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日記 … Kametarou Blog
仏教、世界三大宗教
久しぶりの世界史の担当で、かつてももったことはあるだろうが、むやみに難しいと感じだしている問題が次ぎ次ぎに出てくる。
その一つが「世界宗教」の説明である。三大宗教とされる仏教、キリスト教、イスラム教の基本的なところぐらいは教えていかなければならない。当然だ。ところが、これがなかなか難しいのだ。例えば仏教。
教科書は、ガウタマ・シッダールタは現世を無常であるとし、人間は欲望を離れ無我になって悟りを開けば、人生の苦しみから平等に救われると説き、八正道の実践を説いた、とある。
世界史の教科書の記述は多少のちがいはあってもおおよそそういうようにある。これを読んで、「人生は苦しい」ことを多少実感してきたわれわれの年齢層なら分からないでもないが(とはいっても「人生は苦しい」だけでなく「楽しいこともあるしうれしいこともある」ことを知っている!)、まだ人生を歩み出した子どもたちに何がわかるのだろうか。
「世界三大宗教のひとつ、歴史的にいえば一番早く成立した仏教というのは、ガウタマ・シッダールタがこういう考えで始めた」といった分からない説明をしておくのならともかくとして、世界の各地に、なかんずく日本はいわば仏教徒が一番多い。私自身そうだ。日本の仏教と、始祖の思想はほとんど違うのだ、などとはいえない。
今日、退勤時書店でNHKのテキスト「ブッダの最期のことば・上」を買って来た。
80歳のとき鍛冶職人の青年が寄進したキノコ料理を食したことで腹痛を起こし、極度の苦しみに耐えながら亡くなったという。そして最期の言葉(遺言)は次のようだったと同書は記す。
「さあ、修行僧たちよ。お前たちに告げよう、『もろもろの事象は過ぎ去るものである。怠ることなく修行を完成なさい』と。」この言葉を著者の田上太秀さんは「光陰矢の如し」「一時も休まずがんばりなさい」と説明している。
この最期の言葉から仏教の真実を理解してもらうことは、これまた難しい。
しかし仏教だけでなく宗教それぞれをあまり関心のない生徒たちに納得できるように教えることは容易ではないと痛感している。何も「宗教」だけでないが。
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