<福島民報論説より>
【中高一貫校の開設】「入りたい」魅力示せ(5月24日)
双葉郡内の児童生徒を対象にした中高一貫校が平成27年度にも開校する。同郡の教育復興ビジョンを検討する「教育復興に関する協議会」が設置方針を示した。東京電力福島第一原発事故で住民が避難を余儀なくされた双葉地方の未来を担う人材を育てるのが目的で、復興のシンボルの一つともいえる。子どもたちに、この学校を選択してもらえる魅力をどう盛り込むかが大きな鍵になる。
郡内には高校が双葉、浪江、浪江津島、富岡、双葉翔陽の5校ある。事故の後、各校は県内各地に分散するサテライト校で授業を展開してきた。昨年4月からはサテライト校の数を絞り込んだ。入学者は事故前より少ない募集定員を下回っている。
厳しい状況にある同郡の教育の在り方を検討する協議会は、郡内8町村の教育長が委員を務め、県教委や福島大、文部科学省、復興庁の担当者が協力委員として参加している。これまでの方向付けでは、中高一貫校は2年後の開校を目標に掲げた。1年間の海外留学コースや双葉郡の復興を学ぶ「ふるさと科」などを創設する。福島大への推薦入学枠も検討する。
運営は「県立」とする案がある。設置場所は、郡内から避難している児童生徒が多い、いわき市を軸に調整する。郡南部に設置を求める声もある。中高一貫校の開設を受けて5校は暫定休校とする。
文科省は6月中旬までに学校の内容をまとめ、来年度の政府概算要求に必要経費を盛り込む方針だ。
学校の姿はどうなるのか。中高一貫校を選択したい-と親子に決断させる利点をしっかりと打ち出してほしい。中高一貫といえば、一般には大学受験に役立つ学力をつけてくれるイメージがあるが、どうするのか。連携する福島大に推薦枠を設けてもらえるなら、どの程度の規模になるのか。推薦入学者には一定の学力水準を求められよう。
設置場所にかかわらず、自宅から通えない生徒のためには寮などの宿泊施設が必要になる。保護者に大きな負担となる寮費はどうするのか。
既存の中学校にも影響がある。中高一貫校に生徒が回れば、郡内外で運営する町村立中学校の小規模化が進む。いわき市には私立の中高一貫校が3校あり、競合する心配はないのか-などの問題、懸念を解消する必要がある。
「入りたい学校」「入らせたい学校」。避難先にある中学、高校を選択しようとしている子ども、保護者に説得力がある中高一貫校の姿をぜひ明示してほしい。(佐藤晴雄)
郡内には高校が双葉、浪江、浪江津島、富岡、双葉翔陽の5校ある。事故の後、各校は県内各地に分散するサテライト校で授業を展開してきた。昨年4月からはサテライト校の数を絞り込んだ。入学者は事故前より少ない募集定員を下回っている。
厳しい状況にある同郡の教育の在り方を検討する協議会は、郡内8町村の教育長が委員を務め、県教委や福島大、文部科学省、復興庁の担当者が協力委員として参加している。これまでの方向付けでは、中高一貫校は2年後の開校を目標に掲げた。1年間の海外留学コースや双葉郡の復興を学ぶ「ふるさと科」などを創設する。福島大への推薦入学枠も検討する。
運営は「県立」とする案がある。設置場所は、郡内から避難している児童生徒が多い、いわき市を軸に調整する。郡南部に設置を求める声もある。中高一貫校の開設を受けて5校は暫定休校とする。
文科省は6月中旬までに学校の内容をまとめ、来年度の政府概算要求に必要経費を盛り込む方針だ。
学校の姿はどうなるのか。中高一貫校を選択したい-と親子に決断させる利点をしっかりと打ち出してほしい。中高一貫といえば、一般には大学受験に役立つ学力をつけてくれるイメージがあるが、どうするのか。連携する福島大に推薦枠を設けてもらえるなら、どの程度の規模になるのか。推薦入学者には一定の学力水準を求められよう。
設置場所にかかわらず、自宅から通えない生徒のためには寮などの宿泊施設が必要になる。保護者に大きな負担となる寮費はどうするのか。
既存の中学校にも影響がある。中高一貫校に生徒が回れば、郡内外で運営する町村立中学校の小規模化が進む。いわき市には私立の中高一貫校が3校あり、競合する心配はないのか-などの問題、懸念を解消する必要がある。
「入りたい学校」「入らせたい学校」。避難先にある中学、高校を選択しようとしている子ども、保護者に説得力がある中高一貫校の姿をぜひ明示してほしい。(佐藤晴雄)
( 2013/05/24 08:52カテゴリー:論説)
*佐藤氏の論説に私も同感です。