版画草子 All That Print Work

自作版画作品と日常の写真を日記形式で紹介してゆきます。
(画像の無断使用は固くお断りします。)

シルクスクリーン版画「花シリーズ」第5作Ume blossoms

2011-08-12 10:31:59 | 作品 Works


お暑うございます。

昼日中 我が町を車で走っても 人が少なく 活気もなく 暑さにうち拉がれている様な感じです.....
震災不況 そんな状況がこちら関東にも ひたひたと浸透しているんでしょうか.....
我が家も 出来る事なら「赤字国債」ならぬ「赤字家債」なるもの発行したいくらいです.....  誰も引き受けないか.....

How have you been in this awful summer heat?

Driving around our town in the daytime, I see few people and feel lifeless.
It seems people are overwhelmed with the heat.
Is the recession by the earthquake disaster penetrating the Kanto area?
What if I issued deficit covering family bonds like the government does?


と言った所で 今回は「花シリーズ」の5作目「白梅」です。

まず その原画

This is a drawing of Ume blossoms.



3月21日に掲載した原画を元に 改めてシルク作品用に書き直しました。

こちら
I drew this based on Ume blossoms posted on March 2nd for silkscreen prints


この時までは 1本の木に白と赤の梅を咲き分けに描こうと考えていましたが
実際にはすべて白梅に変更しました。
(このあたりから すでに迷いがあった様です)

I intended to depict both red and white blossoms in one tree until then.
But I made them all white.


292×162mm ED 70 10色12回刷り 赤貝箔使用

92x162 ED70 10 colors 12impressions used Red shell leaf
花や蕾にリズム感があって 楽しげな梅になったのですが
しかし今回は 妙に戸惑いがあって ちょっと気になったので
全体の色を変えて 作り直してみました。

こちら

I thought the blossoms and buds were rhythmical and looked fun, but for some reason
I hesitated to finish it off. So, I remade it changing the colors.


同上


同じ版で色を変えて制作することは ままあるのですが
最初の原画の「詰め」が甘いというか イメージが定まっていない結果なのだと思います。

ただ 今回の梅は2点とも 完成度は高く仕上がったので このまま発表するつもりです。
I sometimes make two prints in different colors from the same design.
Perhaps I haven’t enough boiled down to the idea
However, since I’m satisfied with the finishing, I’ll show both of them.




さて 6作目の紹介はお盆開けにすることにしまして このブログも暫く夏休みに入る事にします。
再開は10日後位を予定しています。

皆様も良い夏休みを!

I’ll suspend the blog for time being, perhaps resume it in 10 days or so.

Happy Summer Holidays!


<業務連絡>
函館のおじさん おばさん 先日はありがとうございました。
あってはならぬ程の贅沢をさせていただきました。
私も相方も果報者です。






シルクスクリーン版画「花シリーズ」第4作Kobushi Magnolia

2011-08-08 09:36:34 | 作品 Works


今年は何故か少ないと心配されていた蝉も この暑さで盛り返して盛んに鳴いています。
何かにつけ放射能が頭をよぎる日々はいつまで続くのでしょうかね.....

さて 私のブログでは3月21日より 少しでも心休まる様にと
花のスケッチをシリーズにして 掲載してきました。
その中から今回3点を選んでシルクスクリーン版画にしてみました。
以前掲載した花シリーズ 「虞美人草」「Calla」「百合」つづく第4作になる「こぶし」をご紹介します。

その前に 原画を
We’ve been concerned about fewer cicadas this summer for some reason.
But I’ve come to hear they sing as the summer heat regains.
I wish I got out of the habit of linking things to the effects of radiation.

I’ve posted sketches of 19 flowers hoping for soothing someone since March 21st.
I picked three flowers among them and put out silkscreen printings.



