NGC 1808 LRGB 処理例
著者 Vicent Peris (OAUV/Pチーム)
生CCD画像は Jack Harvey と Steven Marlin (SSRO/PROMPT/CTIO所属) によるものです。
パート 2/2
パート1では、NGC 1808の画像のリニアなRGB要素に、数種類の重要な初期処理をおこないました。
例えば、DBEツールを使って元データーに含まれる明るさの傾斜を除去しました。そして、バックを均一化(中性化)し、色をBackgroundNeutralization と ColorCalibration Toolを使って調整し
ました。星雲からの光を「白」色のレファレンスとして使用し、カラーの調整をおこないました。この「白」のレファレンスを使う事によって星座を取り巻く星々と星雲を取り巻く他の物体とを区
別しています。そして、これこそが画像のメインテーマです。
さて、目的は LRGB合成をやることでした。ですので、次にやることはL(ルミナンス)画像を用意する事です。L(Luminance)画像はカラー画像とほぼ同様の輝度の傾斜があります。前の処理で両方
の画像は既に登録されていますので、同じ DBEアイコンを使用することができます。
ですので、DBEツールを開いて、L画像に対して動的なセッションを開始します。そして、そのProcess(処理)アイコンをロードします。ここで気をつけなければならないのは同じサンプルをRGB画像
として定義していますが、DBEはL(Luminance)画像のピクセル情報を再計算します。Execute(実行)ボタンを押して、輝度傾斜サンプルを適用し、動的なセッションを終了します。処理結果は下部
左側で確認できます。
この段階ではまだ全てのデータはリニア(直線的)です。しかしながら、LRGB合成は、ノンリニア合成の要素を必要とします。これは LRGB合成は CIE Lab と CIE Lch カラー空間で動作しており
、これはノンリニア空間です。ですので、次の処理としてやる事は、Histogram Transformation ツールを使って、両方の画像のピクセルに対してノンリニア変換を適用する事です。
このツールのインターフェースには2つのヒストグラムのグラフが表示されています。下のヒストグラムは現在の画像に対するグラフ、上のグラフは変換後の予測値のグラフです。
Track View機能を起動すると、アクティブなイメージのヒストグラムが表示されます。天体画像のリニアな画像では、ほとんどのデータがヒストグラムの左側の一部分に集中してピークを形成して
います。グラフをズームして拡大する事により、その部分の詳細がわかります。
LRGB合成処理の主目的はRGBカラー画像に潜在する輝度要素を非リニアL (Luminance)に置き換えることです。この処理をうまくやるには、両方のイメージの全体的な輝度とコントラストが同等であ
る必要があります。効果的に必要とされる同等性を得るためには、同等の要素の数値を持った状態の画像にノンリニアストレッチを適用する事ですが、それぞれの画像に対して、別々の計算をする
必要があります。これが 自動スクリーン・ストレッチを持ったSTFツールの役割であり、自動スクリーンストレッチのパラメーターをSTFツールからHistogram Transformationツールに移行します
。
STFのNew InstanceアイコンをクリックしてHistogram Transformationウィンドウにドラッグします。そして、対応する暗部クリッピング、中間調バランス点を設定します。Histogram
Transformationを適用する前に、STF表示を無効にします。そして、これらのパラメーターを画像に適用します。Luminance画像に対しても同じ作業をおこないます。
これから先の作業はノンリニア画像と言う事を理解しておいてください。と言うのはこれから先の修正は元に戻せないと言う事です。これは修正後のそれぞれのピクセルの明度は、その元データの
明度とは異なり周りと比較対象ができなくなると言う事です。適正なカラー修正もノンリニア画像には適用できません。ですので、カラーバランスはノンリニア画像処理をはじめる前に修正してお
くべきです。
またより良いLRGB画像を得るため、もう一つの重要な点として、処理対象画像の一番明るい部分の飽和を避けると言う点があります。この領域は画像処理上、問題となり、飽和点に近いと言う事は
処理中にカラーチャンネルを飽和させてしまう危険性があるということです。これらを避ける為には両方のダイナミックレンジをHDRWavelet Transformツールを使って圧縮します。このツールは初
期設定の処理コレクションの中にあり、Process Explorerウィンドウ上のWaveletカテゴリーにもあります。
もうひとつの便利なパラメーターは Lightness Mask(輝度マスク)です。ダイナミックレンジの圧縮は画像の一番明るいエリアのみに必要です。輝度マスクオプションを起動することによって、
HDRWaveletsアルゴリズムが低輝度の部分に適用されるのを避けることができます。もし低輝度の部分にHDRWaveletsが適用されるとリンギングが起こります。さて、ここに4レイヤーとLightness
Mask輝度マスクを適用した結果が表示されています。これにHDRWaveletTransform処理を輝度画像とカラー画像の両方に適用します。これで LRGB合成処理の準備が整いました。
パート1の最初のところで、LRGBCombinationツールは使って、RGB要素を使いひとつのカラーイメージを合成していました。今度はL要素を使い、それに対応した表示を選択します。3色のカラー
