石のように重い屈託を胸に抱えて
すがりつくように神社の石段を上っていた
伝わらない思いがあふれて
喉を割ってほとばしるほどだったのに
私は声を出せずに泣いていた
泣きながら石段を上っていた
その前を ふと細い枝がさえぎった
それは痛々しく幹の曲がったノグルミ
昔 根っこごとふらついて
倒れかけた木は
地面すれすれのところでもう一度幹を持ち上げ
そのまま伸びて
天に梢を豊かに広げているのだった
(大丈夫 いけるさ
おれだってそうだったんだもの)
ノグルミは言った
私は笑った 泣きながら笑った
また明日も生きていくのか
いつ伝わるかわからない想いを抱えて
わかってる あきらめたりしない
でも泣きたいときは泣きたいんだよ
私だって
ノグルミの声を振り切って
再び石段を上っていく
涙はとめどもない でも
あきらめたりしない
あきらめたりしない
あきらめたりしない
(花詩集・7、2003年12月)