私のホームページ「アーカイブス 中国残留孤児・残留婦人の証言」から、1冊目の本が7月13日に生まれました。
『不条理を生き貫いて 34人の中国残留婦人たち』(津成書院)です。
中国残留孤児・残留婦人等とその支援者、関係者の方々の協力を得て、200人前後の方にインタビューをさせていただきました。その中の中国残留婦人等(「中国残留邦人支援法」対象者。男性、サハリン残留邦人も含まれる。終戦時13歳以上だった方)34人のインタビューをまとめたものです。
これまでの一般的な聞き書き集と違うところは、インタビューはノーカットでインターネット公開していますので、本の内容を動画ビデオで検証することができるという点です(一人を除いて)。
また、ホームページやYouTubeでは、「声を残すこと」はできますが、体系的に何が言いたくて証言を集めてきたのかが明確に伝わりません。当初は、高齢化し鬼籍に入られる方が多い中、とにかく「声を残すこと(=インタビューすること)」にだけ力を注いできましたが、インタビューに協力してくださった方々はほとんどが高齢者でインターネットにアクセスできません。お元気なうちに書籍化してお返ししたいと思うようになりました。
彼女たちの経験が多くの方に読まれ、平和の尊さを伝えることができたら、ご自分の辛酸に満ちた不条理な人生を生き貫いてきた意義を、見出し、肯定することができるのではないかとの希望を持っています。
続いて、『孤児編』『WWⅡ証言編』も近刊予定です。
【購入方法】
①津成書院直販 郵便局にて、郵便振替番号 00230-8-107058 津成書院まで、通信欄に住所、氏名を記入し、2,500円(送料込み)を振り込んでください。
②アマゾンで買うことができます。 定価2,500円+税 A5版 552頁
【本の紹介】
目次をお知らせすることで、だいたいの本の内容を理解していただけるのではないかと存じます。
実際の本のページと、私のワードファイルではズレがあるため、ページは表示致しません。
以下目次
はじめに 語ること、聞くこと、書くこと
第Ⅰ部 満蒙開拓団
大八浪(ターパラン)泰阜村開拓団
第1章 中島多鶴さん(長野県)
「国交回復した時に、国が帰国を進めてくれなかったの、それが一番残念ですよ 」
第2章 中島千鶴さん(長野県)
「お祖父さんの葬儀には、中国人も朝鮮人も来てくれた。」
第3章 岩本くにをさん(長野県)
「その収容所で妹を中国人に連れてかれちゃったの。何でもいいなり」
第4章 中原なつえさん (長野県)
「嫁らにゃしょうがないもんで」
第5章 川島まさゑさん(長野県)
「オラ、人一倍 仕事はしたでぇ」
証言の背景 大八浪泰阜村開拓団
小八浪(ショウパラン)中川村開拓団
第6章 鈴木サダさん(埼玉県)
「国には捨てられたと同じだったよ!ほっぽらかされておかれたんだよ」
第7章 斎藤タツさん(埼玉県)
「これが包丁だ!わかったか!」
証言の背景 小八浪中川村開拓団
南靠山屯(ミナミコクサントン)開拓団)
第8章 佐藤千代さん(埼玉県)
「開拓っちゅうても開拓じゃない。奪っちゃって。抵抗できないから」
第9章 山本孝子さん(北海道)
「鉄砲持った保安隊の人が、私についてきて、農家の人が掠(さら)いに来た」
証言の背景 南靠山屯開拓団
大古洞(タイコドウ)下伊那郷開拓団
第10章 西山明子さん(長野県)
「山本慈昭先生たちが、私たちの大古洞開拓団跡に来てくれたんです」
第11章 山田庫男さん(長野県)
「里帰り(一時帰国)は、全然せんで最初から永住帰国で帰ってきた」
証言の背景 大古洞(タイコドウ)開拓団
