを愛するために
遠い遠い道を 歩かねばならないから

空からぶら下がる たくさんの光の種を
一つ一つ吟味しながら
ああでもないこうでもないと
悩みながら生きている
本当の愛は きっと
こうやって
魂の奥から流れてくる 乳のような汗が
少しずつ重なって できてくるのね

孤独の鉛を 棒のように伸ばして
しめった旗をぶら下げて
物乞いのように虚ろな瞳で
いつまでもいつまでも
一体何を探しているの?
足元に踏んでいる一群れのノギクの
小さな声にさえ 気づかないほど

なぜあなたは学ばないの?
踏まれることも傷つくことも
全て飲みこんで生きることを
小さなノギクでさえ 自分で決めるのに

失うことも得られぬことも
苦しむことも
全ては
愛のためにあるのに



(花詩集・5、2003年10月)




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