花のスケッチは19作になりますが その中からシルク版画として魅力のある絵になる花を選びました。


シルク版画にした「こぶし」です。
I chose them because they are good for silkscreen method.
This is Kobushi Magnolia


292×162mm ED 70 9色32回刷り 赤貝箔使用
292x162mm Ed70 9colores 32 impressions Red shell silver leaf.
色数は少ないのですが 花の柔らかさ・生命感を出したくて
花びら1枚1枚を刷り重ねる方法をとったので 刷り工程が多くなりました。

また 堅い蕾から開花までを1枚の画面に描いて 
時間の推移 あるいは 自然の力強さが出せればとの想いで制作しました。
 
いかがでしょうか。


I didn’t use many colors, but to provide softness of this flower and a feeling of vitality,
I printed petal by petal.
So it took many a time to accomplish.

I wanted to express a stream of time and nature by depicting them from an early bud to bloom
in one picture.
How do you find it?



次回は「白梅」です。





2011 札幌大通りビアガーデン

2011-08-03 09:47:31 | 作品 Works


今回はNORIKO先生から送ってもらった札幌夏景色 毎年恒例となった大通り公園のビアガーデン特集です。

では 早速


photo by NORIKO

凄い人出ですね。
このビアガーデンに NORIKO先生と相方が連れ立って行ったそうです。 羨ましい!


(野外ビアガーデンもサッポロ、キリン、サントリーと三社あり、それぞれ趣が違っていました。 先生談)



キリンビールコーナーのおつまみメニュウ

(サントリービールコーナーのメニュウでは 道外メインの会社のせいか、
 おつまみの「ザンギ」が「唐揚げ」になっていました! 先生余談)

鳥の唐揚げを「ザンギ」って云うのは 北海道だけなんですよね。
どこから来たのかは 諸説あって判らない様です。
ザンギにこだわるのは 道産子の証拠です。




これが上のキリンビールのメニュウに出ている「びっくり タワーピッチャー」で4Lと6L入りがあるそうです。
いいですね! 憎い演出です。




装置的にはキリンの勝ちですな。



「ビール大好き」の相方はさぞ満足したことと思います。
でも 歩行練習・筋肉強化のリハビリ中なんですけどね......
その相方は明日帰ってきます。

先生お世話になりました。



で <今日の花> は 名前の判らない 小さな小さな野花です。



1cmにも満たない花なのですが 風に揺られて 何だか楽しそうに咲いているのに 心惹かれました。







「なでしこ」と「ユリノーム」 いとめでたし

2011-07-29 12:12:26 | 作品 Works

蒸し暑くはありますが 意外と気温が低いので過ごし易いこの頃です。

一人生活も何とか40日以上過ぎました。
一人で何もかもこなすと云っても 今は洗濯機・電子レンジ・オーブン・食器洗い器等々
他にも生活に便利な器機が多いのでさほどの苦ではありません。
(すべて電気が必要ですが......)

かえって気ままに毎夕食は 自分の好きな「酒の肴」ばかり揃えて楽しんでいました。 

しかし 思わぬ落とし穴がありました....
十七・八年振りに「痛風」が蠢き(うごめき)出したのです!

「痛風持ち」は常にオシッコを沢山出すように注意しなければならないのですが
夏場で汗をかくとどうしても尿回数も量も少なくなります。
そうすると 当然血液中の尿酸濃度が濃くなります。
おまけに プリン体の多そうな酒の肴とビールばかり毎日摂っていると.....

この十数年以上痛風の「気」も無かったので 油断があったのかもしれません。

右足親指の根元にいつもとは違う違和感ー痛み・疼きが2~3日続いた時 はっと気がつきました!

「痛風かっ!!!」

最近はたまにしか飲んでいなかった ユリノーム(尿酸排泄薬)を
慌てて 6時間おきに飲み続け 今回はどうにか発作には至らずに済んでいます。

やれやれ....

(でもまだ少し疼いています)



と言った所で <今日の花>は 今話題の「なでしこ」



撫子の花って 知らなかったのですが スーパーの花売り場で見つけて やっと判りました。
石竹かカーネーションに近い花のようです。

「草の花は、なでしこ 唐のはさらなり、大和のも いとめでたし」 枕草子

調べてみると 絵に描いた花は唐撫子で 大和撫子ではなさそうです。






「ただちに」でなければ「あとあと」か....

