風のたより

電子計算機とは一極集中の現象が大であるが、その合間を縫って風の一頁を

消費税の輸出免税

2016-10-03 15:45:09 | 世評
今年の秋の訪れは早いようだ。しかも秋雨前線が長く停滞していて、雨が多い。日照不足で、農作物や果物の生育が悪いと。百姓も稲刈りが出来なくて困っているそうな。日照りで雨不足も水不足も困るが、日照不足も困るな。地方では雨乞い観音や雨引観音などを見かけるが、日照を太陽を求めるものは余り聞いたことが無い。虫干しという事はあるが、古来太陽の恵みよりも、雨の恵みの方が大きいようだ。

 東京都の行政の長が決まったようだ。選挙前は「どんぐりころころ」の童謡の替え歌が、政権党である自民党内で歌われた。

どんぐりころころ ドンブリコ
コイケにはまってさあたいへん
安倍ちゃん出てきて こんにちは
小池と一緒に 遊びましょう

自民党内では分裂選挙になって困っただろうな。自民党がお池小池に嵌って大変だったわ。しかし選挙が終われば、元の鞘に収まってめでたしめでたしだった。

黒澤明が「椿三十郎」を描いた。三船敏郎、扮する浪人が家老夫人から名前を聞かれると、庭に咲いている椿を眺めて、つばき三十郎、いや もうそろそろ四十郎ですがと答えたので、椿三十郎と題名をつけた。伊藤雄之助や仲代達矢、映画の全盛期だった。沢村貞子の夫だった藤原鎌足も出演していた。皆、脂が乗り切った年代であった。

最後に、家老が三船敏郎を家臣に迎えたいと述べたが、立ち去り仲代達矢と一騎打ちをした。家老夫人は「良い刀は鞘に収まっていると、あのお方は鞘に収まらないと」鞘に収まらないほど偉大であると。

まあ、自民党も寛大な組織である。党に逆らって立候補してもお咎めなし、本人も元の鞘に収まっている。官邸にすれば、コイケだろうがマスダだろうが、どちらでも良いのだ。同じ自民党員である。まあ変態と言われた小泉純一郎と同じだな。

豊洲は盛り土でなく、地下空間になっていると。どの組織が決定したか、誰が決めたか、何のためにか特定できないと。不可解であると。一頃、空気が読めない人と言う言葉が流行った。組織とは空気が読める人が上に上っていく。日銀総裁でも黒田東彦が就任した途端に、政策委員会の流れが、がらりと変わった。円をジャブジャブ湯水の如く刷りだして、円の価値を下げた。組織とは構成員の選出の段階で、ある程度の流れは決まってくる。総理ともども円の価値を下げ、円安の流れを作った。円安なら輸出産業は黙っていても利益は上がる。

政府の官邸の諮問委員は小泉純一郎から盛んになった。官邸主導で流れを作ってしまう。下手な鉄砲も数撃ちゃ当る。学識経験者や専門家は数多くいるが、株式会社の社長を選出するのは首を傾げてしまう。株式会社とは利潤の追求団体である。会社の利害を損なう意見を述べる訳が無い。利潤に反する行為をしたら、自らの首が飛ぶ。まあ、諮問委員から都知事までのし上がった人物もいたがな。

消費税が定着した。当初は売上税とかの名称であったが、昭和から平成に変わる頃、昭和の遺物とも言える「消費税」として成立させた。シェイクスピアの「ベニスの商人」だったかな、徴税人はどこの国家でも忌み嫌われる。人民とは民族主義や国家主義者でも税を払う、税を徴収されることを嫌う。どこの国でも似たようなものだな。

古来、税とは国家が、民族が成り立つには不可欠である。江戸の年貢の時代もそうであったが、取りやすいところから取る。そして負担能力であろうな。負担能力から考えれば、所得を基準にして徴収するのが理にかなっているので、所得課税が主流であった。

消費税とは、相互扶助である。西欧は資本主義も浸透したが、経済格差が比較的薄かった。皆で助け合うことが可能であった。従って西欧によって、間接税、消費税が生まれた。アメリカなどは弱肉強食で貧富の差が大きく、相互扶助も薄い国家では、州は別にして、国家としての消費税は無いと。馴染まない土壌なのだな。

我が国でも、人民の反対が大きく、ようやく成立した。当初は3%であったが、定着とともに8%になり、政府は10%を望んでいるが、輸出産業も望んでいるが、景気動向を見てと逃げている。

国税庁のHPがある。消費税について、国税庁HPからの抜粋して、特に輸出免税について異見を述べたい。

「消費税のあらまし」によると、税率は8%であるので
      
生産者 加工業者 卸売業者 小売業者 消費者
        支払総額
取引 売上 20,000 50,000 70,000 100,000 108,000
  消費税 1,600 4,000 5,600 8,000
 
