インド、マハラシュトラ州、プネー市。
ボンベイから南東200km。人口254万人。
デカン高原に位置する、古くから学問の栄えた町。
近年、IT企業やコールセンターが新しいビルを建設し、
町はさらに発展を続けている。
タクシーの運転手さんの話では気候もよく、デモや紛争のないこと、
また、英語を話す人が多いことが人気の理由らしい。
そんなプネー市の旧市街の大きな商店街”ラクシュミロード”の近くに
アーユルヴェーダ医師ヴァサント=ラッド先生のクリニックがある。
プネー市は、実はアーユルヴェーダの伝統のある町でもある。
アーユルヴェーダ大学だけでなく、今でも錬金術師や伝統を受け継ぐ
人たちがいる。
そんな伝統を師から受け継いでいるラッド先生は、プネーでも有名で
テレビや新聞の取材も多い。
町で”何をしてるの?”と地元の人にきかれて”アーユルヴェーダをラッド先生から
学ぶためにきた”というとたいてい納得してもらえる。
夜8時になっても人通りが絶えない、にぎやかなラクシュミロードを一本はいった
道路沿いの建物の2階にラッド先生の息子の名前と同じ”プラナウ クリニック”がある。
ここでは、毎年、アメリカでの講義を終えた8月から12月までラッド先生が
地元の人たちを診察している。
毎日夕方6時からの診察時間を前に、5時半の受付時には順番を少しでもはやくしようと
サリー姿の女性が並び始める。
待合室の奥が診察室。待合室には履物をぬいで清潔感のあるタイルばりの床に白いプラスチックの椅子があり
患者がゆったりと腰をかけてまつ。
患者はまず、ひとりで訪れることはない。
たいていは、つきそいの家族が一緒だ。
つきそいも一人ではなく家族全員がそろってくることも珍しくない。
しかも、それぞれがついでに(?)診察を受けて帰るので、
2~5人ほどの患者が一度に診察室に入る。
待ち合い室には常に患者が8人ほどいて、診察時間がすぎても
人が絶えない。
ラッド先生に欧米で学んだ卒業生が患者の診察に立ち会う。
初日のクラスメートは先月から行われていたプネーでの臨床研修”グルクラプログラム”を
終えたばかりの学生が、先生のもとを離れがたいのか、二人。
ドイツで現代医学にアーユルヴェーダ治療をとりいれている女医さんが二人。
アメリカのアーユルヴェーディックインスティチュートを卒業した男性が一人。
ドイツの女医さんはそれぞれ、自身のクリニックでアーユルヴェーダの薬も取り入れたり
パンチャカルマを行ったりしているらしい。
また、そのうちの一人はDR.Karin Grammingerといって、毎年夏にラッド先生のアーユルヴェーダセミナーを
仲間内の医師、医療従事者を中心に行っているそうだ。
(www.euroved.com)
ほとんど初対面であるが、私が診察室に入るとまるで昔からの知り合いのように横の椅子をすすめてくれた。
私は今回こんなにもクラスメートがいるとは思わなかったが、とても居心地のよい空気にほっとした。
受付嬢に順番を呼ばれた患者さんがナマステをしながら笑顔で診察室に入ってくる。
ラッド先生の机の横と前の椅子に患者さんとつきそいの人がそれぞれ座る。
まず、何に困ってやってきたのか、患者さんが身振り手振りで話す。
英語のできる人をのぞいては、マラティー語なのでさっぱりわからない。
たまに知った単語がでてきたり、英語が混じると想像を働かせる。
ラッド先生が英語で何の患者さんか話してくれる。
まず、患者さんを診察台に座ってもらい、両手で脈をきく。
そして舌をべろっと出してもらい、何が観察されるかみる。
たとえば、舌が紫色になっていると胆のうの機能が低下しているとか。
白くこけで覆われていると未消化物(アーマ)があるとか。
それから仰向けになってもらい、触診をする。
肝臓が腫れていたり異常があると生徒が順番で感覚を確かめる。
そして、主なマルマポイントを刺激して、背骨の曲がった患者さんには整骨を施したりする。
ストレスをためこんだ患者さんにはサボテンの成分の入った目薬をさし(ネトラビンドゥ)、すーっとする