2011-07-24 10:31:36 | 作品 Works


今回はのっけから<今日の花>です。

「凌霄花」ちょっと読めませんね。
ノウゼンカズラです。 
のうぜんかづらで 一発変換すると「能前科面」と出ます。笑えます....



お隣の市議さんの家に咲いていました。
蔓性の花で次々に咲き続ける 賑やかな花です。

香りがするかと いくつか嗅いでみましたが あまりしません。
その時 フッと思いました 「こういう行為は今はヤバイかもしれない....」 と。
そう 放射能....

「ただちに健康に悪影響を及ぼす事はありませんが 子供や妊婦はできるだけ注意が必要です」
最近こんな中途半端で腹立たしいフレーズをしょっちゅう耳にします。

「ただちに」でなければ その様な事を何度か積み重ねると 後で酷い結果にでもなるのでしょうかね....

気鬱になるニュースばかりで あまり元気がでません。

何とか 心休まる花の絵を描き続けます。






版画家のお友達 歯科医師編(76) Special Column(76)その2

2011-07-18 10:20:19 | 作品 Works

なでしこジャパンが優勝しましたね。
震災後 最も素敵なニュースです。
スポーツって 素晴らしいなぁ! と改めて感じました。


さて NORIKO先生のコラムの続きです。


トラブルはほかにもある。
実際、入れ歯を使用してから、何らかのトラブルを経験したという人は各世代5人に1人おり、
「欠損歯が増えた」と答えた人も各世代1割強いる。
また、「入れ歯洗浄剤を使わず、入れ歯洗浄も1日1回未満」と答えた人における、
「欠損歯の数が増えた」との回答(13.9%)は、全体平均(12.2%)に比べて多い結果となっている。


photo by NORIKO
「ラベンダーといえば富良野ですが、日帰りはきついので、近場で札幌南区の東海大学の構内です  先生談』

DENTISTからのアドバイス
  ・入れ歯の材質に合った専用の歯ブラシを使用して下さい。
  ・洗浄剤は入れ歯に付着した細菌の除菌効果がありますので必ず使って下さい。
  ・入れ歯に細菌が繁殖すると、汚れや匂いだけでなく、
   高齢者の場合細菌が気管に入って生命の危険にさらされる事も少なくありません。




最後に先生の原稿後感です。

4人に一人が入れ歯はとても多いと思いましたが、自分の両親兄弟で考えてみると、6人に3人でした。
他の臓器でこれほどの割合で失っているものはないと思われます。
しかも年々増加しているとなると・・
癌や心臓病などと違って、自助努力で歯を抜かずに済むのに。
歯は「失って初めてわかるなが~い友達」なのです。
育毛剤の話ではなく、歯ははえてから、平均寿命まで、約85年の長い付き合いです。
あって当たり前、無くなって初めてその存在が認められるようです。大切にして下さい。



前回「生きた入れ歯」のお話しをしましたが
その後すぐ先生からメールが来ました。

「あくまで私的意見ですが
「実験的に歯を作り移植成功」ですが、学問としては素晴らしいと思いますが、
もともと立派な歯があったのですから、それを維持する方がずっと自然でエコだと思います。
歯と言えども、他の臓器移植同様拒否反応もあり得ますし、
その後のメンテ次第ではダメになってしまう事もあり得ますから。
それと、あまりこの様な技術が進み、「この治療をすればいいんだ」と思う人が多くなると、
残す意識がなくなり、ますます本来持って生まれた歯が無くなってしまうんじゃないだろうか?
それでいいのかな~? ・・難しい問題ですね。」


今回はいろいろ入れ歯について考えるチャンスになりました。
部分入れ歯から二十数年ベテラン入れ歯使用者の私としては.... やっぱり生きた入れ歯が魅力です....
インプラントより自然そうだし なにより痛く無さそうだし.....
生きているうちに 生きている入れ歯は間にあうか.....

