先日、情報番組で「歯科医療の最先端特集」を見ました。
こういう番組見ると、微妙な心もちになります。
最先端医療が保険診療適用になるためには数年かかる点もありますし、
そして、それらのシステムを歯科医院が導入できるのもすべての医院で可能とは言えないからです。
新しいシステムや設備を導入することは、それなりの費用も歯科医院には負担になります。
歯科医院は過剰な時代を迎えており、システムを導入したいと考えても、実際のところそれを全て取り入れたところで経営が早期に成立するのはほとんど望めないでしょう。
むしろ経営破たんに追い込まれてしまうというわけです。
つまり、無理な診療にも繋がることも懸念されます。
それらは歯科だけに言えることではありません。
例えば、新しいものをすぐ取り入れない病院は、医療の質が下がるのか?
ということまで考えます。
そんなことはありません。最新の医療や薬はちゃんと勉強し、時代の流れを知っておくことは大切
なことで、それを勉強した上で吟味し、たとえ設備として導入しなくても、
いつも新しい知識が豊富...しかし良いものを残し選択してきた
良質な医療はあります。
昔からの皮膚科の先生の調合薬がステロイドより良く効く、とか、
あそこの整形外科の先生は病院が古いが目利き(診査)がいい、という ”人の力” は決して
排除してはいけないと思うのです。
医療は人が中心です。
治すのも癒すのも人だと思います。
それはドクターだけの話でなく、周囲のスタッフさんにも及びます。
新しいものが出ると、わーっとそちらに視線が向いてしまうというのは、
なんだか新しい家電製品が出た時に似ています。
新しいショップや、新しい公共施設・ショッピングセンターが出来たときも、周囲の視線は集まります。
しかし、”人”が中心の世界があることを、忘れないで頂きたいと思います。
新しいカフェ、レストラン、美容室・・・なども人を中心にした世界です。
どんなに設備やシステムが良くても、それなりのサービスに高額な料金を支払う場があったとしても、人の対話、コミュニケーションが成立しなければなりません。
結局癒されるのは人との関わりなのだと思います。
以前他院で治療方針や治療費などについてじゅうぶんな納得が得られなかった、
というご相談が多いです。
人はコミュニケーションがとれることこそ、憩いの場になります。
それは、ショップ、カフェ、医療、どんな場でも同じです。