1997年に打ち上げられ、2004年に土星の周回探査を開始したNASAの土星探
査機「カッシーニ」は、この13年間で土星本体はもちろんのこと、土星を取り巻
く環や、多種多様な個性を持つ衛星たちについて観測を重ね、私たちに計り知れ
ない数多くの知見をもたらしてくれた探査機ですが、4月23日から いよいよ最後
のミッション「グランドフィナーレ」がスタートします。
グランドフィナーレの期間中、探査機「カッシーニ」は 22回にわたって 土星
本体と環の最も内側の間に広がる幅2400kmの隙間に飛び込むような軌道を飛行し、
謎に包まれた間隙の情報を集め、土星の磁場や重力の分布図も作成して土星の内
部構造や緯度によって異なる自転周期の謎に迫り、さらに、環の起源に迫る手掛
かりとなるデータを探します。
そして、土星大気や環の粒子のサンプルを得たり、土星の環や雲の大接近撮影に
も挑戦します。
そして、燃料切れで制御不能に陥り、衛星に衝突するリスクを回避するため、
9月15日には、土星本体に自ら突入し、長期間にわたった任務を華々しく終える
ことになります。
寂しくなりますが、最後まで任務を全うし続けるカッシーニの雄姿は、末永く、
語り継がれることでしょう。
(メルマガ:星空ウォッチング第743号)より