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終戦



黒船来航(1853年)以来、日本は戦争に次ぐ戦争を経験しました。
幕末の内乱、戊辰戦争、西南の役、そこまでは内乱
それから日清戦争、日露戦争、日中戦争、太平洋戦争。
無差別空爆、沖縄戦、原子爆弾投下。
そして1945年8月15日、日本は無条件降伏。

黒船来航から無条件降伏まで92年。
富国強兵、殖産興業・・・近代化・欧化に努めた92年の結論が
原子爆弾と無条件降伏でした。

あの敗戦から75年の月日が流れました。
戦争放棄をうたう平和憲法が成立し
少なくとも日本が積極的に侵略したり
日本が戦場になる戦争は起きませんでした。

けれど隣国で起きた朝鮮戦争、そしてベトナム戦争では
日本はどっぷりアメリカを支持し
その戦争が日本の高度経済成長の引き金にもなりました。

高度経済成長によって日本はふたたび豊かな国になっていくのですが
環境破壊やイタイイタイ病、水俣病、四日市ぜんそく等の公害病問題も生まれました。
現在でも過労死問題は続いています。
国民の幸福度は低く、若年層の自殺が世界トップレベル。
そして2013年の福島原発事故。

日本の近代化は世界で類をみない大成功だったと言われます。
GDP等の指標でみればそうなんでしょうが
経済優先の犠牲として起きた
三つの原子力爆発に象徴される驚くべき生命軽視を想います。
1945 ヒロシマ・ナガサキ
2011 フクシマ

黒船来航から続く戦争は1945年の無条件降伏で終わっていない
戦争はずっと続いていると私は思います。

ではどうしたら「本当の終戦」を迎えることができるのでしょうか?
これは一般的に経済問題、政治問題、社会問題、国際問題と思われています。
それがそもそも間違っていた・・・

たとえば4世紀~5世紀ごろのインドの仏教ヨーガチャーラ派(唯識瑜伽行派)のヴァスバンドゥ(世親)は「アビダルマ・コーシャ」(阿毘達磨倶舎論)でこう述べています。

今のあなたたちが、何をしようと世界に混乱や破壊をもらたらす。
良いことをしようとしても、混乱や破壊をもたらす。
なぜか。
それはあなたが混乱であり破壊だからだ。
あなたはまず、自分自身の意識の内側に、平和や調和や沈黙や愛をみつけなくてはならない。


驚くべき宣言です。
政治家や社会活動家、社会学者、経済学者は逆のことを言っています。
政治や経済や社会が良くなったら、私たちは平和や調和や愛を手に入れることができ幸せになれると。

「アビダルマ・コーシャ」はまったく正反対のことを言うんです。
「アビダルマ・コーシャ」は異常でしょうか?
ヴァスバンドゥは気が狂っているのでしょうか?

みんなが尊敬する仏陀釈迦牟尼やイエス・キリストも、空海も最澄も道元禅師も一休さんもヴァスバンドゥの意見に賛成すると思います。
そうそう、お盆でお坊さんが読むありがたいお経も、現代語訳をちゃんと調べたらヴァスバンドゥに賛成しているはずです。