前回の記事では暗くなるにつれて、カラスウリの花も開いてくるところの写真をお見せしましたが、これで終わりではありません。続きがあります。
このようにして、すっかり暗い夜になったところで、ある昆虫が現れます。前回でも紹介した、一番最後の風景写真にも小さく写りこんでいます。
写真の上の方、真ん中の左寄りに1匹の昆虫のようなものが飛んでいるのがおわかりになるでしょうか。
その正体はスズメガの仲間です。スズメガの仲間は昼間に活動するものもいるのですが、夜に活動するものも少なくありません。
この夜に活動するスズメガはカラスウリの花の蜜を目当てに飛来し、あっちの花、こっちの花と飛び回って、ハチドリのように空中静止(ホバーリング)をしながら蜜を吸うのです。
カラスウリの花を見ると花びらどうしがくっついて一体となったタイプの花(合併花類)であることがわかります。そして元の部分が筒状になって長く伸びているのがわかりますね?
スズメガの口はチョウの口のように、いつもはクルッと巻いていますが、ストローのようになっています。この長いストローのような口を伸ばしてカラスウリの花の筒のようになった部分の奥の方にある蜜を吸うのです。
夜にしか花を咲かせないカラスウリが受粉して実を成らせることができるのは、夜活動する大型のスズメガがいるからなのです。自然観察会では写真でなく実物に見ることになりますが、それが大事です。綱島公園での夜の自然探検についての中でもお話ししましたが、カラスウリが生育しスズメがが飛んでくる実際の場所で、だんだん暗くなってくる様子や夏の蒸し暑さを体感し、彼らとその環境を共有しながら観察することが大切なのです。