と云う訳で NORIKO先生ありがとうございました。
またよろしくおねがいいたします。









Single Life

2011-07-03 16:47:29 | 作品 Works

一人生活も早20日ほど過ぎました。
仕事と家事の両方をこなすのもだいぶ慣れてきましたが やはりきついものがあります。
今日も6時半に起きて氷川さんの清掃作業に参加 
その前に猫達の食事の用意をして(外猫君とうちのゴミ) 猫のオシッコの砂(ゴミ用)を取り替えて
生乾きの洗濯物を外に干して 自分の味噌汁を作って 
夜の酒のつまみ(玉子モツと牛肉のニンニク味噌に込み)の下準備をしてから家を出ました。

よくやっています。

でもさすがに 一人で作って 一人で食べるのには 飽きてきましたね。
断食ダイエットのお陰で 朝と昼は味噌汁・スープだけなので 夕食分だけ作ればいいのですが 結構億劫になります。

昨夜のメニュウー


目玉焼き付き焼きそばと赤魚の粕味噌漬けを焼いたもの レタスサラダ これだけ....

ちょっとUP


B級グルメで話題の横手風というか富士吉田風の中太麺 
もちろんインスタントではありませんよ 手作りです。

それにしても 脈絡のない取り合わせですが 
手間をかけずに 食べたいものだけを揃えるとこうなってしまいます。
(普段 相方が居る時も同じですが.....)
それらをビールで流し込んで 後は明太子とかアンチョビなどのアテでワインか日本酒・焼酎をいただきます。

この辺りは外食といっても 車で7・8分かかりますし 一人ですとビールが飲めないのでまず出かけません。

こんなに長いチョンガー生活は結婚以来初めてですから 37~8年振りでしょうか。
気楽と云えば気楽ですが 後ひと月続く想うとちょっと.....



というところで <今日の花> 氷川神社の近くに咲いていた「額紫陽花」


正しくは「萼紫陽花」と云うそうです。
普通の紫陽花より涼しげでこちらの方が 私は好きです。








plant Earth 太郎の時代(3)

2011-06-28 10:21:13 | 作品 Works

相方の手術は無事済みまして 今日退院です。
これから1ヶ月間札幌でリハビリの予定です。

で 今回は「太郎の時代(3)」のお話です。


「Planet Earth 太郎の時代(3)」 410×500mm ED 70 19色38回刷り

太郎が開けてはいけないと言われていた玉手箱を開けた瞬間です。

乙姫は何故 開けてはいけないと言ったか。
「お伽草子」によりますと 竜宮と太郎達の現実世界は時間の流れが違っているので
竜宮で過ごした「時間」を玉手箱に封じ込めて 
開けない限りその玉手箱を持っていれば再び竜宮へ戻れるという 乙姫の心遣いだったそうです。
しかし太郎は開けたんですね。
開けた途端 閉じ込めてあった時間ー乙姫と過ごした竜宮時間300年間ーが 一気に吹き出てきて
太郎は爺さんになってしまいます。

このお話 まるで現代のSF小説や映画にある 惑星間旅行のようです。
当時の人の中には 異次元の空間-別世界ーと時間の関係をあれこれ想像して楽しんでいたのかもしれません。
いやはや その発想と感性には驚くばかりです。

やはりここでも旧作を


浦島太郎その3-回帰ー 2009年制作

これまでシリーズとして2作6点 単独で1点作ったのですが 
次作は一つの画面にすべてのシーンを盛り込んだ作品にしてみたいと考えています。
想像力のとんでもない飛躍が許される世界 浦島太郎 は魅力的なお話です。
まだまだ続きます。


<今日の花>
父の日に娘一家から送って貰った「マダガスカルジャスミン」と云う花です。



ジャスミンと云うくらいですから とってもいい香りのする花です。
ただ てんでんばらばらに向いて咲く姿がおかしい花です。

 

Plant Earth 太郎の時代(2)

2011-06-24 10:13:53 | 作品 Works

この2・3日 埼玉では34℃という暑さが続いています。
しかし地面も家屋もまだ熱くなっていないので 何とか扇風機だけで過ごせています。
クーラーはまだ使っていません エヘンッ!
我が家の周りは大木が多いので 風を呼び込んで幾分気温も低めの様です。
そして やはり ビールが美味しいですな! (冬も美味しいですが....)

