明治期の北海道開拓のようす(小説「お登勢」)

今、船山馨という人の書いた「お登勢」(上下)という長編小説を読んでいる。北海道が蝦夷地から名前を替えたころからの開拓の様子が非常に細かく分かる。

明治維新時に討幕の立場で加わったにもかかわらず、事実上蝦夷地への島流し的措置をくらった淡路島の人たち(主人公は「お登勢」という女性)の苦難と感動の物語だ。

淡路は稲田藩が領有していたが、これが維新時のいくさ(戊辰戦争)後、北海道移住を命じられる。途中の航海で移民団215名のうち83名が嵐で溺死するという悲劇を経て今の静内地区に住むことになった。

「雪と氷と樹の地獄」という感を抱く地だった。しかし移住した人たちは「何年かしたら淡路のような美しい豊かな土地にかわるはず」という希望をむりやりもつという暮らしだった。

狼の群れに襲われ、丹念に育てた道産子馬も多くが食われる。「これが人間の住む土地か」と思いながらお登勢たちは懸命に働いた。襲われる悲劇、そして北海道と関係ないところでの戦争(西南戦争)など、次から次へと試練に遭う。
その間、夫の情死なども含め、悲劇がこれでもか、とお登勢に迫る。

狼、蝗の襲来、等。まだ半分読んだだけだからこれからの展開を見ながら、われわれの父母、祖父母たちが大なり小なり似た環境で生きたことを想像しながら、では次の北海道はどうなるのだろう、「美しい豊かな大地」として道民のすべてが「わが故郷北海道」と誇れる土地になっていくだろうか、と思いながら読み進めている最中だ。

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