最近何人か、血液検査でNRBCが検出された患者さんがいらっしゃったので、この項目についてまとめ。
NRBC: nucleated red blood cells; 有核赤血球
通常、哺乳類の成熟赤血球には核がないことが知られています。
これは、赤血球が未熟な細胞から次第に成熟する段階で、核が細胞から抜け落ちる(脱核)するからですね。ここまでは良し。
赤血球系の細胞は、造血幹細胞→骨髄系前駆細胞 から分化して
前赤芽球 proerythroblast
↓好塩基性赤芽球 basophilic erythroblast(核が濃縮し始める)
↓多染性赤芽球 polychromatic erythroblast
↓正染性赤芽球 orthochromatic erythroblast(ここで脱核)
↓網赤血球 reticulocyte:脱核してすぐの未熟な赤血球
↓赤血球 erythrocyte
の順番で成熟する。
有核赤血球というのは、つまり未熟な赤血球であって、通常、胎児や新生児(生後数週間まで)の血液中に検出される。その後は、造血の最初の段階でのみ出現するがその後末梢血に入るまでに脱核して成熟赤血球となるため、健康な成人の末梢血液には検出されない。
したがって、
成人の末梢血で有核赤血球あり(NRBC+)であった場合には、何らかの造血亢進が生じている状態であると考えられる。溶血や急性出血などによる貧血のほか、白血病などの血液疾患の場合もあるので注意が必要。重篤な病態ではNRBCが予後と関連するとの報告もある(May JE et al のレビュー)。
参考:May JE et al, Cleveland Cl J Med, 86(3), 167:2019
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