と言った所で 今回は「Plant Earth 太郎の時代(2)」です。


410×500mm ED 70 19色28回刷り

今開かれている全道展に出品している作品です。

太郎が時の経つのを忘れて 乙姫と楽しく戯れているこの物語のメインシーンです。
多分 当時の人は持てる想像力すべてを働かせながら 多くのひとが羨ましく想うように 
あるいはひと時 現世の辛苦を忘れるために 物語を紡ぎ出したに違いありません。
理にかなっていなくとも いや荒唐無稽であればある程 良かったんででしょうね。



比較のため旧作もまた出してみました。

いくら不思議でおかしな話しであっても 圧倒的な自然を背景にした暮らしの中では 
充分「あり得る」物語として当時の人達は受け入れられたのでしょう
浜辺でぼんやり海を見つめていたり 満天の星空を眺めている内に それこそ自然に物語ができて行った
その自然と感受性 現実との飛躍的な落差 が私には魅力的です。

知られ過ぎているお話を 今に於いて どの様に描き切るか 私の挑戦です。

次回「太郎の時代(3)」では 玉手箱の秘密を


<今日の花> やはり今時期外せない花 紫陽花です。



手入れ等一切していない 雑草だらけの我が家の庭で健気に咲いています。












Plant Earth 太郎の時代(1)

2011-06-15 15:42:09 | 作品 Works


昨日から相方が部品交換とメンテナンスのため 1ヶ月半ほど札幌の実家に帰ってしまいました。
その間私は 猫の世話・洗濯・掃除・食料買い出し・おさんドン・酒の肴もしっかり作って
工房の仕事・版画制作・笛の絵付け 氷川神社の役員・町内の役員・ゴミ当番をこなすという
今から自分を誉めてやりたい程の活躍をしなければなりません! (出来るかな......)

そんな訳でこのブログも今まで以上に不定期になるものと思いますが
よろしくお願いいたします。

さて 本題 (長文です 面倒な方は絵だけ見てください)

浦島太郎と云えば 皆さんすぐ思い浮かべる筋として
「浜辺で餓鬼どもにいじめられていた亀を助けて その亀にお礼として竜宮に連れてゆかれる。
そこで麗しい乙姫と出会って 楽しい毎日を過ごすが 里心がおきて 乙姫から玉手箱を貰って
元の村に帰ってみると すっかり変わり果てた村と人に衝撃を受け つい淋しくなって
玉手箱を開けると 煙が出てきて たちまちお爺さんになってしまう」
ざっとこんな具合でしょうか。

荒唐無稽ではあるけれど 面白いとも言いきれず....
成功談としての痛快さも無い....
教訓話しとしても いまいち決まっていない....
にもかかわらず ほとんどの日本人は知っている.....
不思議なお伽噺です。

この様な我々に馴染みのある筋は ほぼ明治以降に作られたようです。



浦島太郎その1ー邁進ー 2009年制作

さりげなく旧作を出しましたが 
太郎が亀と勇んで竜宮へ向かうシーンを作画してみたものです。
海上と海中を渾然と混ぜ合わせ 太郎が突き進み 乙姫が飛んでいるという
絵の中でしか実現出来ない 正に荒唐無稽な夢世界です。

南北朝から江戸時代初期に完成した「お伽草子」では 前出した筋とちょっと違って
「海で漁をしていた太郎が亀を釣り上げ 亀では腹の足しにはならないので 恩着せがましく逃がしてやると
後日小舟で漂流している女人と出会い その女に頼まれて彼女の故郷へ連れて行ってやる云々....」
そこは竜宮ではなく「常世の国」と呼ばれる美しい郷となっています。

他にも 時代によっていろいろ変化させた話しが多い様ですし
(江戸期には非常に艶っぽく脚色したものがあります)
「日本書紀」「万葉集」にも浦島太郎的な話しが出ているそうです(実際に調べていません)

