人は、考える葦である。天は自ら助けるものを助ける。

戦後の混乱から立ち上がり、文化的平和な国に成長した日本が、近頃反対の方向を向き始めた。偉人の言葉を考え直して見たい。

人はかんがえる葦である 第5章   言語能力とDNA

2020-08-04 11:58:05 | 随筆
 世界を席巻して止まない新型コロナウィルスが、政治を翻弄するように人類を脅かしてい。ます。誰がこんなにいつまでも勢いを止めないか予想していたでしょうか。過去歴史を遡ってもこのように混乱続きだったのでしょうか。日本を含むアジアは、比較的欧州アメリカより感染者死者の数は少なく済んでいますが、それでも、今迄と違う不自然な生活を続けなければなりません。日本は特に以前流行したサーズの時に免れたのがかえって今回の不手際につながったようです。流行した国はそれなりにウイルスの発生に対し素早い対応をすることを知っていてその施設や道具なども準備してあったそうです。とんだところに医学後進国だったことがわかりました。でもご存じの医学者はたくさんいらっしゃったと思いますが、多分国家で理解し予算化するまでの危機感はなかったのかもしれません。
 
 ところで知らなかったために慌てふためいた国は、様々な批判を受けるような施策を続けてきました。良かれと思ってやっていると思いますが、国民を大混乱させています。専門委員会を作ったり非常事態宣言を出したり、突発的な首相の通達だったり現場はどんなにか大量の仕事や戸惑いが増えたことでしょう。最も過酷だったのは医療現場です。新しい防護用の道具を準備するとか、隔離施設とか中国からは感染のため亡くなった医師の報道など痛ましいニュースが入りました。

 私は、首相が重々しく非常事態宣言をするのを聞こうと待っていました。沢山の記者を前にして演説のような意気込みで話し始めました。しかしそのうち、話に集中している程ではないと聞くのを止めました。前にも首相の発表を記者団の前でするのを何回か聞いたことがありますが、あまり心を引き付けることや、感動を覚えるような気がしなかったのを覚えています。そして今回は、自分の言葉で話しているのだろうか、誰かが書いたのを読んでいるのだろうかと疑問を持ってしまいました。アメリカでも大統領の演説はライターがいるというのは聞いていましたが、広島を訪れたオバマさんの演説は忘れられない感動が残っています。昨年この欄に投稿しましたが、戦争を憎まず世界が一民族として戦禍を避けるとおっしゃっています。この場合は心の叫びと感じ取られました。でも、国家の危機にあたっての首相の考えは政治の対処や人命の安全を常識的にいうだけでなく、国民全体に理解できる首相の心からの思いを思慮深く推敲した生きた声が欲しかったと思います。美辞麗句を並べそれが実現すればいいのですが、それもあまり感じないとなれば国民の落胆も大きくなります。
 
 皆さんは、医療現場の混乱を既に理解なさっていると思いますが、私は疑問に思って仕方がないことがあります。それは、日本は縦割り社会が強いのか官庁の省によって役割が厳然と分かれているらしいということを、本当に愚かしく思っています。それは、皆さんもご存じ厚生省と文部省です。コロナの検査は手遅れで死んでしまう人がいるほど混乱していますが、それは、厚生省範囲だけでやろうとしているからだそうです。外国からも疑問視されている程なのにいまだに受けられない人がいるそうです。大学や研究所では検査の施設が沢山あるのに省が文部省だから使えないというのです。人の安全と省の縦割りとどっちが大切なのでしょうか。

 この縦割り制度は官僚のDNAなのだと有名な方がおっしゃっています。それが国の危機を救えない大きな問題となっています。海外の方から見たら今どき・・と笑われます。そういえば、戦時中陸軍と海軍がとても仲が悪かったとそれで軍のトップも首相に一人なりましたが、すごい悪い戦争をリードしたのです。科学、文化が進んでもそういうことは根強く残るのでしょうか。若い人もだんだんそれに染まっていくのでしょうか。

 私は仙台空襲の約一か月後終戦を自宅で迎え、成長とともに「日本の人々は島国で育っているから島国根性だ」と思ったものです。融通無碍という言葉があります。私も反省するところはたくさんありますが、心を広く持つことが必要と言い聞かせています。(コロナバッシングも要りません)