来し方、行く末に思いを続けて…
日記 … Kametarou Blog
「おくのほそ道」10 (遊女との出会い)
親不知(おやしらず)・子しらず・犬もどり、などと言われる北国一の難所がある。今でいえば新潟県の西、富山県に近い所だ。地名からして想像できる、おそろしいほどの難所だった。(市振(いちぶり)という糸魚川市に属するところ)。
ここを越えて、宿に着いて疲れていたのですぐに寝た。一間おいた部屋で女の声がうるさく眼が覚めた。二人の若い女と一人の年をとった(?)男のようだ。
(耳に入ってきたことを記すと)。二人の女性は越後の国の新潟という所の遊女だ。伊勢参りということでこの関まで来た。明日はここまでいっしょに来た男が帰るということで返す文をしたため、とりとめのない話しをしていた。その女たちが波にさすらう海女の子のように、おちぶれて夜ごと定めなき客とちぎりを結び、日びをかさねていくこと、どんなにはかないことだろう、などと考えているうちに寝入ってしまった。
翌朝、出立のとき彼女たちが、「行方定めぬこれからです。せめてお坊様のお情けで広大な慈悲のお心をお恵み下さいますようにお願いします。仏道への縁を結ばせてください」と言って、涙ながらに頼むのだった。しかし気の毒ではあったが、「私たちは所々でとどまることが多くてご期待には応えられません。しかし人の行く方に向かって行きなされ。きっと神様がお守ししてくださるでしょうから」と言って別れたものの、あわれさの気持ちがしばらくは胸からはなれなかった。
・一家(ひとつや)に遊女も寝たり萩と月
(同じ宿に思いがけなく遊女と同宿した。おりから萩の盛り、月の澄み切った夜だった。あわれ深い巡り合わせだった、との思いひとしお)。
※ 上の話は芭蕉のフイクションでは、という意見がある(山本健吉「奥の細道」)。
ここを越えて、宿に着いて疲れていたのですぐに寝た。一間おいた部屋で女の声がうるさく眼が覚めた。二人の若い女と一人の年をとった(?)男のようだ。
(耳に入ってきたことを記すと)。二人の女性は越後の国の新潟という所の遊女だ。伊勢参りということでこの関まで来た。明日はここまでいっしょに来た男が帰るということで返す文をしたため、とりとめのない話しをしていた。その女たちが波にさすらう海女の子のように、おちぶれて夜ごと定めなき客とちぎりを結び、日びをかさねていくこと、どんなにはかないことだろう、などと考えているうちに寝入ってしまった。
翌朝、出立のとき彼女たちが、「行方定めぬこれからです。せめてお坊様のお情けで広大な慈悲のお心をお恵み下さいますようにお願いします。仏道への縁を結ばせてください」と言って、涙ながらに頼むのだった。しかし気の毒ではあったが、「私たちは所々でとどまることが多くてご期待には応えられません。しかし人の行く方に向かって行きなされ。きっと神様がお守ししてくださるでしょうから」と言って別れたものの、あわれさの気持ちがしばらくは胸からはなれなかった。
・一家(ひとつや)に遊女も寝たり萩と月
(同じ宿に思いがけなく遊女と同宿した。おりから萩の盛り、月の澄み切った夜だった。あわれ深い巡り合わせだった、との思いひとしお)。
※ 上の話は芭蕉のフイクションでは、という意見がある(山本健吉「奥の細道」)。
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