しかし私はやはり明治以降に作られた 馴染みのある話しをベースに絵を展開しました。


Plant Earth 太郎の時代(1) 2011年制作

前回に続いて しつこくまた出してしまいましたが これも上作と制作意図はあまり変わりません。 
太郎の時代が 話しが 成り立っていた「自然の豊かさ」をより強調したくて制作したものです。

この太郎をテーマにすると 何度描いても どうゆう訳か わくわくして実に楽しいんですね。
話しの筋がきっちりしていない ゆるさが 
いかようにも絵として構成出来る可能性を秘めている様に思います。

でも 何故太郎にこだわるのか という回答には 今回も たいしてならなかったようです それは次回で......



最後にNORIKO先生から届いたばかりの 旬の画像


白石区ゴミ埋め立て処分場跡地地盤を安定させるまでの活用として菜の花の栽培を始め
それが満開となり、一日限り5時間のみ一般開放されました。  先生談


ナタネはバイオディーゼル燃料製造に使われるそうです。
菜の花は香りがするんですね。始めて知りました。





<今日の花>は お休みしました。 次回また



 








アンパンマンと太郎の時代(1)

2011-06-11 15:40:12 | 作品 Works


突然ですが 
今 1歳から3歳くらいまでの子に一番人気のあるキャラクターは何かご存知でしょうか?

「アンパンマン」です。

いやその人気たるや 凄いものです。
我が家の孫(1歳半)が泣いていた時 アンパンマンの曲をかけると ぴたっと泣き止んで笑顔になりました!

震災後の避難所でたまたまアンパンマンの曲がかかった時 
小さな子供達が一斉に踊り出したというニュースも伝えられました。

事程左様に 子供達はアンパンマンに夢中です。

やなせたかしさん原作のこの「アンパンマン」 基本の筋は
「お腹がすいて困っている人に あんパンで出来ている自分の顔をちぎって与えてあげる」という
とんでもなく荒唐無稽なお話なのですが 何故にそこまで人気になるのか.....

取りあえず感じたのは 作者も子供達も非常に発想力が自由なんだ と云う事でしょうか....
何のこだわりもタブーも無く 物語世界に遊ぶ事ができる 
幼い子供時代にのみ維持できる 柔らかい感性が成せる技なのかも知れません。

何やらトンでもない方向からお話を初めてしまいましたが
決してこじつけではなく 今回のキーワードは上記の「荒唐無稽」と「柔らかい感性」です。
 
私が「お伽草子」をテーマにしたのも その荒唐無稽な物語の魅力と
当時の時代の読み手の柔らかい感性を羨ましく思ったからです。

もう一つ
「非現実」と「現実」を結びつける力
「嘘話し」を 「あり得るかもしれない」と思わせる力
幼い子供が無意識に感じる 最も近い世界
それは「自然」ではなかろうか と想っています。

いやはや 前振りが長くなってしまいました  語り過ぎ.... ですね。

では 「浦島太郎シリーズ」5作目


「Planet Earth 太郎の時代(1)」410×500mm ED 70 21色30回刷り

次回 もう少し詳しくこの作品の思い入れを また語り過ぎたいと 思います。


そして<今日の花>  金蓮花



これも城山公園に咲いていました。
葉が蓮の葉に似ているのでこの様な名が付いたそうです。

  


66回全道展

2011-06-07 11:03:20 | 作品 Works


白ライラック    photo by NORIKO

やはり白いライラックは別にあったんですね。

前回掲載の写真を撮っていた時 NORIKO先生もライラックではないと思ったそうですが 
近くにいた見知らぬ叔父さんが「ライラックだ」と言っていたそうです。
こういう事 よくありそうな話しですが 困ったおじさんです。
おじさん達! 気をつけましょう。

といったところで ちょっと早いですが 6月15日から札幌市民ギャラリーで開かれる
第66回全道展のお知らせです。


札幌方面の方 是非お立ち寄り下さい。

今回私は「Planet-Earth 太郎の時代(2)」という作品を出品しました。
浦島太郎3部作の他に また太郎物として3部シリーズを制作した内の1点です。

今まで合計7点もの「浦島太郎の世界」を制作してきましたが
今どき 何故に このテーマに惹かれるのか とか 
その新作品の紹介のお話は 次回から連載したいと思います。


