やまゆり園の事件と姥捨て伝説

 相模原市の県立障害者施設である津久井やまゆり園の元職員が施設の利用者である人たちを「社会の邪魔者」として消し去ろうとして無差別に殺戮行為をし19人を殺害した。それから1年、この加害者は今に至るも自己の行為を正当化しているという。

 これを聞いて、なぜか昔あったという伝説「姥捨て山」の話を思い出した。知られているように、高齢者を山に捨てに行くという話であるが、しかし捨てることをよしとしない若者が古老をかくまう。そしてあるとき領主から無理難題を出されこの答えをかくまっている古老に教えてもらい、最後は知恵をもつ老人を大切にすることが重要なのだ、といった話だ。

 今ある実際の話はもっともっと深刻だ。社会の邪魔者だ、とは言わないが、社会福祉に当てるべき予算をどんどん下げる、もし社会福祉に予算を増やせというなら税金を増やすことを認めろ、という政治の方向だ。体(てい)のよい姥捨て思想ではないか。あの加害者のやまゆり園の元職員の思想を複雑に隠しながら貫こうとしているのが今の政府・政治家たちではないか、と思った。
 
 今の世で、本当は高齢者は知恵と隠れた力があるのだ、と言われることはまずないだろう。だから社会の無駄ガネづかいが高齢者であり障害者であるというのだから、かつて姥捨て伝説をつくった貧しい人たちなら持っていたであろう「救い」の話すら見出すことができない。
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