板子房(バンズファン)置賜郷開拓団
第12章 小野ますよさん(山形県)
「竹腰さんに誘われて 12人の強行帰国」
証言の背景 板子房置賜郷開拓団
密山千曲郷開拓団
第13章 神津よしさん(長野県)
「友達は、鉄砲担いだ男に銃を突きつけられ、あとでその人の嫁になっただよ」
証言の背景 密山千曲郷郷開拓団
大平山開拓団
第14章 石沢さだ子さん(山形県)
「うちの姉ちゃん、ソ連兵に引っ張られて行って死んだ。」
証言の背景 大平山山形郷開拓団
高田開拓団
第15章 篠崎鳩美さん(広島県)
「妊娠9か月の母は、『私の事はね、もう構わんでいいから。』って。」
証言の背景 高田開拓団
大羅勒蜜(たらろみ)九州郷開拓団
第16章 中井忠司さん(沖縄県)
「戦争が始まったら、一番先に沖縄からなくなるわけよ」
証言の背景 大羅勒蜜開拓団
平安高知開拓団
第17章 田中信子さん(高知県)
「吹雪の夜、二人で逃げ出し、姉は私を抱きかかえながら凍死した」
証言の背景 平安高知開拓団
開拓農業実験場 北海道興農公社の酪農開拓団
第18章 家村郁子さん(北海道)
「匪賊(ひぞく)ちゅうのは、日本人がつけた名前ですよ。普通の農民なんですよ」
証言の背景 開拓農業実験場 北海道興農公社の酪農開拓団
孤児たちと日本をつなぐ役割を担った残留婦人
第19章「鈴木信子さん(仮名)
「孤児たちに慕われた代書屋さん」
証言の背景 孤児たちと日本をつなぐ役割を担った残留婦人
第Ⅱ部 農業以外の自由移民
第20章 高場フジヨさん(埼玉県)・・・・・・・・・・・・・・
「チャーズ(卡子)を生き延びて」
第21章 山下栄子さん(山梨)
「逃亡防止のため、火箸で顔に焼き印された」
第22章 加藤とくさん(北海道)
「大連の大和ホテルに勤務して」
第23章 山崎倶子さん(北海道)
「島に住んでいたので、日中国交回復も知らなかった」
第24章 上村品子さん(奈良県)
「私のおじいちゃんが、朝鮮の咸鏡南道で知事をしてたんです」
第25章 樋口春枝さん(群馬県)
「橋のこちらが中央軍、橋の向こうが八路軍、チャーズ(卡子)だった」
第26章 桜井光枝さん(石川県)
「私みたいに働いた者は中国人であろうが、日本人であろうがおらんわ」
証言の背景 農業以外の自由移民
第Ⅲ部 サハリン残留邦人
第27章 三浦正雄さん(北海道)
「ソ連の内務省やKGBに知られると、刑務所に送られるので、帰国したいとは言えなかった」
第28章 伊藤實さん(北海道)
「シベリアで刑期を終え、次に行かされたのは、カザフスタンだった」
第29章 近藤孝子さん(東京)
「国は、『もう1人も残ってない』って平気で言ってましたからね。見捨てられたんです」
第30章 伊藤美智子さん(北海道)
「国家の命令ですから、「帰れ」という命令がなければ帰れなかったので、そこに残ってました」
証言の背景 サハリン残留邦人
第Ⅳ部 大陸の花嫁
第31章 田口道子さん(長野県)
「文革の時、18歳の息子は牢屋へ」
第32章 福田ちよさん(埼玉県)
「ソ連兵は「この女を捕まえよう」と決めたら、目をそらさない」
第33章 正木はつさん(沖縄県 仮名)
「大陸の花嫁になれば・・・貧乏に生まれたから、金持ちになろうと思って」
証言の背景 大陸の花嫁
第Ⅴ部 日本に帰らない選択をした残留婦人
第34章 須浪厚子さん(中国)
「子供たちは日本に行って初めて日本語習う。結婚してるでしょ。もう歳が」
証言の背景 日本へ帰らない選択をした残留婦人
おわりに
謝辞
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