13歳の進路(村上龍)

「村上龍があなたに送る、夢と勇気の進路ガイド」という帯のコピーである。今回はこの本の紹介をしよう。また裏帯に村上さんが次のように言っている。

進路は未来へとつながっている。できれば、親や教師や社会から「振り分けられ」「与えられる」のではなく、自ら「選び取り」そいう積極性を持ってほしい。希望する高校に落ちたり、高校を中退してしまったり、専門学校に行く資金がなかったり、大学を出ても就職先が見つからなかったりしても、絶望してはいけない。社会の中で生きのびる、つまりサバイバルしていくのは簡単ではないが、しかし、対応策がまったくないわけではない。
その対応策の可能性を探るために、この「13歳の進路」は作られている。

村上さんがかつてフリースクールを取材した中に「東京シューレ」があった。これは、これまでの「学校」のイメージとは全く異なっていた。学校とは整然と机その他が並び、生徒たちはまとまって勉強しているはずだった。しかしこのフリースクールにはそういう彼のもっていたイメージとは違っていた。違和感を感じた。一人ひとり好き勝手なことをしていて将来社会人になったときに戸惑ったりしないだろうか、と心配になった。
しかし実際にフリースクールの子どもたちと話したあと、これまでもっていた学校のイメージが揺れ動いた。「学校は本当に知識と社会的規律を学ぶところなのか、と自問した。何度自問してもその答えはイエスだった。だが、その学び方は一律ではなくてもいいのではないか、と思うようになり、最後に、一律な学び方を押しつけるやり方ではもはやすべての子どもに対応できないのではないか、という結論に達した」。
そしてフリースクールの役目はますますおおきくなっていくと思われる、という感想を記している。

学校に関する認識と、実際にフリースクールを見たり子どもの体験を通してこれを知ると、ほとんどの人が村上さんのような理解のステップアップを成し遂げる。
フリースクールは、今の教育の状況で不可欠の存在である。しかしフリースクールは今「公教育」の中で全く地位を占めていない。

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