☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『海と大陸』(2011)

2013年07月10日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『海と大陸』(2011)

エマヌエーレ・クリアレーゼ監督、フィリッポ・プチッロさん、ドナテッラ・フィノッキアーロさん、ミンモ・クティッキオさん出演。

【STORY】
地中海に浮かぶリノーサ島を舞台に、 将来の不安を抱える家族とアフリカ難民の母子との交流を描くヒューマンドラマ。
2011年ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞受賞作。
ある日、いつものように漁に出たエルネストとフィリッポは、アフリカからボートに乗ってやってきた数人の難民を助け、その中にいた妊娠中のサラ(ティムニット・T)とその息子をガレージに匿う……。

【感想レビュー】@theater
これは正直、ハッシュパピーに感激した後に観るという事で、集中出来るのか少し不安だったのですが…。

そんな不安はすぐに何処かへ吹っ飛びました!

代々漁師をやってきたプチッロ家は、2年前に父親を海で亡くした20歳の一人息子:フィリッポと、今は70歳になる祖父エルネストが共に海に出て生活を支えています。

地中海の島というと、バカンスのイメージが強いですが、アフリカ大陸は目と鼻の先。

アフリカから沢山の難民がボートでやってきます。

彼らは、ボートから海に飛び込み、助けを乞います。

でも、難民を救助する事は違法なのです。

けれども、海の男:祖父のエルネストは、“海の掟”に従って、助けます。

何の迷いも無く!!

この時点で、この映画を傍観者として観る事など到底出来なくなるのです。



自分ならどうするのか?



…という問いかけが、常に始まり、理想と現実の間を行き来するのです。

とても冷静でなどいられません。


作品は、様々な立場での想いが、複雑に交錯していきます。


地中海のとある島が抱える、バカンスの雰囲気とは裏腹な、厳しい現実を思い知りました。

抑えめの涙がじわじわっとくる、そんな作品でした。

『ハッシュパピー バスタブ島の少女』(2012)

2013年07月10日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『ハッシュパピー バスタブ島の少女』(2012)

ベン・ザイトリン監督、クヮヴェンジャネ・ウォレスさん(ハッシュパピー)、ドワイト・ヘンリーさん(ウィンク)出演。

【STORY】
6歳の少女の目を通して語られるファンタジックな物語が話題を呼び、第65回カンヌ国際映画祭でカメラドール(新人賞)など4部門受賞の快挙を成し遂げたヒューマンドラマ。
第85回アカデミー賞でも、ハッシュパピーを演じたクヮヴェンジャネ・ウォレスが史上最年少で主演女優賞候補になるなど、4部門ノミネートを果たした。

世界のはずれにあるかのようなバスタブ島。
ハッシュパピーという少女はここで元気いっぱいに育った。ある日、嵐がバスタブ島を襲い、ハッシュパピーの大好きだった日常を奪っていった…。
(Movie Walkerより引用)

【感想レビュー】@theater
開始早々、グイグイと引き込まれていきました!

音!

音楽!

画の力!

俳優陣の演技!

打ち上がる花火!!

バスタブ島の住人の、粗野で自由な暮らしぶり。


けれども、嵐の一夜で島は一変してしまうのです…。

強くなければ、逞しくなければ、生き抜く事は出来ない‼

父はハッシュパピーにそう教えます。

撮影時、わずか6歳だったというハッシュパピー演じるクヮヴェンジャネ・ウォレスさん。

彼女の瞳が、声の表情が、映画のテンションを引っ張っていきます。

凄い俳優ですね

エネルギー溢れる、力強い映画でした!!











『犬猫』(2004)

2013年07月09日 | 西島秀俊さん☆映画
『犬猫』(2004)

井口奈己監督、榎本加奈子さん、藤田陽子さん、忍成修吾さん、小池栄子さん、西島秀俊さん出演。



【STORY】
東京近郊、静かな街の一軒家。
共同生活をするハメになった幼なじみの2人の女の子。つかず離れずの微妙な関係を軽妙につづる。
自主映画作家・井口奈己が、好評を得た自身の8ミリ作品をリメイク。

【感想レビュー】
幼い頃からの腐れ縁の女友達。

幼なじみとはいえ、あまり仲の良くない2人は…けれども好きになる男の子はいつも一緒なのです。

さすがにそれは…しんどいなぁ…!!