要素は無効にしなければなりません。輝度(Luminance)を代替したことによる効果は、プレビューで確認できます。適用前、適用後を確かめてください。
LRGBCombinationツールはカラーサチュレーション(飽和)を増加させるオプション設定があります。これはノンリニアな中間調変換をCIE Lch色のカラー空間のクロマ(chroma)要素に適用すること
により実現しています。中間調調整が少ないほど最高飽和点が上がります。結果を見てみましょう。そしてさらに、カラーサチュレーション(飽和)を調整してみましょう。
画像処理でよく起こりますが、ケーキを食べるとケーキを持っていることはできません。(「矛盾することは同時にはできない」の英語のことわざ)カラーサチュレーション(飽和)が増大すると
クロマノイズも増大します。このノイズはバックグランド領域をズームしてみるとよくわかります。幸いなことにPixInsightのLRGBCombinationツールはクロマノイズ除去アルゴリズムを搭載して
おり、これらのノイズを低減することができます。これが典型的な例です。
満足できる処理ができたら、これらのパラメータを実際の画像に適用します。
LRGB画像は、さらにストレッチ(拡張)できます。HistogramTransformationツールを再度起動して、Track Viewオプションを起動させ、ツールを初期化します。ご覧になるとわかるように、影の
クリッピングポイント(境界点)を引き上げることができ、ヒストグラム上のはじめの方で使われていない部分を除去することができます。リアルタイムに変化を見るためには、Real-Time
Previewアイコンをチェックしてください。中間調バランス点もちょっとだけ調整することができます。満足できる状態になったら、こられらのパラメーターを画像に適用します。
この段階で、大きな問題として残っている点としてはグリーンチャンネルだと思います。明るい星はこのチャンネルの副作用反射が発生します。そしてバックの領域に高いノイズを発生し、時とし
て広い範囲に及びます。
この問題を解決するため、PixInsightはSCNRツールを搭載しています。このツールはProcess ExplorerウィンドウのNoise Reductionカテゴリーの下にあります。SCNRノイズ除去アルゴリズムはRGB
カラーイメージの3つのチャンネルのそれぞれに適用できます。よく使われる保護手法は中間手法です。これらの手法を使い、それぞれのピクセルのグリーン要素に対して最大値を制限します。制
限値は、赤と青の要素の平均値、最大値、または最低値が設定できます。この場合、Average Neutralオプションを選択してください。前に定義した最初のプレビューに処理結果を表示します。
ここに最終処理後の画像があります。
著者 Vicent Peris (OAUV/Pチーム)
生CCD画像は Jack Harvey と Steven Marlin (SSRO/PROMPT/CTIO所属) によるものです。
パート 2/2
パート1では、NGC 1808の画像のリニアなRGB要素に、数種類の重要な初期処理をおこないました。
例えば、DBEツールを使って元データーに含まれる明るさの傾斜を除去しました。そして、バックを均一化(中性化)し、色をBackgroundNeutralization と ColorCalibration Toolを使って調整し
ました。星雲からの光を「白」色のレファレンスとして使用し、カラーの調整をおこないました。この「白」のレファレンスを使う事によって星座を取り巻く星々と星雲を取り巻く他の物体とを区
別しています。そして、これこそが画像のメインテーマです。
さて、目的は LRGB合成をやることでした。ですので、次にやることはL(ルミナンス)画像を用意する事です。L(Luminance)画像はカラー画像とほぼ同様の輝度の傾斜があります。前の処理で両方
の画像は既に登録されていますので、同じ DBEアイコンを使用することができます。
ですので、DBEツールを開いて、L画像に対して動的なセッションを開始します。そして、そのProcess(処理)アイコンをロードします。ここで気をつけなければならないのは同じサンプルをRGB画像
として定義していますが、DBEはL(Luminance)画像のピクセル情報を再計算します。Execute(実行)ボタンを押して、輝度傾斜サンプルを適用し、動的なセッションを終了します。処理結果は下部
左側で確認できます。
この段階ではまだ全てのデータはリニア(直線的)です。しかしながら、LRGB合成は、ノンリニア合成の要素を必要とします。これは LRGB合成は CIE Lab と CIE Lch カラー空間で動作しており
、これはノンリニア空間です。ですので、次の処理としてやる事は、Histogram Transformation ツールを使って、両方の画像のピクセルに対してノンリニア変換を適用する事です。
このツールのインターフェースには2つのヒストグラムのグラフが表示されています。下のヒストグラムは現在の画像に対するグラフ、上のグラフは変換後の予測値のグラフです。
Track View機能を起動すると、アクティブなイメージのヒストグラムが表示されます。天体画像のリニアな画像では、ほとんどのデータがヒストグラムの左側の一部分に集中してピークを形成して
います。グラフをズームして拡大する事により、その部分の詳細がわかります。
LRGB合成処理の主目的はRGBカラー画像に潜在する輝度要素を非リニアL (Luminance)に置き換えることです。この処理をうまくやるには、両方のイメージの全体的な輝度とコントラストが同等であ