オイルを鼻にいれる(ナスヤ)。
ちょっとしたマルママッサージもぱぱっと手際よく、しかしていねいに、行われる。
約5分ほどの短い時間にもかかわらず、診察台から起き上がった患者さんの顔は晴れ晴れとしている。
目薬のせいだけではない輝きが感じられる。
そして、椅子に戻って薬が処方される。
例えば、C型肝炎の男性
2年間にわたって罹患。
輸血は受けたことはなし。
食欲はある。
消化も問題ない。
うまれたときの体質(プラクルティ)はヴァータ:ピッタ:カパが2:3:2であるのに対し、現在の体質(ヴィクルティ)が2:4:2と
ピッタが乱れている。
エネルギーが落ちており、胆のうの機能に低下がみられる。
舌が紫色になっていて、未消化物(アーマ)がある。
肝臓の脈も弱い。
処方
1)アロッギャワルディニ 250mg
スーツシェカ サダ 200mg
シャンカプシュピ 300mg
を各1錠、毎食後、1日三回、ぬるま湯で服用のこと。
2)クマリ アーサワ 小さじ4杯を同量の水で薄めて食後服用。
3)ブーミーアマラキ 小さじ1杯を就寝1時間前に服用。
あぶらこい食事を控え、この処方を3~5ヶ月間継続のこと。
また、食間には新鮮なヨーグルトにベーキングソーダを混ぜたものがウイルス性肝炎にすすめられる。
ヨガでは、ブリッジのポーズや船のポーズ、ロータスなどがピッタのバランスによい。
診察時間は一人あたり約20分。
先生はいつも薬が病を治すのではないとおっしゃる。
アメリカで肝硬変が進行し、肝移植をすすめられた男性が、先生の治療により移植が不要になり、西洋医学の
医師も驚いたというような例をもつ。
なかには、生まれた日の占星術表を持ってくる人も少なくない。
先生はあくまでも医者であり、占星術の学問ははかりしれないほど深いので占星術師では
ないとおっしゃる。
しかし、病気になる影響も占星術から読み取られることも多く、家族関係を始め、いろいろな悩みを
もった患者が占星術表を手に相談に訪れる。
それらについてはまた、次の機会に。。
ボンベイから南東200km。人口254万人。
デカン高原に位置する、古くから学問の栄えた町。
近年、IT企業やコールセンターが新しいビルを建設し、
町はさらに発展を続けている。
タクシーの運転手さんの話では気候もよく、デモや紛争のないこと、
また、英語を話す人が多いことが人気の理由らしい。
そんなプネー市の旧市街の大きな商店街”ラクシュミロード”の近くに
アーユルヴェーダ医師ヴァサント=ラッド先生のクリニックがある。
プネー市は、実はアーユルヴェーダの伝統のある町でもある。
アーユルヴェーダ大学だけでなく、今でも錬金術師や伝統を受け継ぐ
人たちがいる。
そんな伝統を師から受け継いでいるラッド先生は、プネーでも有名で
テレビや新聞の取材も多い。
町で”何をしてるの?”と地元の人にきかれて”アーユルヴェーダをラッド先生から
学ぶためにきた”というとたいてい納得してもらえる。
夜8時になっても人通りが絶えない、にぎやかなラクシュミロードを一本はいった
道路沿いの建物の2階にラッド先生の息子の名前と同じ”プラナウ クリニック”がある。
ここでは、毎年、アメリカでの講義を終えた8月から12月までラッド先生が
地元の人たちを診察している。
毎日夕方6時からの診察時間を前に、5時半の受付時には順番を少しでもはやくしようと
サリー姿の女性が並び始める。
待合室の奥が診察室。待合室には履物をぬいで清潔感のあるタイルばりの床に白いプラスチックの椅子があり
患者がゆったりと腰をかけてまつ。
患者はまず、ひとりで訪れることはない。
たいていは、つきそいの家族が一緒だ。
つきそいも一人ではなく家族全員がそろってくることも珍しくない。
しかも、それぞれがついでに(?)診察を受けて帰るので、
2~5人ほどの患者が一度に診察室に入る。
待ち合い室には常に患者が8人ほどいて、診察時間がすぎても
人が絶えない。
ラッド先生に欧米で学んだ卒業生が患者の診察に立ち会う。