と思いながら、観ました

時折、不穏な空気になりつつも、淡々とした日々が過ぎていきます。


2人が好きになる男性は、決まってこの2人の間の空気を読まないのですねぇ…。

西島さん演じる古田は、元はヨーコ(榎本さん)の彼氏で、次はスズ(藤田さん)の彼氏で…。

こういう役も本当にスッと馴染んで演じてしまうので、こういう男性、実際に居そう~!…ってなります。。

お玉でカレー食べるシーンと、階段の手すりに腰かけて、サーっと滑って下るシーンが好きです

ヨーコとスズの軋み具合も含めて、何だかんだ、ほのぼのとした作品でした






『近松物語』(1954)

2013年07月08日 | 邦画(クラシック)
『近松物語』(1954)

溝口健二監督、長谷川一夫さん(茂兵衛)、香川京子さん(おさん)、南田洋子さん(お玉)進藤英太郎さん(大経師以春)出演。



【STORY】
近松門左衛門作の人形浄瑠璃・歌舞伎の演目『大経師昔暦』(だいきょうじ むかしごよみ、通称「おさん茂兵衛」)を下敷きにして川口松太郎が書いた戯曲『おさん茂兵衛』を映画化した作品。(Wikipediaより)

京烏丸四条の大経師内匠は、宮中の経巻表装を職とし、町人ながら名字帯刀も許され、御所の役人と同じ格式を持っていた。傍ら毎年の暦の刊行権を持ちその収入も大きかった。当代の以春はその地位格式財力を鼻にかけて傲岸不遜の振舞が多かった。その二度目の若い妻おさんは、外見幸福そうだったが何とか物足らぬ気持で日を送っていた…。(Movie Walkerより引用)

【感想レビュー】@theater
スクリーンで観たいと思っていた作品です。

『中原昌也 映画の頭脳破壊』という本の【汚れた足が美しい『マリー・アントワネット』と『大奥』】の章で、鈴木則文さんが、

(大奥:生島と絵島あるシーンで)なぜか舫(もやい)がスルスルと解けて、船が川に彷徨い出るんだよ。
『近松物語』じゃないけど、川が自由の象徴なんだね。

と仰っているくだりを読んで、それでは近松物語を知らないと!

と思ったのでした。


おさんを演じる香川京子さんがとっっても美しかったです

前半の、本当はそこまで強くないのだけど、女将として切り盛りしないとならないというプレッシャーから頑張ってしまっている感じには、なんだか現代と通ずるものを感じました。

長谷川一夫さん演じる茂兵衛と、気持ちがふと寄り添う描写が、奥ゆかしいながらも、色香があって素晴らしかったです

そして、例の川のシーンでは、茂兵衛のある言動で、一転して状況が変わるのですが。
そこからは、腹を括った女性の強さ、強くなれてしまう性のようなものが、鮮やかに描かれていました。

船の上で、おさんは自由を生きたんだなっと、鮮烈な印象を受けました!

また、追っ手から2人で逃げている途中、老婆の小屋から茂兵衛が1人、山の斜面をジグザグに走って降っていくシーンがあるのですが、それが凄かったんです!

スクリーンの斜め右上に向かってジグザグの山道を降っていくので、奥行きを感じさせるのですが、圧巻のシーンでした

作品全体において、静と動の対比が鮮やかで、観ていて飽きさせないのです。

こんなに感情移入も出来て、楽しいんだ‼

…と、モノクロ映画や昔の映画に対する意識が変わりました!

西島さん、ありがとうございます
世界が拡がりました
↑勝手に…。



『愛怨峡』(1937)

2013年07月07日 | 邦画(クラシック)
『愛怨峡』(1937)

溝口健二監督、山路ふみ子さん、河津清三郎さん、清水将夫さん、三桝豊さん、明春江さん出演。



【STORY】
信州の旅館の女中・おふみ(山路ふみ子)は、旅館の跡取りである謙吉(清水将夫)と恋仲になり、駆け落ちして東京に向かうが、お坊っちゃん育ちの謙吉は働きもせず、身重のおふみを残して父親に連れ戻されてしまう。

おふみは流しのアコーディオン弾きである芳太郎(河津清三郎)に出会う。
やがて共に漫才師となり子どもを連れて旅芸人の一座で働くことに…。

【感想レビュー】@theater
『西鶴一代女』と2本立ての2本目に観ました。

1937年の作品という事で、やはり映像と音の入り方に聴き取りにくさは感じましたが…。

西鶴一代女とはまた違う趣きの強い女性に、再び目が釘付けになりました!

作品の時代背景が違うので、当たり前ですけれども…。
女性の強さ、逞しさが表出しているのが印象的でした

そして思ったのが…モノクロだと、彫りが深くて整っているお顔立ちの役者さんは、本当に、本当に、美しく映るのですね!!

河津清三郎さんがもう素敵過ぎました

そういえば…。
西島さん主演の『ラストシーン』で、妻との出逢いのシーンが少し色味を抑えた映像でしたけど、西島さんも若村さんもお顔が映えてました

山路ふみ子さんさん演じるおふみがどんどん逞しくなっていく様子も、観ていてスカッとしました


そして、不安に思っていたモノクロ…しかも2本立て…。

が嘘のように、映画館を出る足どりは軽く♪

また来ようっ♪(*^^)o‼

と誓うほどでした

…と思いつつも、なかなかスケジュール合わず、結局は後一度しか行けなかったのですが…