  仕入   20,000 50,000 70,000
  消費税   1,600 4,000 5,600
合計額
消費税 納付税額 1,600 2,400 1,600 2,400 8,000
 消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う取引に課税されます。「事業者」とは、個人事業者(事業を行う個人)と法人をいい、「事業」とは、同種の行為を反復、継続、独立して行うことをいいます。
そして、消費税の納税義務者は、事業者と外国貨物を保税地域から引き取る者となるが、最終的に税を負担するのは消費者となります。最終的には、消費者が税金を負担する。上記の例では8,000円を負担する
一見、判りやすい税金である。事業者には税の負担はなく、損得は無く、図式では消費者が自分たちの社会のために税を全員で負担するのである。国内取引だけで、全体社会のため皆で負担を分かち合う制度である。
 そして、事業者は課税売上から課税仕入を控除して納税する。その間に、土地の売却や貸付け、住宅の貸付けなどの非課税取引は課税売上げに含まれない。また、土地の購入や賃借などの非課税取引、課税対象とならない給与、賃金などは課税仕入れに含まれません。これは課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮から、課税しない非課税取引が定められています。
しかし、内国消費税である消費税は外国で消費されるものには課税しないと言う考えから、輸出取引は消費税が免除されている。(免税である)非課税では無いのだな。非課税で無いので、それに対応する課税仕入れには消費税及び地方消費税の額が含まれていることになります。この課税仕入れの金額には、商品などの棚卸資産の購入代金のほか、その輸出取引を行うのに必要な事務用品の購入や交際費、広告宣伝費などの経費なども含まれます。そのため、輸出の場合には、課税仕入れに含まれる消費税及び地方消費税の額は申告の際に仕入税額の控除をすることができることになっている。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6551.htm
 従って、課税売上に対応する消費税から、課税売上に対応する課税仕入に対応する消費税を控除して納付する。(課税売上割合を控除する)
そして、課税売上割合は、
       となる
なお、この算式による計算に当たっては、次のような点に注意してください。
1.  総売上高とは、国内における資産の譲渡等の対価の額の合計額をいい、課税売上高とは、国内における課税資産の譲渡等の対価の額の合計額をいいます。
2.  総売上高と課税売上高の双方には、輸出取引等の免税売上高及び貸倒れになった売上高を含みます。また、売上げについて返品を受け、又は値引、割戻し等を行った場合は、それらに係る金額を控除します。
3.  総売上高には非課税売上高を含みますが、不課税取引、支払手段の譲渡、特定の金銭債権の譲渡及び国債等の現先取引債券(売現先)等の譲渡に係る売上高は含みません。
 ただし、現先取引債券(買現先)等の取引のうち売戻価額と買収価額との差額に相当する金額は、総売上高に含みます。なお、その差額が差損となる場合には、総売上高から控除します。
4.  総売上高に加える、貸付金、預金、売掛金その他の金銭債権(資産の譲渡等の対価として取得したものを除きます。)及び特定の有価証券等の対価の額は、その譲渡対価の額の5%に相当する金額とされています。
 
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6405.htm

我が国の大企業、上場企業にとっては、利潤の大きな要素は輸出である。売上の半分以上は国外に求めている企業も少なくない。国内で仕入、それを国外に販売する大手企業は多い。因みにトヨタ自動車の平成28年3月期の決算短信では売上28兆円、販売台数860万台の内、日本での販売は200万台、実に75%以上は国外輸出売上である。国税庁や各企業も消費税の還付を公表していないようであるが、単純計算では売上原価21兆4000億万円+販管費2兆9000億万円=24兆3000億円×75%(輸出割合)×8%(消費税率)=1兆4000億円の消費税の還付を受けているのを推量できる。

もちろん、輸出免税であるので、課税仕入に対して8%の消費税を支払っているので、損得は無い勘定になるが、腑に落ちないのだな。輸出が免税で無く、非課税ならば、非課税売上ならば、それに対応する仕入控除は出来ないから還付は発生しない。消費税とは事業者が納付するが、消費者が負担する税である。従って、輸出したものは負担が無い。輸出企業にとっては、消費税の負担が無いので、何パ-セントになろうが関心は無い。税率が上がれば支払った後の還付額が増えるだけである。

この国は、法人税率を下げて国際競争力をつけさせ、円の価値を下げ、輸出産業に利潤をもたらす流れになっている。この流れに水をさせないものかな。グロ-バル経済とかで、市場を国外に求めるようになった。昔は左翼がインタ-ナショナルとかであったが、昨今は逆であるようだ。