「親学推進法」なる法案

親学という「学問」があるというのではなく、伝統的な子育てを「親学」というらしい。この日本伝統の子育てのノウハウを、今後一般化していく、そのために法律をつくり、さらに地方自治体にも広げようという動きがある。このために「親学推進議員連盟」が4月10日に設立された。この会の代表は安倍晋三元首相で、超党派で81名が参加しているという。主なところでは、鳩山元総理、鈴木寛議員(議連幹事長)、下村博文議員(自民)や義家弘介議員(自民)など。

この親学の根本は、伝統的な子育てを復活させることとする。親心の喪失と親の保護能力の衰退を問題の原因とし、親への強制を伴う教育が必要ということである。その「問題」というのは、虐待、不登校・引きこもり、非行、等をさす。伝統的子育てによって発達障害は予防、防止できるという。
逆に言えば、日本の伝統的な子育てが衰退したことによって、発達障害や非行・引きこもりなどが広がっているのだという理屈のようである。愛着形成の不足が発達障害を誘発する要因となってきた。
これを復活させることに子どもをとりまくいい環境を構築できるのである。

本当か?
確かに子どもへの愛情は必要であり、スキンシップは赤ちゃんのときの必須要件だし、そんなことは誰もが知っている。だからといって法律でスキンシップやなどを強制し、これを満足にできない親を強制するなどあり得るのか。

精神科医の高岡健さんは「伝統的な子育てというのは世界中、どこの歴史をひもといても存在しない」と言っている。日本にもしこういう子育てがあったとすれば、昔の忠孝の倫理の大復活だ。だから、親学というのは、多分天皇崇拝と直結する理念になるに違いない。
※ 以上の記事は、全国不登校新聞社発行の「Fonte」第238号(20120515)を参照した。

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