てんぱっていきまっしょい。

国内旅行をこよなく愛する人間の日記です。でも最近は出かけてないよねぇ。(現在コメントは事前承認制にしています。)

岸辺露伴は動かない(六壁坂)その4

2022年01月13日 | 岸辺露伴は動かない

大郷楠宝子(おおさとなおこ) - 内田理央 に起きた出来事を、彼の能力ヘブンズドアを発動したことによって理解した、杜王町に住む人気漫画家:岸辺露伴 - 高橋一生 。

取材拠点にしていた集会所に、露伴の担当編集者:泉京香 - 飯豊まりえ と 櫂 - 吉田奏佑 という少年を残し、駆け出して行った。
露伴が出て行ったあと、集会所の二階で意識を取り戻した楠宝子。
露伴はその場にいないが、彼が楠宝子の頭の中の本に「岸辺露伴のことは気にしない」と書き込んで出かけて行ったので、何も疑問を感じていないようだ。

露伴は走りながら、本に書いてあった内容を思い出していた。
大郷楠宝子はその後、予定通り高窓修一 - 中島歩 と結婚し、そして郡平の死は・・・。
彼女の本によれば、その後もずっと釜房郡平 - 渡辺大知 の血は止まらず毎日静かに、確実に出血し続けていた。
楠宝子は、天井裏に隠した郡平の遺体から流れる血の始末をしなければならないため、血液を溜める容器を持って毎日郡平の遺体の様子を見ることが日課のようになっていた。
毎朝、溜まった血液を捨てて一杯の水を霧吹きで与える。
外泊も旅行も彼女の意思でしていない様子から、この日課が嫌という訳ではないらしい。
むしろ、眠ったままのような彼の顔を見るのが楽しみのようになっていた。

郡平は自分だけのもの。
その想いは修一との間に、2人子どもを授かっても変わることがなかった。

郡平は今も大郷家の天井裏で死に続けている。
郡平を見たいと思った露伴は、六壁の山道の坂を登っていた。露伴が推察した、本当の六壁坂だ。
間違いない、奴もまた六壁坂の妖怪。そして六壁坂は・・・大郷家の裏、ここだ。

30年前、この忘れられていた坂の上にある屋敷に、大郷家は引っ越して来た。
それがきっかけとなって、六壁坂は再び息を吹き返した。
境い目が開いたんだ。
開いた境い目からは、当然何かがはみ出してくる。
(橋本陽馬 - 笠松将、乙雅三 - 市川猿之助、そして郡平)

忘れられた六壁坂の妖怪伝説でも、あの家の天井裏に郡平はいる。
露伴は、坂道を駆けあがる。
それは、橋本がランニングコースとして走ったであろう、乙が迷ったであろういびつな石段の坂道だ。
ただ死んでるだけの奴の目的は何だ。知りたいのはそれだ。

露伴は立ち止まる。坂を踏みしめる誰かの足音が聞こえたからだ。

お兄さん岸辺露伴でしょ、漫画家の。
三つ編みに、水色のワンピースを着た少女(白鳥玉季)が近寄ってくる。
知ってるよ、最近この辺の山買ったんでしょ。

誰だ、君は。

怪しい大人とは口を利くなって言われてる。

君が話しかけてきたんだろ、どこから来た。ここは簡単に入って来られる場所じゃない。
それとも、あの大郷家とも関係が・・・。君もしかして、おい、待てっ。

話しかけようと露伴が近寄ると、後ろに下がろうとした少女が枯葉に足を滑らせて倒れる。
倒れた拍子に、岩に頭を打ちつけてしまったようだ。

キミ、大丈夫か。おいっ。

露伴が近寄ると、少女はぐったりとして動かなかった。

まさか、バカな。これじゃまるで、僕がこの子を何かしたみたいじゃないかっ!

・・・何っ( ゚Д゚)

すると、彼女の頭の傷口から血液が流れ始めた後に、彼女の顔がまるで水分を抜かれ干からびていくように
しわしわになっていく。

これは、コイツはあの郡平の子どもかっ!
大郷楠宝子は、死体になった郡平の子どもを・・・そして、今度はコイツが父親のように。
僕に取りく気だっ!

ヘブンズドアッ

露伴は、少女にヘブンズドアを発動した。
彼女の本には、何気ない少女の日常が記されている。
だが、血液が抜けていることによって、そのページがどんどん黒ずんで読めなくなっていく。
露伴は直感した、マズい、これは死だ。この少女の本が完全に黒く塗りつぶされたら、もう書き込むことはできなくなってしまう。
露伴はペンを取り出し、黒くなりかけたページの端に書き込みをする。

岸辺露伴を知らない、見ることもない。

すると、少女が目を覚ました。
少女の背後に座り込む露伴には気づかず、辺りを見回している。

桐子、何してるの~?

坂の上で少女を呼び止めたのは、母親の楠宝子だった。
桐子という少女は、何事もなかったかのように母親のところへ駆け寄り、2人で家に向かう石段を登って行った。
母子の会話からすると、もう一人「カイ」という名前の子どもがいるらしい。

カイ・・・。
その名前に、聞き覚えがある。
それは、泉と一緒に集会所にいたあの少年の名前だった。

坂道を、泉と櫂がしゃべりながら登ってくる。

へぇ、人にお世話してもらう妖怪ぃ?
そんなのいるんだぁ。

いるよ、聞いたことない?

うん、ない。
少年は、泉を残して坂を駆け出す。

人に寄生してなんの苦労もせずに子孫を残す、それだけの存在。
その生き物としての幸福の絶頂は、(駆け出した坂で転ぶ少年、枯葉に足を取られる桐子、そして廊下で倒れる郡平)誰かの前で死ぬとき。

露伴は、慌てて坂を駆け降りる。
もし、泉と一緒にいるあの少年があのカイなら、大郷家の一員なら。
泉の目の前で死ぬチャンスを狙っているかもしれないのだ。
急いでスマホを取り出し、泉に電話をするが彼女からの応答は無かった。


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