アホウドリのことなど

NHKの「ダーウインが来た」という日曜日の番組は、できるだけ見ることにしている。今日は「アホウドリが小笠原に帰ってきた」。
江戸時代、遭難して南の島に漂着した漁民が生きることができたのはアホウドリを捕獲して食べたという話を何かで読んだことがある。そのアホウドリは、明治以来の乱獲のためにほとんど絶滅の危機にあった。主としてその羽毛を利用するためだったと放送では言っていた。
小笠原諸島の聟島という無人島で、その鳥の繁殖計画が進んだ。
3年前に、苦労して育てた鳥を、北のアリューシャン諸島へ「必ずこの地に帰っておいでよ」と送り出した研究者たちの前に、ついにこの年に何羽かが帰ってきた。5,000キロ離れたアリューシャン諸島にまで行ってそこで十分の餌を得て立派に成長して生まれた地に戻るという習性を持っているアホウドリだという。

研究者たちは、聟島をアホウドリの繁殖地にしたいという目的を達成すべく努力しているという。NHKはこの取組を精密なプロジェクトを組んで取材していた。
(この番組を制作するグループの努力には頭が下がる!)

自然界では、生まれた地に戻る動物がいる。シャケなどもそうだ。人は、そういう動物がいくたの苦労を重ねながらも所期の目的を達成して「生まれ故郷」に帰ってくる姿に接して、自分の人生になぞらえて感嘆する。

作家の渡辺淳一さんは「男は未練がましく」常に過去をひきずるが、女性は未来をめざして生き過去を引きずらない、と比較する。男はサケのように元の所に帰ろうとするが女は海に出たマスのように元に帰ることはしないと書いていた(「熟年革命」)。
(マスも回帰する種類が多いようだが)。

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