" 英政府は10日、米アマゾン・ドットコムと提携し、同社の人工知能アシスタント「アレクサ」を通じて英国民保健サービスの医療情報を提供すると発表した。世界初の試みだという。"
どういうことかと言うと、
"「アレクサ、インフルエンザの症状を教えて」──英国民は間もなく、こんなふうにAIアシスタントに話し掛けるだけで欲しい情報を得られるようになる。"
のだそうです。
要するに、ネットをググらなくても、アレクサに話しかけさえすれば、NHSの提供する信頼のおける医療情報を教えてくれるというサービス。
日本でも、ネットを検索して出てくる医療情報(?)には間違っているものや、明らかにデマなもの、古い情報なども多いので、こういうサービスは高齢者や視覚障害者のみならず、困っていたり不安に思っていたりする多くの人にとって便利かもしれない。
ではあるが、やはり自分の体調に関する不安や病気についての疑問を、アレクサに話しかけてネットにアップする(ことになる)ことには、やや心配もあるわけで、
"一方、プライバシー面から、アマゾンがユーザーの医療データを収集してターゲティング広告に利用する可能性を危惧する声もある。"
というのも頷ける。
「アレクサ、頭痛について教えて」とか言ってると、頭痛薬の広告があれこれ出るようになったり、
「アレクサ、前立腺肥大について教えて」とか聞けば、"この消費者は前立腺について興味を持っている"とか認識されるのかな。いや、私は前立腺持ってないけどな。
そのうち、病気についての説明はもちろん、自分の症状を話しかければAIが診断(?)やら受診の目安(?)だのを答えてくれることにもなるのだろうか。
医療関係の仕事もいずれAIにとって代わられるとか、いや機械では代わりがきかない部分があるとかいろいろ議論はあるけれども、方向性としては間違いなく、AIが医療サービスにおいて重要な役割を果たすことになっていくだろう。
"プライバシー上の懸念については、英国民の医療記録へのアクセス権はアマゾンにないと保健省は強調。米グーグルなど、他の音声アシスタントサービスを提供する企業各社にも、NHSとの提携を呼び掛けている。"
とニュースには述べられている。とは言え、アマゾンに権利がないことと、ネット上の情報がハックされる可能性がないこととは別だからなあ。
誰々が医療に関わるどんな悩み(質問)をアレクサに話しかけたか、という情報がどこかに集積されるかも、と思うのはなんとなく落ち着かない気分ではある。
どんな応答が返ってくるのか、医療従事者としては、一度試しに使ってみたい気はする。