で <今日の花> は 実は名前が判らない花です。



これもやはり城山公園の花壇に咲いていたのですが
表示もなくて 何と言う花か私には判別つきませんでした。
「石竹」のような.... よく見る花なんですけどね。
どなたかお判りの方 お知らせ下さい。 







チャリティー展案内

2011-05-17 11:18:31 | 作品 Works

私が所属する日本版画協会が震災支援のチャリティー展を開催いたします。



版画家として出来る事はやはりチャリティー目的の販売会を開く事がまず手っ取り早い方法かと思います。
我々が出来る事は限られていますし 微力ではありますが 少しでもお役に立ちたいと願っています。

私は「花シリーズ」の「Calla」「虞美人草」「百合」を市販価格の半額で出品いたしました。

開催は金土の2日間ですが 多くの方に来ていただければ幸いです。


震災後「いくらかでも 心休まる絵を」と言う事で始めた原画花シリーズも
私の単なる気休め あるいは自己満足に過ぎないかもしれませんが
被災地の復興を心から願う真情と受け止めていただければ嬉しいのですが....


そこで今回も<今日の花> 



「ツツジ」です。洋名「アザリア」
「躑躅」とも書きますが 難しい漢字としてもよく取り上げられますね。
この辺りではもう盛りは過ぎた様ですが 
強い花木なので被災地でもきっとこれから咲き始めるのではないでしょうか。







菜の花や

2011-05-06 09:54:58 | 作品 Works



近頃埼玉あたりでは余震もだいぶ少なくなってきました。
でも あればあったで不安ですし 無くても何となく不気味で嫌なものです。

と言った所で この連休いかがお過ごしでしたでしょうか。
私は こどもの日のご招待で息子のところへ行った以外は引き籠り状態でした.....

最近はこのブログも不安な話題が続きましたので 
今回は私得意の 閑話本題(こんな四文字熟語はありませんが)でのんびりいきたいと思います。





この画像は家から歩いて1分程にある城山公園の向かいにある荒れ地です。
人の手がまったく入らない自然がかなりの広さで残っています。
この時期は 菜の花が咲き乱れて なかなかいい風情です。
菜の花と云えば

 菜の花や 月は東に日は西に      与謝蕪村

実に絵画的・日本画的な句です。
季節は丁度今頃なので上記の荒れ地の中で
この句と同じ状況を見てみたいと思うのですが 
片方に曇が架かっていたり 雨だったりで 今年も実現出来ませんでした。


また この状況とまったく逆の情景もあります。

 ひむがしの 野にかぎろひの立つみえて かえりみすれば月かたぶきぬ    柿本人麻呂

(かぎろいは朝焼け)

この場所はどこなのか 季節もいつなのかは 私には判りませんが 
何となく うら侘しさが漂う風景のようです。
俳句と和歌で日と月の位置が逆になっているところが面白いです。

で 突然ですがクイズ  上記の月二つはどんな形でしょうか。
理科の得意な方はすぐ判りますね。

そこで<今日の花>も 菜の花



菜の花は別名「アブラナ」
絵の状態まで育ってしまうと食べられませんが 花芽の出たては美味しいです。
私は塩漬けが好きなのですが 相方はお浸し どちらもちょっと「苦み」が大人の味になっていますね。
(私は、菜の花畑を見ると、”うまそー”と思ってしまいます・・・・相方)

お知らせ

2011-04-29 11:12:07 | 作品 Works


いつも読んでいただいてありがとうございます。

ついこの間から gooのブログ編集の具合が良くありません。
画像が載せられなくなって 更新が出来なくなってしまいました。
(文字だけなら大丈夫なのですが.....)

そこで GWでもありますし 休み明けまでこのブログもお休みします。
そのころまでに 直っていればいいのですが....

では 皆様 良いお休みを