初日のクラスメートは先月から行われていたプネーでの臨床研修”グルクラプログラム”を
終えたばかりの学生が、先生のもとを離れがたいのか、二人。
ドイツで現代医学にアーユルヴェーダ治療をとりいれている女医さんが二人。
アメリカのアーユルヴェーディックインスティチュートを卒業した男性が一人。
ドイツの女医さんはそれぞれ、自身のクリニックでアーユルヴェーダの薬も取り入れたり
パンチャカルマを行ったりしているらしい。
また、そのうちの一人はDR.Karin Grammingerといって、毎年夏にラッド先生のアーユルヴェーダセミナーを
仲間内の医師、医療従事者を中心に行っているそうだ。
(www.euroved.com)
ほとんど初対面であるが、私が診察室に入るとまるで昔からの知り合いのように横の椅子をすすめてくれた。
私は今回こんなにもクラスメートがいるとは思わなかったが、とても居心地のよい空気にほっとした。
受付嬢に順番を呼ばれた患者さんがナマステをしながら笑顔で診察室に入ってくる。
ラッド先生の机の横と前の椅子に患者さんとつきそいの人がそれぞれ座る。
まず、何に困ってやってきたのか、患者さんが身振り手振りで話す。
英語のできる人をのぞいては、マラティー語なのでさっぱりわからない。
たまに知った単語がでてきたり、英語が混じると想像を働かせる。
ラッド先生が英語で何の患者さんか話してくれる。
まず、患者さんを診察台に座ってもらい、両手で脈をきく。
そして舌をべろっと出してもらい、何が観察されるかみる。
たとえば、舌が紫色になっていると胆のうの機能が低下しているとか。
白くこけで覆われていると未消化物(アーマ)があるとか。
それから仰向けになってもらい、触診をする。
肝臓が腫れていたり異常があると生徒が順番で感覚を確かめる。
そして、主なマルマポイントを刺激して、背骨の曲がった患者さんには整骨を施したりする。
ストレスをためこんだ患者さんにはサボテンの成分の入った目薬をさし(ネトラビンドゥ)、すーっとする
オイルを鼻にいれる(ナスヤ)。
ちょっとしたマルママッサージもぱぱっと手際よく、しかしていねいに、行われる。
約5分ほどの短い時間にもかかわらず、診察台から起き上がった患者さんの顔は晴れ晴れとしている。
目薬のせいだけではない輝きが感じられる。
そして、椅子に戻って薬が処方される。
例えば、C型肝炎の男性
2年間にわたって罹患。
輸血は受けたことはなし。
食欲はある。
消化も問題ない。
うまれたときの体質(プラクルティ)はヴァータ:ピッタ:カパが2:3:2であるのに対し、現在の体質(ヴィクルティ)が2:4:2と
ピッタが乱れている。
エネルギーが落ちており、胆のうの機能に低下がみられる。
舌が紫色になっていて、未消化物(アーマ)がある。
肝臓の脈も弱い。
処方
1)アロッギャワルディニ 250mg
スーツシェカ サダ 200mg
シャンカプシュピ 300mg
を各1錠、毎食後、1日三回、ぬるま湯で服用のこと。
2)クマリ アーサワ 小さじ4杯を同量の水で薄めて食後服用。
3)ブーミーアマラキ 小さじ1杯を就寝1時間前に服用。
あぶらこい食事を控え、この処方を3~5ヶ月間継続のこと。
また、食間には新鮮なヨーグルトにベーキングソーダを混ぜたものがウイルス性肝炎にすすめられる。
ヨガでは、ブリッジのポーズや船のポーズ、ロータスなどがピッタのバランスによい。
診察時間は一人あたり約20分。
先生はいつも薬が病を治すのではないとおっしゃる。
アメリカで肝硬変が進行し、肝移植をすすめられた男性が、先生の治療により移植が不要になり、西洋医学の
医師も驚いたというような例をもつ。
なかには、生まれた日の占星術表を持ってくる人も少なくない。
先生はあくまでも医者であり、占星術の学問ははかりしれないほど深いので占星術師では
ないとおっしゃる。
しかし、病気になる影響も占星術から読み取られることも多く、家族関係を始め、いろいろな悩みを
もった患者が占星術表を手に相談に訪れる。
それらについてはまた、次の機会に。。