る必要があります。効果的に必要とされる同等性を得るためには、同等の要素の数値を持った状態の画像にノンリニアストレッチを適用する事ですが、それぞれの画像に対して、別々の計算をする
必要があります。これが 自動スクリーン・ストレッチを持ったSTFツールの役割であり、自動スクリーンストレッチのパラメーターをSTFツールからHistogram Transformationツールに移行します
。
STFのNew InstanceアイコンをクリックしてHistogram Transformationウィンドウにドラッグします。そして、対応する暗部クリッピング、中間調バランス点を設定します。Histogram
Transformationを適用する前に、STF表示を無効にします。そして、これらのパラメーターを画像に適用します。Luminance画像に対しても同じ作業をおこないます。
これから先の作業はノンリニア画像と言う事を理解しておいてください。と言うのはこれから先の修正は元に戻せないと言う事です。これは修正後のそれぞれのピクセルの明度は、その元データの
明度とは異なり周りと比較対象ができなくなると言う事です。適正なカラー修正もノンリニア画像には適用できません。ですので、カラーバランスはノンリニア画像処理をはじめる前に修正してお
くべきです。
またより良いLRGB画像を得るため、もう一つの重要な点として、処理対象画像の一番明るい部分の飽和を避けると言う点があります。この領域は画像処理上、問題となり、飽和点に近いと言う事は
処理中にカラーチャンネルを飽和させてしまう危険性があるということです。これらを避ける為には両方のダイナミックレンジをHDRWavelet Transformツールを使って圧縮します。このツールは初
期設定の処理コレクションの中にあり、Process Explorerウィンドウ上のWaveletカテゴリーにもあります。
もうひとつの便利なパラメーターは Lightness Mask(輝度マスク)です。ダイナミックレンジの圧縮は画像の一番明るいエリアのみに必要です。輝度マスクオプションを起動することによって、
HDRWaveletsアルゴリズムが低輝度の部分に適用されるのを避けることができます。もし低輝度の部分にHDRWaveletsが適用されるとリンギングが起こります。さて、ここに4レイヤーとLightness
Mask輝度マスクを適用した結果が表示されています。これにHDRWaveletTransform処理を輝度画像とカラー画像の両方に適用します。これで LRGB合成処理の準備が整いました。
パート1の最初のところで、LRGBCombinationツールは使って、RGB要素を使いひとつのカラーイメージを合成していました。今度はL要素を使い、それに対応した表示を選択します。3色のカラー
要素は無効にしなければなりません。輝度(Luminance)を代替したことによる効果は、プレビューで確認できます。適用前、適用後を確かめてください。
LRGBCombinationツールはカラーサチュレーション(飽和)を増加させるオプション設定があります。これはノンリニアな中間調変換をCIE Lch色のカラー空間のクロマ(chroma)要素に適用すること
により実現しています。中間調調整が少ないほど最高飽和点が上がります。結果を見てみましょう。そしてさらに、カラーサチュレーション(飽和)を調整してみましょう。
画像処理でよく起こりますが、ケーキを食べるとケーキを持っていることはできません。(「矛盾することは同時にはできない」の英語のことわざ)カラーサチュレーション(飽和)が増大すると
クロマノイズも増大します。このノイズはバックグランド領域をズームしてみるとよくわかります。幸いなことにPixInsightのLRGBCombinationツールはクロマノイズ除去アルゴリズムを搭載して
おり、これらのノイズを低減することができます。これが典型的な例です。
満足できる処理ができたら、これらのパラメータを実際の画像に適用します。
LRGB画像は、さらにストレッチ(拡張)できます。HistogramTransformationツールを再度起動して、Track Viewオプションを起動させ、ツールを初期化します。ご覧になるとわかるように、影の
クリッピングポイント(境界点)を引き上げることができ、ヒストグラム上のはじめの方で使われていない部分を除去することができます。リアルタイムに変化を見るためには、Real-Time
Previewアイコンをチェックしてください。中間調バランス点もちょっとだけ調整することができます。満足できる状態になったら、こられらのパラメーターを画像に適用します。
この段階で、大きな問題として残っている点としてはグリーンチャンネルだと思います。明るい星はこのチャンネルの副作用反射が発生します。そしてバックの領域に高いノイズを発生し、時とし
て広い範囲に及びます。
この問題を解決するため、PixInsightはSCNRツールを搭載しています。このツールはProcess ExplorerウィンドウのNoise Reductionカテゴリーの下にあります。SCNRノイズ除去アルゴリズムはRGB
カラーイメージの3つのチャンネルのそれぞれに適用できます。よく使われる保護手法は中間手法です。これらの手法を使い、それぞれのピクセルのグリーン要素に対して最大値を制限します。制
限値は、赤と青の要素の平均値、最大値、または最低値が設定できます。この場合、Average Neutralオプションを選択してください。前に定義した最初のプレビューに処理結果を表示します。
ここに最終処理後の画像があります。